「映画」世界は、正義であふれている オレらの親分4
「正義だとかモラルとかごたくを並べながら、最後にはいつも資金ネットワークを生かして経済制裁。都合悪くなると何かとインネンつけて、暴力攻撃するパープリンな国家そのままだな。
でも国家は物的にあふれていれば、質より量、芸術より娯楽、ものごとをあまり考えない刹那的な大衆には受けるってわけだ」
「うるせい。オレたちの国は武器商人と、公的に武器調達が保証されているんだ。国家あっての、正義なんだ。モノダネなんだよ。お前みたいに、青っぽい理想をいう暇ねえんだ。
お前たちなんか、オレたちが国から豊富に援助されている武器で、根絶やしにピンポイント攻撃してやる。後始末には、いつものメディアを使って、お望み通りテロリスト扱いにして、ジ・エンドだ。これが、お決まりの力が正義って、わけさ。
さあ、覚悟しろ。バキューン」
こうして世界を震え上がらせた、テロ事件は一件落着したのだった。国家の使命をおびて、じぶんの命をかえりみず、勇敢な戦士たちは背中に夕陽を浴びながら、昨日も今日も明日も、敢然と悪に立ち向かっていくのであった。
The end presented by 21century
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「兄貴、一瞬この映画、オレたちのこといわれているんじゃないかと思いましたぜ」
「まあな。どこの業界も大変ってわけさ」
「しかし、理不尽な映画でしたね。オレたちがあんなことしてたら、ポリコウが許してくませんぜ。ホントに」
「それはそれ、オレたちと同じで、裏でまわってうまくやってんのさ。あいつらは国家の思惑で、堂々と表にまわって、国際連合の錦の旗のもと、利害で結びあってんだよ」
そんなもんすかね。弟ブンの鉄は少しばかり、口をとんがらせてうなずていた。映画館を出た二人は、さあ、いまからどうしようかと考えている。しばらく、ともにタバコを吸って思案中だ。
まあ、いいか。二人は吸殻を、キチンとそばにあった灰皿に入れた。マナーのいい二人だった。それから夕陽を前面に浴びて、まぶしすぎるぜ、とひと言つぶやきながら、歌舞伎町の通りを歩いて行くのだった。
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