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憲法無効論は天皇、そして国体を軽んじる妄説(2)

「神は死んだ」といったのはニーチェでした。真理を知ったツァラトストラはこれを伝えるため、山を降りることにした。途中、隠遁者で出会って対話して愕然とする。「なんということだ。あの人は、神が死んだことを知らないのだ」。 

無効論を信じ、国会が無効決議しさえすれば、帝国憲法が甦ると信仰している人々
と出会い、僕は愕然としました。「なんたることだ。彼らは、帝国憲法が死んだことを知らないのだ。死んだものは甦ることはなく、ゾンビとして蘇生するだけだということも」。   

帝国憲法は「死んだ」ということをもう少しちゃんと説明します。
  
何度も言及していますが、日本国憲法と一体の『上諭』には、日本国憲法が帝国憲法73条によって改正され、昭和天皇の裁可を受けたことが記されています。その結果、帝国憲法は≪憲法≫としての生命を失って亡骸になりました。その死に殉じて入水した枢密院議長清水澄博士もいます。なにより、帝国憲法の魂であった天皇、立憲君主たらんとした昭和天皇その人が帝国憲法から離れ、日本国憲法の主権者たる国民統合の象徴として日本国憲法の守護神になりました。

帝国憲法は、その中核の「魂」だった天皇を失い、その瞬間に過去の資料となり、憲法としての生命を失いました。昭和天皇は日本及び国民統合の象徴として戦後を歩まれ、そして日本は復興することができました。日本は多くのものを失いましたが、帝国憲法を犠牲として天皇を存続させ、もって国体を護持したのです。なにか大事なものを護るには、大事なものを犠牲にしなければなりません。 

国民に選ばれた衆議院と参議院の過半数の議決、それで天皇の魂を呼び戻すことができるのですか。衆議院と参議院が過半数で議決しても天皇陛下は、決して日本国憲法の無効を承認するとは思えません。そのところは、なにか見通しをもっておられるのでしょうか。  

無効論とは、その意に反し、天皇を、そして国体を軽んじる妄説です。

①御聖断を軽んじ、
②終戦の詔を軽んじ、
③帝国憲法を改正した天皇の発議と裁可を軽んじ、
④天皇が守護した日本国憲法を軽んじ、
⑤国会の決議だけで帝国憲法が復活するとして天皇を軽んじました。   

頭でっかちの理論だけで、天皇を軽んじ、その魂を欠いた帝国憲法の屍を甦らせてもしかたがないという当たり前のことに思い及ばないのです。法理は呪術ではありません。

無効論とは、帝国憲法の屍を甦らせたゾンビをご神体とする邪悪な宗教という
ほかはありません。早く目を覚まされることを心より祈念します。  

(H29/8/15 MLへの投稿から)

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