「まゆみ」⑦「絶叫マシーン」
ある日曜日の朝、「まゆみ」が「今日は遊園地に行きたいなあ」と言いました。
「お弁当作って来たから、「トクちゃん」の好きなタマゴサンドだよ」
「遊園地か⋯」
「行っても良いけど、俺、絶叫マシーンだけはダメだからな」
「え~、なんでよ~」
「絶叫マシーンが良いのに⋯」
「俺は高い所とスピードが出る物はダメなの、小学校の時からず~っとそうなの、知らなかった?」
「でも、小学校の修学旅行の時はジェットコースター乗ってなかった?」
「あれは、無理矢理乗せられたの。あの時から一度も絶叫マシーンは乗ってないんだよ」
「ってか、なんで俺が絶叫マシーン乗ったの知ってるの?」
「もしかして、小学校の時から俺に気があった(笑)」
「うん、正直言うと小学校の時から良いなあって思ってたんだあ」
「だって「トクちゃん」勉強できたし足も速かったから」
「中学の一番初めの中間テストで「トクちゃん」が一番じゃなかったのが不思議だったからね」
「あ、それ他の誰かにも言われた気がする」
「それって女子?」
「ううん、違う、男子」
「高所恐怖症とスピード恐怖症だから高速も乗れないんだよな⋯」
「俺と付き合うと、高速使わないから、あんまり遠出できないぞ、それでも良いか?」
「うん!良いよ。トクちゃんと居るだけで楽しいから」
「ホントに「まゆみ」って物好きだよな⋯」
「じゃあ遊園地に行くか」ということで一番近い遊園地に行きました。
遊園地に入って一回りしてからベンチに座って「まゆみ」頑張っ作ってくれたタマゴサンドを食べました。
少しベンチで休憩していると⋯。
「まゆみ」が「やっぱジェットコースター乗りたいなあ」と言ってきました。
「俺は乗らないぞ。乗りたいんなら一人で乗れよ。俺、待ってるから」
「え~、一人じゃつまんないよ~」
「俺は乗らないって言ったじゃん」
「うん、そうだね⋯、ゴメンね、ワガママ言って」
「まゆみ」ホントにつまらなさそうな顔をしていました。
「しょうがねえなあ⋯」
「一回だけ付き合ってやるよ」
「ホント?」
「うん、我慢してやる」
「やっぱ「トクちゃん」優しいね」
「まゆみ」は満面の笑みを浮かべました。
さて、無理してジェットコースターに乗ったのは良かったのですが⋯。
緊張と恐怖感から気持ち悪くなってしまいました。
「ダメだ、気持ち悪い⋯。俺、ちょっとベンチで休むわ」
「「トクちゃん」ゴメンね、私がワガママ言ったから」
「まさか、こんなになっちゃうなんて思わなかったから⋯」
「お返しにお化け屋敷行くからな」
「え~、私、お化け屋敷ダメなんだけど⋯」
「俺だってジェットコースターダメって言ったじゃん」
「うん、そうだけど⋯」
「ウソだよ。お化け屋敷には行かないから安心しろ」
「「トクちゃん」ってホントに優しいね」
「だから「トクちゃん、だ~い好き」と言って「まゆみ」が抱きついてきました。
「ウエ~、「まゆみ」の背中に吐いて良い?」
「え~、それはやだよ⋯」
つづく
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