「なな」⑨「初詣」
今回は、初詣のお話しになります。
「なな」と少し遠出をして鶴岡八幡宮まで初詣に行きました。
「なな」が一度は行ってみたいと思っていた神社だそうです。
それも着物を着て。
私は人混みが嫌いなので、本当は、こんなにも大きな神社にお参りに行くのは気が進まないのですが⋯。
「なな」とドライブだと割り切って行くことになりました。
さて、案の定、人混みです。
順番に、お参りの時を待ちます。
やっと、神社の正殿の前にたどり着きお参りを始めた時です。
「なな」が小声で「キャッ」と叫び声を上げました。
人混みの中なので痴漢にでもあったかと思い、「なな」に確認しましたが違うようです。
お参りを終えて、そのまま、前の人の列に従って歩いていると「なな」の様子がすこし変です。
仕切りに着物の襟あたりを気にしています。
人混みから抜けると「なな」が「襟元に、なんか入ったみたいなんだよね。もしかしたら後ろの人が投げたお賽銭が入ったのかも」
「えー。と思い。宿に帰ってから、着物を脱いでみると⋯」
なんと「なな」の着物から100円玉が出てきました。
「やっぱり、お賽銭だったんだぁ。困ったなぁ。このままにするとバチが当たるかも⋯」
「バチなんて当たらないって、試しめにその100円俺にくれる?」
「ダメダメ、絶対ダメ!もしバチが当たったら私のせいになるもん」
と、散々、バチの話しをした後に「なな」が「やっぱり返しに行った方が良いよね」
と本当ポツリとつぶやきました。
あんなに思い詰めた「なな」の顔を見たのは始めてでした。
仕方がないので、翌日、また、鶴岡八幡宮まで行き、その100円玉を無事に賽銭箱に収めることができました。
新年の三が日に、2回もお参りに行ったのは、私達位なものだと思います。
やっぱり神様が参道の真ん中を歩き、人間は、横側を歩くというしきたりには意味があるんでかね。
勉になりました。
その分、幸福も多く分けてもらえたなら良かったのですが。
果たしてどうだったのでしょうか。
つづく
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