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人も発酵していくのだな。映画「発酵する民」を見た

発酵とは、微生物の働きによって物質が変化し、人間にとって有益に変化すること。有害であれば、それは腐敗となる。

ドキュメンタリー映画「発酵する民」を見た。3.11のあと、脱原発パレードを行った鎌倉の女性たちが、「イマジン盆踊り部」を結成し、日々の暮らしの中から浮かび上がってくる想いを楽曲にし、歌い、踊る様子を7年間追ったものだ。

彼女たちのしなやかさと強さに心が揺さぶられた。「発酵盆唄」を作り、それに合わせて踊る姿に細胞レベルで「いいなぁ!」と感じた。なぜそう思ったのか。それはきっと彼女たちが地にしっかり足をつけて生きていて、丁寧かつ楽しそうに日々を暮らしているからだ。

3.11の脱原発がきっかけで集まった彼女たちが、自分たちの気持ちに正直に行動するうち、何が大切かをしっかり、確かに、手にしていると思った。彼女たちの根っこにある想いは、争うことなくすべてをまるっと取り込んで、自然のリズムに沿って楽しく暮らすこと。それに尽きるのではないだろうか。

3.11は決して他人事ではない。それはよく分かっていることだけれど、10年が経ち、正直どこか自分の中でよそ事のようになっている部分もある。阪神淡路に関してもそうだ。そして、そんな自分を人でなしだなと思う、もう一人の自分もいる。私に何ができるというのだ、という自分もいる。だから、堂々としている彼女たちを見て、うらやましいと思ったのだ。

彼女たちが輪になり、歌い、踊っているのを見て、「人も発酵するのだな」と感じた。彼女たちの行動が「発酵」だと思った。たくさんの人が集まり、有益にどんどん変化していく。楽しそうな歌や踊りは、脱原発を声高に叫ぶよりもずっと強くて、しなやかだ。本当に素敵だ。宇宙の法則通りなのかもしれない。私も周りの人たちとまるっと合わさって発酵していきたい、いや、発酵するのだ(断言)。そこには、エゴも、支配も、不安も、きっとないはずだから。

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