2023年に読んだ本ベスト10選
2023年も終わるということで、このあたりで2023年に読んだ本のベスト10冊を列挙していきたいと思う。2022年以前はツイッターでやっていたが、今回はnoteの方にも挙げようと思う。noteの方に書くとその作品の説明も書けるので便利だ。それでは早速挙げていこうと思う。
1冊目→三島由紀夫『春の雪』
1冊目と言いつつ読んだのはごく最近である。思い浮かんだ順番で挙げているので最近読んだ本が先にくるのは仕方ない。三島由紀夫のこの作品は面白かった。
この作品についての感想は以下の記事にて感想を書いているので割愛しようと思う。
2冊目→ヘルマンヘッセ『車輪の下』
2冊目はヘルマンヘッセの『車輪の下』である。この作品は年間のBEST10でもあり、歴代のBEST10でもある。個人的に非常にお気に入りの作品となっている。
何が良いのかというと心理描写が良い。ハンスとハイルナーの微妙な関係性や距離感が絶妙で最高だと思う。ただこの小説は有名作だけど万人向けではないと思う。好きな人は好きだけどつまらない人には全然刺さらないだろう。自分は非常に刺さったので選んだ。
思えば、ヘッセの作品はこれ以外読んでいない。ガラス玉演技も上巻の最後の方で止まっている(読まねば)。
3冊目→ドストエフスキー『地下室の手記』
面倒くさいスノッブメンヘラおじさんの心理を詳細に描いた作品となっている。ここまでリアルにする必要あるのかと思えるレベルでリアル。ヘラった後にちょっと冷静になっちゃう描写など創作物で描かれない部分のリアルさが出てて面白いと思う。
ドストエフスキーはこの作品と『罪と罰』くらいしか読めてないから来年は何作か読みたい。
4冊目→ハインリッヒ・シュネー『「満州国」見聞記 リットン調査団同行記』
歴史解説本は結構読むけどこの本は面白かった。たいていの歴史本の場合は淡々と歴史について描かれるだけなので、知的好奇心が満たされるものの読み味としては冗長なことが多いが、本書に関してはシュネーというリットン調査団の委員の人が書いた一次資料となっており、シュネーのユーモアある描写が面白い。
そのシュネーの描写の魅力は以下の記事にて書いたので詳細は割愛する。
5冊目→JSミル『自由論』
この本はとにかく「良いこと書いてあるな」と思う部分が多い。詳細について話すと長くなるので割愛するが、この本はまた読み直したい。
6冊目→ウィリアムアイリッシュ『幻の女』
純文系や実用書が多いのでたまにはミステリーでも読んでみるかと思い読んだのが本作。古典ということなので緻密なトリックかと思ってたけど結構大規模だった。
あまりミステリーを読んでないからわからないけどいわゆるバカミス系列に入ってもおかしくないんじゃないかと思うレベルのトリックだと思う。一応矛盾はしてないけど「流石にそれは大規模すぎないか?」という風に思ってしまい現実にできなさそうな感じがするのだ。
でもだからこそ面白かったというのはある。消えてしまった幻の女が何者なのかを探るという話で謎自体がわかりやすく提示されているので非常にキャッチーな筋書きだと思う。思うにミステリーってトリックに現実性がなくても面白さが重視されていればそれで良いし名作になれるんだと思う。「現実にはほぼ不可能だけど矛盾してはいないですよ」というスタンスを守っていれば問題はないのかもしれない。実際面白かったし満足している面はある。
7冊目→島田荘司『占星術殺人事件』
日本のミステリをネットで紹介している人がいてその人が島田荘司を取り上げていたのでその影響で読み始めた。最初は御手洗潔シリーズ2作目の斜め屋敷の方を手に取ってしまったが、続編ものと気づいてからこちらを読むことにした。正直1作目と2作目の順番はどっちでも良かったかもしれない。
『占星術殺人事件』についていうと作品のトリックよりも作中の雰囲気に惹かれた面がある。猟奇殺人事件作品に特有の怪しい雰囲気を醸し出している感じが好きだ。読んでから時間が経っているのでトリックとか細かい点については忘れているが、雰囲気は良かったと記憶している(長編3作目の異邦の騎士はまだ読めてないのでそのうち読みたい)。
8冊目→サマセット・モーム『読書案内』
モームの読書に対する愛が伝わってくる本。自分の好きな本などを紹介する様は今の面倒くさいアニメオタクみたいな感じで面白い。
9冊目→米澤穂信『満願』
米澤穂信先生はちょうどいい感じのミステリーを書いてくれる感じがする。どういった点がちょうどいいのかというと、エンタメ要素もありつつ若干心理的にも掘り下げてる感じがちょうどいいということである。純文ほど掘り下げてもないのでサクッと読めるし無難に面白いものが多い。
今回取り上げた『満願』という短編集も無難に面白い作品が並んでいる。米澤先生の他の短編集は『儚い羊たちの祝宴』も好きだけど『満願』も面白い。『黒牢城』もそろそろ読もうかなと思っている。
10冊目→羽田宇佐『週に一度クラスメイトを買う話』
1冊くらいラノベを選ぼうと思い入れてみた。ラノベと言っても異色作で、ディープな百合作品である。以前漫画で『きたない君がいちばんかわいい』というどぎつい百合作品があったが内容的にはその系列の作品となっている。
端的な友達という関係性ではなく、金で時間を買うからこそ互いの行為がエスカレートしていく感じが良いと思う。1冊目に紹介した三島の『春の雪』にも通じるけど禁断だからこそ生まれる魅力ってあると思う。バレたら学校内での地位が終わるかもしれないという危機感が少なからずあるからこそ、その禁断が魅力的に映るのだろう。というわけで『春の雪』も本作も総合して自分は禁断破り系小説が好きなのかもしれない。
まとめ
今年読んだ冊数が2023年12月30日の時点で64冊らしい(読書メーターの数字)。例年だと年間で読む冊数が40~50冊程度なので読む量が増えていることになる。ただ本ってそれぞれ分量が全然違うので単純比較ができないというのはある。体感的にはそこまで読書量が変わってない印象なのでたまたま軽めの本を読んでいただけの可能性もある。
それはいいとして、こうして今年読んだ本の10選を並べてみると、いろいろと読み途中で忘れている本があるなと思う。ヘッセの『ガラス玉演技』や『シッダールタ』も読み途中だし他にもいくつか途読むのを途中でやめてしまった作品がいくつかある。来年は途中で読むのをやめるというのをなくしたい。そうすれば70~80冊くらいは行きそう(6~7割読んでなぜか読むのをやめた作品がいくつもあるので)。
11月は結構読んでいたが、12月はあまり本を読めなかったので調子を取り戻したいところ。でも波があるのは仕方ない気もする。趣味なので無理せず続けるつもりではある。