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クラウドボックスは、リモートワークを継続します

新型コロナの影響でリモートワークを始めた会社は多いと思います。僕たちの会社「クラウドボックス」は、それまでもどちらかと言えばリモートワーク推奨ではありましたが、実情は週に1回リモートで働く人が1人〜2人(社員は7人)とか、その程度で、基本的には週5日リアル出社体制でした。それが、今回のことで3月下旬から一気にフルリモートになったわけです。

あれから3カ月。
長かった緊急事態宣言は解除され、街にも徐々に活気は戻ってきて、ウェブや広告制作業界でも完全リアル出社という会社も増えてきました。

では、クラウドボックスの働き方はどうするのか?ステップ3の休業要請も解除となるこのタイミングで、今時点の考えを書き留めておこうと思います。

結論から言うと、クラウドボックスは、

① リモートワークに主軸を置いたスタイルを継続する
② けれど、吉祥寺のオフィスも継続する
③ 現時点でスタイルは決め込まず、リモートとリアルの「最適なハイブリッドの重心」を少しずつ探す

という方針で行こうと思っています(今のところ)。それぞれについて少しずつご説明します。


① リモートワークに主軸を置いたスタイルを継続する

まず、①についてですが、具体的には

・「全員、週5出社」は、たぶんもうしない
・「ミーティング」はリモートで行う
・メンバーが「業務」を行う場所については制限しない

という感じです。特にふたつめの「ミーティングはリモートで」のところは、お客様にもかなりの影響を与えてしまいますが、ご了承いただきたいと思っています。

実際、ミーティングに関してはリモートの方が格段にいいことが多いと思っているのです。まず、移動時間がない。そして移動の前後にかかる支度の時間もない。電車が遅れる心配もない。資料はすべてPCに入っているのでいつでも閲覧できるし、画面共有なら、プロジェクターをつなぐといった手間もなくお互いの資料を見せあうことがきる。お客様との打合せ終了後にはその熱が冷めないうちにすぐ社内ミーティングを開くこともできる。ちょっとカフェ探して打ち合わせしよう、みたいな無駄な時間もない。だから、結果的にデザイン制作の精度が上げられる。
大人数での会議には向かないかもしれませんが、日本マイクロソフト社が「会議は5人以下、30分以下」というルールを定めているように、そもそも大人数の会議が必要な機会(大人数の会議の方が効率がいいという場面)なんて、ほとんどないような気がするのです(少なくともクラウドボックスの場合は)。

みっつめの「業務」は場所を制限しないは、「別に『在宅』には限らないよ」という意味です。「コロナが怖いから家にいて」だけが理由でリモート継続と言っているわけじゃないということを、念のため宣言しておきたい。


② 吉祥寺のオフィスも継続する

フルリモートにするメリットのひとつに「オフィスのコストが削減できる」ということもあると思います。でも、クラウドボックスは、当面吉祥寺のオフィスは維持します。理由はみっつ。

・リアルのいいところも取るための「常設の場」がほしいから
・「吉祥寺のデザイン会社」というのはアイデンティティの一部だから
・今のオフィスがとても気に入っているから

ひとつ目の「リアルのいいところ」については後ほど詳述しますが、より具体的なことで言うと、たとえば単純にクラウドボックスは印刷物も扱っているので「B1ポスターの色校正を広げられる明るいデスク」が必要だったり、「物を受け取る場、保管する場」が必要だったり、「お客さんの作ったボードゲーム試してみようぜ」となったときにいちいち場所を借りるのが面倒だったりするからです。

ふたつ目の「吉祥寺」というところは結構大事なポイントで、昨年『吉祥寺かるた』なんていう自社製品をで作ってしまったくらい、クラウドボックスと吉祥寺は切っても切れない関係にあるのです。ウェブサイトのトップページにも「Designs from Kichijoji, Tokyo」の文字が入っているように、吉祥寺という街の「付き合いやすいのに華がある」「多様性と密度」という特色は、そのままクラウドボックスの特色とも重なっていると思うのです。だから、吉祥寺という街に拠点は持ち続けたい。

あとはみっつめ。クラウドボックスの、吹き抜けリビング。

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7人しかいない会社の面積の大半が、この、働く気の感じられないのびのびリビングに当てられているというこの空間が、とっても気に入ってるんですよね(写真は数年前で、今はもっとおもちゃとかマンガとか木とか自転車とか増えてますけど)。吉祥寺の、一応商業エリアの片隅でこんな物件、一度手放したらもう見つからないので、これは手放したくない。


③ リモートとリアルの「最適なハイブリッドの重心」を少しずつ探す

僕たちは今回のことで働き方の「選択肢を増やすチャンス」をもらったと捉えています。リモートとリアルの二者択一で優劣を決めるのではなく、リモートにもリアルにもそれぞれ良いところがあるので、その選択肢を自在に使いこなせる会社になりたいと思うのです。

リモートのよいところは、当然、場所に縛られないでいいというところ。たとえば小さいお子さんがいても家を留守にする心配はしなくてよいし、実家の親御さんに何かあれば「今月から福岡で働きます」と言うことだってできるし「語学を習得したいのでオーストラリアで働きます」とかもいけるようになるはず。東京に住んだことない人と働くのだって可能になります。

ただ、今の時点ではまだ「リモートでも業務は止まることはない」と言える自信はついたけれど、「リモートでもリアル同等もしくはそれ以上にいい仕事ができる」とは言い切れないのが正直なところ。だから、この「選択肢を増やすチャンス」を無駄にしないために、もう少しリモートのスキルを上げて、メンバー全員が「自分はどこにいても、クラウドボックスなら働ける」と確信を持って言えるところまでいきたいのです。

理想は、「リモートとリアルの、最適なハイブリッド」を確立することです。そして、そのためには、まずはなるべくリアルに戻さずに、リモート寄りのほうから少しずつ、天秤の重心を整えるように慎重に、リアルのさじ加減を戻していきたいと思っています。今、「あー緊急事態開けたー。リモート疲れたー」「じゃいったん全部リアルに戻そうぜ」ってやっちゃったら、このチャンスは完全に逃げていってしまうと思うのです。だってまだ、リアルとリモートの最適なバランスなんて、全くわかってないんですから。一回戻しちゃってから、また徐々にリモートを試す方が絶対難しい。

これを無理やり図解すると↓のようなイメージです。

リモートワークの図

個人的には、「最適なハイブリッド」のバランスが取れる支点は、かなり「リモート寄り」のところにあるのではないかと感じています。

リアルのよいところは、コミュニケーションの「情報量」、それも「感情の流通量」が圧倒的に多いところです。だって、ZOOMでは五感のうち目と耳の「二感」しか使えず、しかもそれはデジタルで圧縮されたカスカスな情報しか流れてこないんですから。一方リアルでは、なにげない一言でも、音声も映像もめっちゃ解像度高いですし、全身見えてるから指先の動きや貧乏ゆすりから受け取れる情報もありますし、匂いや味や温度を共有しながら話せますし、「目は口ほどに物を言う」という奥義も使えます。相手に「感情移入」するのは、リアルの方が絶対楽です。もちろんリモートでも、小さなコミュニケーションの回数を繰り返すことなどで感情的なフォローも可能だとは思いますが、でも、感情を流通させたいときだけは、圧倒的にリアルが「効率的」だと思います。だから「膝を突き合わせて喋りたい」場面と「遊ぶ」場面だけはリアルで持ちたい。逆に言うと、それ以外はリモートでいけるんじゃないか、というのが今の僕の感触です。

案件を回す業務はすべてリモート。でもエモーショナルな部分を共有する「遊び」は、濃密なやつをリアルでやる。たとえば「シーズンに一回、全員で社員旅行に行く!」とか。

…とは言え、まだまだ、このコロナの先の読めない状況は続きます。ビジネス環境も大きく変わり続けていくはずです。だから、結局僕たちに大事なことは、「チューニングをやめない」ということなのだと思います。

この記事のタイトルに使った画像は、僕のZOOMの「バーチャル背景」として作った画像です。左に会社のロゴ、右に「吉祥寺かるた」のパッケージ、そしてその上には「流水不腐」という文字を描きました。流れる水は腐らない。「変わり続ける」を是とする、という意味。これは、この「リモートワーク」に取り組むにあたっての、僕の決意を込めた言葉なのです。


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