慢性上咽頭炎が何故 筋痛性脳脊髄炎(ME/CFS)を引き起こすのか?(新型コロナウイルス後遺症の話)

新型コロナウイルス感染後に長期間後遺症が出て、「筋痛性脳脊髄炎(ME/CFS)」と診断される人も多い。

私は以前別のところでコロナ後遺症を訴えている方を見かけ、その人も医師に「筋痛性脳脊髄炎(ME/CFS)」と診断されていた。
新型コロナウイルス感染後に一年半以上体の調子があちこちおかしいと。
異様に体が疲れやすい、脳や心の状態もおかしい、他にも色々。

その人に対して「それは慢性上咽頭炎が由来で起きているから、きちんとした病院で慢性上咽頭炎の治療を受けるべき」とアドバイスした事がある。

その人はわりとすぐ私のアドバイスを受け入れ、実際に病院でも上咽頭擦過療法(Bスポット療法)を受けて綿棒で上咽頭部に薬剤を塗ったら、案の定すぐ出血して「上咽頭部に大きな炎症が起きて組織がぼろぼろになっている」という事がわかった。

健康な人は綿棒で上咽頭部に触れても血が出る事はない。
でも慢性上咽頭炎になっている人はわりと多くの人が組織がぼろぼろになっているので綿棒で触るとすぐ出血してしまう。

以後はその人は継続的に治療を受け、新型コロナウイルス感染後に一年半以上も筋痛性脳脊髄炎(ME/CFS)で苦しまれていた様々な症状がじょじょに落ち着いていき、今は普通の体調に戻って仕事に復帰されたとの事。

慢性上咽頭炎が筋痛性脳脊髄炎(ME/CFS)と関連している事は、以下の医師の解説でも紹介されている。


昨日私が書いた

でも解説した通り、生物は呼吸の際に吸気した空気中の細菌やウイルスの大半を上咽頭部で受け止めて、そこで免疫が撃退しているという事を常にやっている。

しかしこの部分が感染症により増殖したウイルスなどで大きく破壊されて正常に機能しなくなると、トリガーが入ったように体内にサイトカインを大量に放出して、自分の免疫を攻撃的にしてウイルスや細菌を撃退しようとしてしまう。
これは新型コロナウイルスだけでなくインフルエンザとか風邪の発症中にも起こっている現象だ。
あと人間だけでなく他の動物にも備わっている生物的防御機能。

その攻撃的になった免疫は自分の体や脳のあちこちの組織も破壊してしまうため、継続的なサイトカインの放出を引き起こしてしまう慢性上咽頭炎を治さない事には、いつまで経っても筋痛性脳脊髄炎(ME/CFS)は治らない。

自分の暴走した免疫が継続的に自律神経や脳の色々な部分を攻撃して心や体の様々な不調を引き起こしてしまう。
『脳脊髄炎』とは、要するに何らかの要因で脳や脊髄が継続的にダメージを受けて炎症している状態だけど、それは自分の暴走した免疫がずっと起こしているというわけだ。

慢性上咽頭炎に限らず人間の病気では「自然治癒しにくい」というものがわりとある。
「寝てれば治るはず」「時間が経てば治るはず」「他の病気が原因だ」みたいな間違った思い込みをしていると、ずっとこの慢性上咽頭炎で苦しむ事になってしまう。

きちんと適切な病院で診察を受け、慢性上咽頭炎だとわかったらしっかり治療を受けるべき。