インディーゲーム開発者が遭遇する色々なトラブルの話(その2)

個人や少人数でのインディーゲーム開発では色々なトラブルに遭遇する事になります。
大手や中小ゲームメーカー勤務なら会社がトラブルを解消してくれる事もありますが、インディーゲーム開発の場合は自分達で解消するしかありません。

中には致命的なトラブルもあり、そういうのを回避するためにも「どういうトラブルに遭いそうか?」というのを紹介していきたいと思います。

今回はシリーズの二回目となります。

一回目はこちら。


<タイトルチェック(商標チェック)に注意を>

他人が商標を取っている文字列をゲームタイトルに入れるのはNGです。

タイトルの商標チェックについては基本的にパブリッシャーがしてくれますが、「パブリッシャーを介さず自分達でゲームを各国向けに出す」という場合は国ごとに商標チェックをしていく必要があります。
自分では手に負えないと思った場合は、商標チェックを外部委託するという手もあるでしょう。

また、「商標は取られていないものの、すでにsteamなどに同名や似た名前のタイトルのゲームやスマホアプリがある」という場合もわりとありますので、steamや他のゲーム販売サイト、スマホのアプリストアでのタイトルチェックも忘れずに。
「商標を取らずに適当にタイトルをつけてゲームやアプリを出す」という個人開発者もわりといるため。


<商標を取らずにタイトルの公開は後で問題が起きる事がある>

開発中のゲームのタイトルを公開する場合は、事前にそのタイトルの商標を取っておきましょう。
これをやっておかないと、別の会社や悪意ある人物がそのタイトルで商標登録をしてしまい、自分達ではそのタイトルが使えなくなったり、ライセンス料金をずっと支払わされる事になる場合があります。

商標をまだ取っていない時にゲームの情報を公開したい場合は、ゲームタイトルは本来付けたい名前とは異なる仮のタイトル名にすべきです。
そのタイトルには『仮)』と付けて。


<ゲームを公開すると発売までにパクられる事もある>

独創的なゲームの場合、開発途中で色々な情報を公開してしまうと、自分がそのゲームを出すまでに他の人がそのアイデアを実装したゲームを出してしまう場合もあります。

一部のユーザーは発売日しか見ておらず、「後で出たこのゲームはあのゲームのシステムをパクった」と間違ってとらえられる事も。
また、先に出たパクリゲームが人気が出て、自分のゲームが出る頃にはすっかりそのゲーム性に多くの人が飽きて売れ行きが悪くなったりも。

ゲームの情報公開のタイミングについてはきちんと考えるべきです。


<気軽に色々なソフトを開発用のPCにインストールしてはいけない>


会社用のPCはまともな会社ならインストールするソフトについては規制をかけたり、きちんと申請して許可を得てからインストールするという事をしているところが多いのではないでしょうか。
社員それぞれが勝手に色々なソフトをどこかから入手してきて社用PCにインストールするというのは、セキュリティ上大いに問題があります。

日本の官公庁のPCもこういうガバガバな対応をしている人がいないかきちんとチェックすべき。

個人でゲームを開発している人の場合、自宅の私用パソコンでそのままゲーム開発をしている人も多いでしょう。
しかしそのパソコンにはあまり安易に色々なソフトをインストールするべきではないと思います。

「ゲーム開発に役に立つ」という事で無料で配付されているソフトを色々インストールしたり、ネットで適当に探した有料ソフトを安全性も調べずインストールしてしまうと、知らないうちにスパイウェアやウイルスなどが仕込まれるという事になりかねません。

ソフトをインストールする場合はそのソフトがきちんと安全な物かどうかはしっかり調べるようにしましょう。

また、金銭的に余裕があるなら節税対策もこめてPCを買い、開発用のパソコンは個人使用のパソコンとは分けるという事も考えてみてください。

ゲーム用のMODもウイルスを仕込まれている事が時々あり、開発用のPCに色々なゲームとそのMODを入れまくって遊んでいるとウイルス感染する事になりかねません。

今はWINDOWSは標準で強固なアンチウィルスソフトがインストールされていたり、他社製のアンチウィルスソフトを入れていても、セキュリティ対策が甘いとウイルス感染が起きる事があります。


<喫茶店などでのリモートワークはNGに>

喫茶店などでノートパソコンを開いてリモートワークをしている人をわりと見かけますが、画面に映っているのは顧客情報だったり、おそらく社外秘だと思われるデータがあったりと、なんか日本のリモートワークは情報漏洩対策がガバガバになっているのを時々見かけませんか?
これを容認している会社は社内規定をすぐ見直すべきだと思います。
そのパソコンの画面がスマホで撮影され、いつSNSで晒されるかわかったもんではない。

ゲーム開発でも情報漏洩が起きないよう、「喫茶店など、不特定多数の人がそのパソコンの画面を目にしそうな場所でのリモートワークは禁止」というのをやっておくべきです。

<パブリッシャーの財務状況もチェックしておく>

ゲームの販売権を預けているパブリッシャーが倒産してしまう事もあります。

倒産時には本来受け取るべきゲームソフトの売り上げ金の一部を回収できなかったり、その債権回収のために色々な手間や時間がかかったり、自分のゲームの販売権についてもすぐに引き上げできず債権者達と話し合いをする事になったりと、色々面倒な事になってしまいます。

契約するつもりのパブリッシャーについては公開されている財務状況を調べるなどして、「このパブリッシャーならよほどの事がない限り倒産する事はないだろう」というところをできれば選ぶようにしましょう。


<パブリッシャーからの支払い間隔にも注意を>

ゲームリリース後はパブリッシャーから一定間隔で売れたゲームの利益(プラットフォーマーやパブリッシャーから色々引かれたお金)を入金してもらう事になりますが、その入金間隔についてはあまり長くしすぎないようにしましょう。

入金間隔が空きすぎると前述のように万一倒産した場合の未回収代金が大きくなってしまいます。


<パブリッシャー側も財務関係は一人ではなく複数人にチェックさせるように>

ゲーム業界に限らず色々な会社で財務を任せていた人間が横領するという事はたまに起きます。
そのため、パブリッシャーは財務については複数人で二重チェックさせるようにすべきです。
基本一人の場合もこまめな抜き打ち検査をしたり。

気づいた時には会社の金を色々使い込まれていたり、「本来インディーゲーム開発者達に支払う金を色々操作して、売れ行き本数の数字を減らして伝えて中抜きしていた」という不正を行われる事になりかねません。

横領額によってはパブリッシャーの経営に大きなダメージを受ける事もあります。


<少人数開発では人間関係や体調が悪化しないよう注意を>

大手や中小のゲームメーカーでは一部のパートの開発スタッフが体調悪化などで長期欠員となった場合、別のスタッフで穴埋めできる事があります。

しかしインディーゲームの少人数開発ではぎりぎりの人員しか用意していない事もあり、いずれかの人が体調悪化したり、人間関係悪化で開発から離脱してしまうとそのゲームは開発が止まってしまう事になってしまいます。

体を壊すような無茶をさせない事、心や体の健康のための適切な休暇や休憩時間の設定、また開発スタッフ同士での人間関係についても関係が悪化しそうな場合は早期から改善を図るようにしましょう。

人間関係は最初からいきなり悪化するというより、小さい関係の悪化の積み重ねで大きく悪化してしまう場合が多いため、チーム関係者の関係悪化には早期から対策をしていくべきです。


その3はこちらです。