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顔の見えない売り買い

アバターとは

ハンドルネームをつけて、自由自在にキャラクターを作り、現実では知らない人々と交流することができるアバター。
リアルな生活では行けない場所へ気軽に行ったり、空を飛んだり冒険したり。
自分好みの顔を作って、悠々自適に生活する。
どうぶつの森Miiなどのアバターを使ったことがある人は多いのではないでしょうか?
流行したアメーバピグZEPETOなどもアバターの一つです。
こういったアバターとecについて今回は語っていこうと思います。

私たちが利用するアバターでは、ほとんどの場合好きなように顔を作ることができます。
もちろんある程度のルールはありますが、好きな名前をつけて、好きな顔を作ることができます。
自分をアニメーション化したものでもいいし、全く違う理想の自分を作ってもいい。
誰かになりきってもいいし、性別を変えてもいい。
私たちが好みの服を着せ、好みのメイクをさせ、好みの名前をつけることで私たちの理想化した存在が誕生します。
アバターが愛される理由のひとつは、「なりたい自分」を作り出すという作業において、私たちが想像力を存分に働かせることができること、そしてその作業に熱中できることがあげられます。
こうして、匿名の存在として現れたそのアバターは、私たちに成り代わって行動します。
その行動は、現実世界のように制限されることなく、魔法のように自由に動き回ることができるのです。

アバターは分身

好きにカスタマイズできる顔と名前が特徴のアバターは、私たちにとって新たな自分となります。
アバターを作り出すことは、「分身」に近い存在、つまり自分が操作できる自分以外の存在を作り出しているということだからです。
そういった理想化された存在を作り出すことで、私たちは「自分という存在」から解放されます。
自分自身のコンプレックスから解放され、好きな自分で好きなことをできる、それは私たちが求める世界です。
映画「レディ・プレイヤー1」では特にそういったアバター世界が描かれていました。
なりたい自分を作り出し、バトルをしたり、カーチェイスをしたり、お金を貯めたり、ダンスを踊ったり。
リアルな自分自身ではできないようなことも、理想化されたアバターではできます。
冒険世界の中で、現実とは違う世界を生き、交流し、友だちをつくる。
例えば体が動かない人でも、アバターを作ることで世界を自由に動き回れるし、性別違和がある人もアバターの世界では本来の自分で暮らすことができます。
そういった新しい世界がアバター世界にはあるのです。

アバターとec


アバターを介したリアルなコミュニケーションとして、ecがあげられます。
ecとは電子商取引のことをいい、コンピューターネットワーク上での電子的な情報通信によって商品やサービスを売買することをいいます。
簡単に言うと、楽天市場やAmazonなどで個人の売買主が出店し、オンラインで売買できることです。
私たちの買い物は、今やリアルなコミュニケーションだけでなく、オンラインでのコミュニケーションが主流となってきています。
みなさんも一度はオンラインで買い物をしたことがあるのではないでしょうか?
顔の見えない出店者から物を買うと言うことに対して、抵抗がなくなっているのが今の私たちです。
彼らはアバターにしかすぎず、実際はどんな店舗か知らなくても、私たちは買い物をします。
これは広く「ネットショッピング」と呼ばれています。
最近は、物を買うだけでなく、自分のスキルを売ったり、ライター契約など仕事の取り引きもアバターで行われます。
実際に、クラウドワークスというオンライン取り引きの場では、「こういったもの何円で書いて欲しい」という雇用主に対して、ライターが応募し、契約を締結するといったことが行われています。
そこでは本人確認が必須ではなく、それぞれが選んだアイコン、つまりアバターを使って契約をしています。
顔の見えない雇用主と契約することは、リスクを負うことでもありますが、ネットショッピングが主流の今、そういったリスクはかなり低くなっているように思われます。


アバターとライブコマース


ecが主流の中で、今力を持ち始めているのが「ライブコマース」です。
ライブコマースとは、SNSでインフルエンサーや会社などが配信をしながら物を売ることを言います。
インスタライブなどで頻繁に行われている商品紹介や、リアルなサイズの紹介など、ライブコマースによって購買意欲がかき立てられ、購入へと導かれている人も多くいるのではないでしょうか?
こういったリアル配信では、視聴者からの疑問に答える形でライブが進んでいきます。
「この服とこの服を合わせたらどんな感じか?」「裏地をもっと詳しく見たい」など、視聴者の声に耳を傾けることで商品を隅々まで紹介でき、視聴者も様々な角度から商品を知ることで、商品に対する信頼感がうまれます。
インフルエンサーたちは、自分の契約した会社の商品を紹介したり、自分がプロデュースした商品を紹介するなど購買意欲の促進につなげています。
私たちがそういったライブコマースから物を購入する場合、配信者のことをよく知っているわけではありません。
配信者が会社であるとは限りませんし、実店舗に赴いたこともないこととんどです。
彼らはアバターに近い存在で、彼ら自身というよりは「物を売る人」としてのアバターを使ってライブ配信をしています。
有名な顔が知れているインフルエンサーであっても、その人自身が売るのではなく、その人が持っているインフルエンサーとしての力で販売を行います。
内面的なことを表現するのではなく、「物を売る人」というアバターとして、表面的なインフルエンサーとしての仮面を被って販売を行うのです。
もっと簡単なアバターとしての例を言うと、YouTuberのラファエルのように仮面をつけていたり、キズナアイのようなVtuberであったり。
そういったアバターとしての人物が物を売る時代が到来しています。

アバターの未来


こうしたecやライブコマースといった、アバターを介したネットショッピングは増えていく一方です。
顔の見えない相手から買うというのは、不安なことでもありますが、今の時代であれば普通のことでもあります。
品質などをきちんと確認し、相手が信用できる人物かを確認することで、オンラインでの楽な取り引きが行えます。
オンライン上で取り引きをするということは、画面ひとつで物を売り買いできるということであり、わざわざ遠くに足を運んだり、海外の欲しい物を買えずに落ち込む必要も無くなります。
アバターを介した取り引きは今後も増えていくでしょう。
私たちが出店する側になる機会も増えていくと思います。
その中で、きちんとした信頼を築くこと、そして品質の保証は重要になってきます。
ニセの商品を買わされたり、品質が保持できていないものを買わされたりした場合には消費者センターに相談してください。
消費者センターに相談し、動いてもらうことで、危険な出店者を摘発することもできます。


まとめ


アバター世界は楽しく、私たちが現実ではできないこともできます。
簡単に国境を越えたり、遠くの人と取り引きができたり。
アバター世界はゲーム世界においては一般的であり、それ以外の世界でもアバターを使える機会が多くなっているのです。
企業などがPRに使い、キャラクターとして対応することでクレームが少なくなったという話もあり、これからますますアバターは広がっていくでしょう。
細田守監督作品のように、アバターによって仕事ができる日も近いかもしれません。
ライブコマースでのアバター取り引きも今後さらに他のサービスにも広がっていくでしょう。
私たちにとって身近な存在となってきたアバターとどううまく付き合っていくかを考えていく時代が到来しています。


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