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Z世代と社会問題

今回の話題はZ世代と社会問題です。Z世代とはおおむね1990年代中盤から2000年代終盤までに生まれた世代のことです。年齢でいうと大体18~25歳を指しますが、近年はこのZ世代が社会へ関心が少ないとされ、問題視されています。なぜZ世代は社会問題への関心が低いのか、その関心度を上げるにはどうすればよいのか考えていきます。

Z世代の語源


Z世代という言葉はアメリカで生まれました。アメリカでは、約10年単位で誕生する次世代を、アルファベット順に呼ぶ風習があったのです。それは、1960年代中盤~1980年頃生まれが「X世代」と名付けられたことに始まります。その後の1980年頃~1990年代中盤生まれが「Y世代(ミレニアル世代)」と呼ばれ、それに続く世代という意味でZ世代と呼ばれています。

Z世代が育った背景


Z世代は、ITバブルの崩壊やリーマンショック、東日本大震災など、各家庭にもさまざまな影響を受けました。不況や不安な社会情勢を経験しているZ世代は、子供ながらに親世代の終身雇用制度の崩壊を見て育っています。そのため、経済面では基本的に保守的で、現実の生活を重視するリアリストの傾向があります。さらに現実的で実利を追い求め、将来を重視するという傾向も強いのです。また、Z世代は生まれたときからインターネットなどが普及しており、いつでも世界のニュースを知ることができる環境で育っています。そのため幼い頃から国際問題に関心を持ち、道徳意識も高くなっているのです。そして、SNSのツールを活用し、自分の意思を率直に発信する世代でもあります。

Z世代はなぜ社会問題への関心がすくない?


Z世代の若者はなぜ社会問題に無関心なのでしょうか。ここでは、Z世代の社会に対する価値観や意見を挙げていきます。

Z世代の投票率は低水準


選挙のたびに「若者の政治への無関心」が話題になります。しかし、今回の衆院選でも10代の投票率は速報値で43.01%と前回衆院選より少し上向きましたが、全体の投票率を相変わらず大きく下回っています。


その理由として一つは、若者は他の年代と比べて社会との接点が少ないことが挙げられます。人は年を重ねるごとにあらゆる社会問題を自分の問題として捉え始めるため、特に学生は同じ年代の社会人と比較しても投票率は乏しいと言えます。

二つ目は住民票に関する問題です。選挙の際、住民票に登録された住所に投票所入場券が送付されます。しかし、高校卒業後、県外の大学に進学した学生の多くは、住民票を実家のある市や町から移さないため、帰省しない限り進学先では投票は厳しいです。不在者投票といった救済制度はありますが、選挙管理委員会への書類請求や投票用紙の郵送が必要と、煩わしい手続きが多いのです。そのため、結果として徐々にZ世代は選挙から離れていってしまうのでしょう。

Z世代の価値観とは


Z世代は生まれた時から複数のSNSが身近にありました。また世界中の膨大な情報にアクセス可能な環境下で、さまざまな価値観に触れて育っています。そのため、多様性を当たり前のこととして受け入れており、自分らしさを尊重する傾向が強いです。さらには「モノ消費」よりも体験を重視する「コト消費」に関心を持ち、モノに対してこだわりを持ちません。個性の尊重がベースにあるため、高価なブランドよりも自分が気に入ったものやオリジナリティに魅力を感じます。Z世代が大切にしている価値観のひとつに「チル」があります。最近よく耳にする方も多いのではないでしょうか。これは「まったりする」というような意味です。Z世代にとって、自分のペースで居心地のいい時間を楽しむことや自分らしくあることが大切だ、ということを示しているのです。

Z世代は本当に社会に関心がないのか


Z世代は社会に無関心だという声や投票率が著しく低いという声をよく耳にします。では、Z世代は本当にその通りなのでしょうか。Z世代の持つ社会への考えを示していきます。

背景と関係している


Z世代の若者に率直な意見をある記者が伺ったところ以下のような回答が得られました。「勉強していないと、発言や投票をしてはいけないように感じています」、「身近にコンテンツがあふれていて、わざわざ政治に興味を抱かない」、「『意識高い』とは思われたくないから、政治の話題はSNSでは一切発信せず、友達と語り合うことも少ない。」などの声がありました。「意識高い」とは褒め言葉ではなく、揶揄する言葉です。つまり、友達から思われたくないなどZ世代にとっては抵抗のあることの一つだと考えられます。

大人たちへの失望


Z世代に政治への興味関心を聞いたアンケート調査の結果を示します。「関心はあるのだが、日本の社会問題への取り組みの遅さに失望を超えて無関心になってきた。自分が動こうとするとストレスで病みそうになるので、何もやる気が起きなくなってしまう」(男性・17歳) Z世代は社会に関心がないのではなく、何かいい案が提示されても取り組みが遅い日本政府に失望しているということが明確となりました。

Z世代と匿名SNS


Z世代は生まれた時からパソコンや携帯が身近にあり、学校でパソコンを操作したり、検索したり、動画を見たりとデジタルに触れてきました。ここではZ世代と匿名SNSのかかわりについて説明していきます。

Z世代のSNS利用率


リサーチ会社のネオマーケティングは、全国の15~41歳の男女995人を対象とした、普段どのSNSを利用しているかについてアンケート調査を行いました。

男性において、いずれの世代も1位が「YouTube」(Z世代:71.8%)でした。次いで「LINE」(Z世代:70.6%)、「Twitter」(Z世代:66.5%)です。

また、女性においては、1位は「LINE」(Z世代:82.0%)でした。次いで「YouTube」(Z世代:74.8%)「Twitter」(Z世代:74.0%)という結果です。

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Z世代の一つ前の世代をミレニアル世代と呼ぶのですが、ここでZ世代と簡単に比較してみましょう。「YouTube」はZ世代が74.8%であるのに対し、ミレニアル世代は55.2%でZ世代よりも19.6%低い結果となりました。また、「Twitter」はZ世代が74.0%であるのに対し、ミレニアル世代は21.2%低い52.8%という結果になったのです。このことからZ世代のSNS利用率はミレニアル世代と比較しても高いといえるでしょう。


匿名SNSのデメリット


匿名SNSのデメリットとして、無責任かつ他者を傷つけるような攻撃的な発言をする人も少なくありません。最近でもニュースで取り上げられている誹謗中傷や、災害時などによくあるデマ情報の流出がわかりやすい例です。誹謗中傷により人の命を奪ったことにより、賠償金命令が下された事件もありますし、災害時で混乱した状況下のデマ情報の拡散も実際にありました。匿名がゆえに、モラルがなく、歯止めの効かない発言をしやすい環境になる場合もあるのです。

匿名SNSのメリット


匿名のメリットは個人情報の保護が一つ挙げられます。名前や住所、その他にもネットショッピングの買い物履歴も個人情報に含まれます。また聞きづらいことを質問したい時や、誰かに相談に乗ってもらい時にも匿名SNSは役に立ちます。不安を感じる人にとって、匿名SNSは大きな役割を果たすのです。さらに誰がコメントしたかわからないため、その内容のみに焦点が当てられ、正確な返答があったり、評価されたりします。自分の気持ちを躊躇することなく、素直に言える点においてもメリットといえるでしょう。

匿名SNSを絡めてZ世代の関心を高める


近年では、匿名SNSのメリットをもとにZ世代の社会への関心を高める動きがはじまっています。匿名性のあるSNSの利用に慣れているZ世代の人が気軽にアクセスできて、意見を言えるようなニュースサイトなどです。これらの広まりはZ世代の関心の高まりに大きく関係すると思われます。

まとめ


いかがだったでしょうか。今回はZ世代と社会問題について深掘りしていきました。Z世代について知ることで、今後の社会問題の架け橋になったり、新たな社会問題の解決策を得るヒントになり得るかもしれません。興味があればこのメディアの他の記事も是非ご覧ください。今回は以上です。

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