見出し画像

廓庵禪師『十牛圖』 第三圖~見牛(けんぎゅう)

2023年のInstagram @tokujiro_official で投稿した”アスリートのコーチング”を加筆

廓庵禪師『十牛圖』
 第三圖 見牛(けんぎゅう)
 從聲得入、見處逢源。
六根門著著無差、動用中頭頭顯露。
水中鹽味、色裏膠青。
貶上眉毛、但非他物。
頌曰
黄鸎枝上一聲聲
日暖風和岸柳青
只此更無廻避處
森森頭角畫難成
和     仝
識得形容認得聲
戴嵩從此妙丹青
徹頭徹尾渾相似
子細看來未十戒
和     仝
驀地相逢見面呈
此牛非白亦非青
点頭自許微微笑
一條風光畫不成

六根門著著無差 動用中頭頭顯露

声(こえ)より得入(とくにゅう)し、見処(けんしょ)源(げん)に逢(あ)う。六根門(ろっこんもん)、著々(じゃくじゃく)差(たが)うことなし。動用(どうよう)の中(なか)、頭々(とうとう)顕露(けんろ)す。水中(すいちゅう)の塩味(えんみ)、色裏(しきり)の膠青(こうしょう)。眉毛(びもう)を貶上(さつじょう)すれば是(こ)れ他物(たぶつ)に非(あら)ず。
頌(しょう)曰(いわ)く
黄鸎(こうおう)枝上(えだうえ)一聲聲(いちせいせい)。日(ひ)暖(あたた)かに風(かぜ)和 (おだや)かにして岸柳(がんりゅう)青(あお)し。只(ただ)此(こ)れ更(さら)に廻避(かいひ)する処(ところ)無(な)し。森森(しんしん)たる頭角(ずかく)畫(か)けども成(な)り難(がた)し。
和(わ)する   第一(だいいち)に仝(おな)じ
形容(けいよう)を識得(しきとく)し、声(こえ)を認得(にんとく)す。戴嵩(たいすう)此(これ)より丹青(たんせい)に妙なり。徹頭(てっとう)徹尾(てつび)渾(すべて)相(あい)似(に) たるも。子細(しさい)に看(み)來(き)たれば、未(いま)だ十戒(じゅかい)ならず。
和(わ)する   第一(だいいち)に仝(おな)じ
驀地(まくち)に相(あ)い逢(お)うて、面呈(めんてい)を見(み)る。此(こ)の牛(うし)は白(しろ)に非(あら)ず、亦(ま)た青(あお)に非(あら)ず。点頭(てんとう)して自(みずか)ら許(ゆる) して微微(びび)として笑(わら)う。一条(いちじょう)の風光、画(かけ)ども成(な)らず。

六根門(ろっこんもん)、著々(じゃくじゃく)差(たが)うことなし。動用(どうよう)の中(なか)、頭々(とうとう)顕露(けんろ)す。

澄ました耳を頼りに道を進むことで自己の源にたどり着くことができる。「耳」だけでなく「眼」「鼻」「舌」「身」「意(心)」といった身体の6つの感覺器官はすべて自己と一体でなければならない。海のなかに『鹽』が、絵具のなかに『膠(にわか)』が溶け込んでいるように、日々の自己の中へと当たり前のように溶け込んでいるからこそ、心にある『眼』をしっかりと見開いて紛れもない自己を見つけることをする。
頌する
鴬が枝上で朗々と鳴いている。日も暖かくなり風も和んで岸辺の柳が青くなった。元来の自然そのものだから何の道理もなく物事の善し悪しを判断する事でもない。理屈はいらない本来の素晴らしさは言葉や道理で理解して自身のものとして出来るものではない。
和して   第一と同じ
牛の姿を見分けて、その声を聞き取って、戴嵩はそこから素晴らしい画を描き上げた。頭からしっぽまの先まで、まるで生きているかのような写し方である。しかし、眺めて見ていると、なにか一つ足りないものがある。
さらに和する    第一と同じ
ばったり出会って、真正面から牛が顔を現すと、そいつは白でもなければ、青牛でもなく、こっくりと自ら肯き、にっこりと笑い、ひときは美しいその輝きは、どうこから観ても不充分に思える。

教科書や他人さまのアドバイスは、今後の目標への指針と参考にはなる。

探している自己を掴まえようとすると、その自己は逃げてしまう。
教科書や他人さまのアドバイスは、今後の目標への指針と参考にはなる。
目標ができることで、何が必要で何が足りないのかを自ずと理解できる。
目標を追いかけることで、目標によって自己の成長していくことに気が付く。
 
廓庵禪師『十牛圖』~周梨槃特(しゅりはんどく)
「朝聞いたことも夜になると忘れて、自分の名前も覚えられず、名前を背中に荷 (にな)うほど、物覚えが悪い周梨槃特(しゅりはんどく)という釈尊の弟子がいた。周梨槃特は自分が情けなくなって門の外で泣いていると、見かねた釈尊が声をかけ、優しく慰め、一本の箒と『塵を払い、垢を除かん』の言葉を与える。『塵を払い、垢を除かん』という言葉を繰り返しながら掃除を毎日続けると、ある日、『汚れていたのは自分の心だったのか!』と得悟した周梨槃特を釈尊は褒めた。」という話しをApple創業者の故人に僕は伝えた。
 
#アスリートのココロ #禅のことば #禅語 #古典 #十牛圖 #心を調える #姿勢を整える #アスリートのコーチング #tokujirofirm

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?