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あるオーナー会社の話

長年繁栄し続けた家族経営の会社がありました。この会社は、オーナーが大切に育て上げた株式やその取引を中心に成り立っていました。

ある日、オーナーは突然認知症になってしまいました。彼はかつての頭脳明晰さを失い、自身の財産や事業に対する判断力を失ってしまったのです。家族や関係者は心を痛めましたが、彼のために後見制度を利用することにしました。

しかし、後見制度が開始されると、株式の譲渡に問題が生じました。オーナーは多くの株式を所有しており、これまでは自由に売買してきました。しかし、後見人の管理下に置かれると、彼自身の意思で株式を売却することができなくなってしまったのです。株式市場の動向や会社の将来に関する意思決定権を持っていた彼が、その権限を奪われたことで、会社の運営に大きな影響が出ました。

また、総会の開催も制約を受けることとなりました。会社の株主総会は、オーナーが経営方針を決定し、株主たちが意見を交換する重要な場でした。しかし、オーナーの認知症によって、総会の開催が困難になりました。
彼は会議の進行や議論に参加する能力を失ったため、会社自体が重要な意思決定ができなくなったのです。
会社の進路や戦略について株主たちが話し合う場は、彼の後見人の判断や他の関係者の意見に委ねられるようになりました。

このように、後見制度を利用することで、オーナーの株式譲渡や会社の意思決定が制約を受ける場面が生じました。
かつて自由に株式を売買し、会社を導いてきた彼が、認知症のために自らの財産や事業に対する自己決定能力を失ってしまったのです。

後見制度は、本人の利益保護や不正利用の防止を目的としていますが、その一方で自己決定の制約や経営の柔軟性の低下をもたらすこともあります。
このような事態を避けるために、オーナーが健康なうちに相続や事業承継について検討し、将来のリスクに備えることが重要です。
専門家の助言を仰ぎながら、適切な財産管理や事業継承の手段を選択することが大切になります。

最近はこのような相談が非常に増えています。

定款の変更によって十分な対応ができることももちろんがりますが、そうでないことも多いです。

敵対的な買収が仕掛けられることもあるでしょう。

弊所に来る相談の中にも会社が乗っ取られてしまったという話も少なくありません。

認知症を理解するためのセミナーも対応しております。
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