平成に生まれ昭和を愛する天才ふたりがデュエットした結果、当たり前に平成歌謡的名曲が生まれてた。
肯定する天才
天才の定義は色々あると思けれど、ぼくは『惑星のさみだれ』という漫画のキャラが主人公に向けて言うすこしくさいこのセリフが好きだ。
天才とは! 無限の肯定!
”ラッキーパンチを千回決めるすげーおれ” の直感を!
ありえねーと否定せずそれもアリだと千回肯定する者!
直感を肯定する内ラッキーパンチを千回実現するすげーおれ!
それが天才! 技なんかオマケ!
おれすげーの瞬間を! すげーおれの存在を!
肯定し肯定し肯定に肯定をかぶせろ!
考えるな!
直感し続け! 肯定し続け! 確定し続けろ!
この天才の定義を体現しているアーティストを二人、知っている。
清竜人と吉澤嘉代子
二人とも、「らしさがないのがらしさ」としか言いようがないくらいにつくる音楽は次々移ろってゆくのだけれど、そこに迷いは一つも見えず、むしろこの二人のつくる音楽には確かに上で言う「無限の肯定」が通底しているように見える。
一貫性はないように見えても、その時その時で自分がつくるべき音楽を直感し、まっすぐにそれをつくり、世に出している。そしてそれは必ず(彼らが直感した通りの)名作になる。
そんな息吐くように名作をつくり続け、「こんなこともできるのか!」と毎度ぼくらを驚かせる天才二人が、知らぬ間に手を組んでいた。
(この二人が天才だというのは、下の動画をすこし見れば多分わかります。再生しながらでもスクロールはできます。また、右上の共有ボタン→URLをタップでyoutubeアプリで見れます)
昭和を背負い、平成を生きる二人の歌
清竜人は29歳、吉澤嘉代子は28歳と、二人とも平成初期に生まれ、昭和を背負いつつ平成とともに生きてきた人間だ。彼らの音楽を聴いていると、この人たちはJ-POPも、逆説的にその土台となった昭和歌謡もどちらも愛しているんだなという感じがすごく見える。
彼らの直感のベースには間違いなくその二つがどちらも欠かせない存在としてあるはずだ。
そんな二人が平成の終わりに歌うべき歌は何かを直感し、つくった歌なのだから、当然こうなった。
『目が醒めるまで』
昭和のパッケージ。でもサビは圧倒的平成初期感!
前作での清竜人へのインタビューを抜粋。まさに。
自分的には“新しいかたちの歌謡曲が、この平成最後に向けてできたら面白いかな”というのがあって。80年代や昭和なアレンジに平成生まれの僕のメロディーセンスと歌詞の世界観の中でハイブリッドなものが生まれたら、それはそれで面白いだろうと。それもあってアレンジャーには、それこそ歌謡曲の全盛期を支えたベテランのみなさんに携わってもらい、僕のメロディーと歌とを料理していただいたんです。いわゆる当時にはなかった日本のオーソドックスな歌謡曲みたいなものを目指して。
“平成さ”のまとめに入ろうかなって(笑)。今後、このようなオーセンティックな歌ものでアルバムも作っていく予定なので、みなさんには楽しみにしていてほしいです。今後も当面は僕の表現するところの日本のオーセンティックな歌謡曲を、今の時代を見つめ直して、なおかつ新しいスパイスを加えたらどうなるかを体現していきたいですね。
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終わった平成を想う歌
としてこの歌を見ても面白いかなという感じがした。
ねぇ あの日々は胸の底永久に泳ぐの
貴女の匂いが満ちては引いていく
月灯りが酷く切ない夜は
名前すら知らぬ街で
目が醒めるまであなたの夢見てもいいですか
「名前すら知らぬ街」を新元号と思ってみる、みたいな。
PLANETS10を買いたいです。