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ナレッジフォレスト、あらゆる図書館でやってくれ!

ナレッジフォレストを知っているだろうか?

ナレッジフォレスト 知の森

図書館に溢れる[知の可視化, 共有]をテーマにしたコミュニケーション企画。メインとなる参加型インスタレーションでは、大きな森に見立てた場所に自身の好きな本を葉っぱに書いて紹介し、人と共有する事でコミュニティや知を成長させていく。インスタレーション終了後は葉を収集し、1冊の本に再編集したり、図書館の貸し出しカードに変形させたりし、更に知の共有を行う。
(富山市立図書館Facebookページより引用)

富山市立図書館。隈研吾が設計したらしい。斜めの吹き抜けと少しずつ角度を変えられた木の板の連なり、そこに差し込む光が超かっこいい。


この吹き抜けの上から垂らされた木の蔓のようなオブジェがナレッジフォレストだ。

ナレッジフォレストのチラシ。

拡大する

来館者が行う作業は単純。

紐がついた葉っぱ状のカードに、おすすめの本とその理由をコメントし、かざるだけ。

その飾り方がおもしろい。

参加者はウェブ上につながったカードの森を自由に眺め、自分が結び付けたいところにカードを結び付ける。

同じ作者のちがう作品をすすめているカードを見つけたらその隣に結び付けるもよし、まったく知らない作品だけれどコメントに惹かれるというものがあればそこに繋げるもよし。細かいことを考えずに適当につなげてもよし。

人が集まるほどに森はより密度を増して拡大していき、森が大きくなるほどより多くの人が引き寄せられる。

心地よい

上の写真を見てもらえれば分かる通り、ぼくが行ったとき、すでに森は結構な密度になっていた。

この森の中に佇んでただただカードをぼうっと眺めているのが心地よくてしょうがない。

「手書き」と「数珠繋ぎ」というシステムがすばらしいのだ。

年配らしき方がゴリゴリの純文学を達筆な文字で滔滔と薦めているかと思えば、小さな子どもがみみずのような字で大好きな絵本について一生懸命に語っていたりする。

あるいは誰もが知るベストセラーについて一人がすすめていたりすると、そこを中心に大量の葉っぱが密集してぐちゃぐちゃになっていたり、あまり知られていない作品についてボソッと書いた葉っぱがおいしげる森の中でひとつポツンと目立っていたり。

全体は不均一でカオスなのだけれど、ひとつひとつのカードには作品への愛情がしっかりと込められていて、暖かい。

出会いをデザインする

ただ心地いいだけじゃない。

ナレッジフォレストは「忘れていた思い出の本との再会」を、そして「まだ自分が出会っていない、けれど出会うべき本との新たな出会い」をデザインする。

子どもの頃に読んだ大好きな作品を見つけてコメントを読んでみると、そういう味わい方もあるか!とハッとさせられる。ああ確かにあの頃はそんな観点は思いもよらなかった、いまもう一度読んでみたらおもしろそうだな、なんて自然と思える。(ぼくはこのナレッジフォレストによって小学生の頃ミヒャエル・エンデの『はてしない物語』が大好きだったことを思い出し、今さら『モモ』を衝動買いしてしまった)

またそこを起点に数珠繋ぎを追っているうちに、見たことも聞いたこともないけれどきっと自分が好きなやつだ!という作品がボコボコと目に入ってくる。

もっと広まれ!

こんなもの、本好きにとっての楽園でしかない。だからもっと色んな図書館でやってほしいなとすごく思う。

いまは多分この富山市立図書館(しかも年に一回期間限定)でしかやっていないけれど、これが全国に広まったら場所ごとの森の「色」みたいなものが出てきて、それを比べてみるのも面白そうだ。

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