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【奈良】「春日野」の風景を見る

今年の3月に奈良へ行ってきました。

薩摩琵琶に縁の場所がいくつかありましたので、思い出と共に記述いたします。

奈良公園~東大寺

はじめに、奈良駅から歩いてすぐの奈良公園を通って、東大寺へ向かいました。

奈良公園には鹿がたくさんいます。どの鹿も愛嬌があって可愛いかったです。

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そして、日本一の大仏で有名な東大寺へ。
大仏を拝み、心が洗われる大変落ち着く場所でした。

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若草山と「春日野」

東大寺の近くに、若草山という緑に覆われた丘のような山があります。
ここへ来てふと薩摩琵琶歌「春日野」を思い出しました。


奈良の地はかつて、春日と呼ばれており、「春日野」はその地の野原を題材に、国が永く続くことを祝う古歌です。
奈良公園周辺をイメージして、「春日野」が作られたことは把握していましたが、若草山と聴いて思わず胸が高まりました。


「春日野」の文句の中に、"下萌え出ずる若草の"とあるためです。
偶然かもしれませんが、琵琶歌の文句と同じ、山の名前を見てやはり「春日野」は奈良の風景を見て書かれたものだと理解し感激しました。

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琵琶歌の「春日野」は次のように始まります。

春日野に、下萌え出ずる若草の、歳の戸明けて秋津国、霞渡れる片岡に、月は登りて雉子鳴く

緑豊かな丘に草が生え始めた年明けの日本、霞かかった丘に月が登り、雉子が鳴いているのです。
花鳥風月を愛でる日本人の感性が素晴らしいと改めて思います。

春日大社

若草山を先に進んでいくと春日大社があります。この神社も大変歴史ある場所ですが、我々士弦会の宗家、普門院紫城先生は春日大社で雅楽を学んでいました。
元々、雅楽は宮中内で演奏されるものであり、その伝統は現在の宮内庁で受け継がれていますが、宮中以外の人々も雅楽を習う人が現れ、春日大社などの神社でも雅楽を演奏される人がいたようです。

かつて、この道を宗家も歩いたのかと思うとそれだけで来た甲斐があります。

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戦前の頃ですから、今とはまったく異なる価値観で自分の魂が触れる楽理を学んでいたのでしょう。

初めて奈良へ出かけましたが、想像以上に美しい場所でした。

今回、立ち寄ることはできなかったのですが、東大寺の近くには正倉院もあります。
学校の教科書にも出てくる有名な螺鈿細工の紫檀材を使用した五弦の琵琶などが当時のまま、大切に保管されているのです。
奈良時代ですから、今から1400年も前なんですよね。本当に素晴らしい日本の文化をこれからも大事にしていきたいと思う旅路でした。

(徳)

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