琵琶士・徳将城

10代で薩摩琵琶を始め鹿児島から上京。以来、琵琶を弾き18年になります。現在は定期的に演奏会や明治神宮奉納などで演奏しています。※記事の終わりに(編集担当)と記載しているものは、徳本人ではなく裏方が記事を書いています。

琵琶士・徳将城

10代で薩摩琵琶を始め鹿児島から上京。以来、琵琶を弾き18年になります。現在は定期的に演奏会や明治神宮奉納などで演奏しています。※記事の終わりに(編集担当)と記載しているものは、徳本人ではなく裏方が記事を書いています。

マガジン

  • 琵琶旅

    琵琶に所縁のある地へ旅した記録です。感じたことやその地に関連する歌や歴史について記録しています。

  • 動画「映像×薩摩琵琶」シリーズ

最近の記事

国産ビールを作った薩摩人

夏を迎えてビールの美味しい季節になりました。なんだかんだ言ってもやはりビールが一番好きなお酒かもしれません。 赤星、エビスなどサッポロのビールをよく飲むのですが、このサッポロビールの前身を作った薩摩人、村橋久成をご存知でしょうか? 今回は村橋久成の人生を要約して解説してみたいと思います。 英国留学 ご存知の方も多いと思いますが、日本初の英国留学生は鹿児島から出発しました。 1865年(元治2年)のことです。 この留学生15名の中に、村橋久成も入っています。 薩摩が英

    • 「未完の西郷隆盛」を読んで

      最近YouTubeで東浩紀さんや成田悠輔さんと対談している動画を見て、先崎彰容さんが面白い方だと知りました。 舌鋒鋭く、日本近代史を引用した言説にとても魅力を感じています。 ウェブ検索すると沢山本を出されていたので、何か読みたいなと思っていたところ、なんと西郷隆盛に関する書籍が見つかり、即座にKindle版を購入しました。 未完の西郷隆盛: 日本人はなぜ論じ続けるのか (新潮選書) 今回は2017年12月に刊行された先崎彰容さんの著書「未完の西郷隆盛」を読んだ述懐をまと

      • 先生と過ごした時

         森園先生が逝去されて一年が経ちました。 http://satsumabiwa.com/morizono-shijou/ 寂しいな、ちゃんとお別れをしたかったな、と思いつつ時節柄どうしようもなかったと自身に言い聞かせています。  先生との出会いは21年前の夏。先生との思い出は夏の打ち上げ花火のようでありました。 戦前から戦後を生き抜いた深淵な人生訓、ビジネスにおける論理的思考、お酒の嗜み方、先生からの学びは私達の心に豊かさを与えてくださいました。 目的を達成するため

        • 徳三宝

          3月10日は大東亜戦争末期に東京大空襲という災難が訪れた日です。 東京大空襲では、11万人の人々が亡くなったそうです。 この空襲により、亡くなったと云われている徳三宝という人物を皆さんはご存知でしょうか? 鹿児島県徳之島出身の柔道家です。 大河ドラマ「いだてん」にも登場しましたし、小説「姿三四郎」のモデルとも言われているのでご存知の方も多いかと思います。 私は同性ということもあり子供の時分、 「徳です」と名乗ると、 「徳三宝を知ってるか?」 と地元鹿児島の方によく質問さ

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        • 琵琶旅
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          7本

        記事

          桑の木

          先週の投稿で、桑の木が希少であることを話しました。 桑の希少性に関するエビデンスが欲しかったのですが、ネットや手持ちの資料では見つからず、都立図書館のレファレンスサービスを利用させてもらいました。 レファレンスサービスは、都立図書館へ見つからない情報に関する質問をして、司書の方々に資料を検索してもらうサービスです。 レファレンスサービスについて 今回、レファレンスサービスを通じて水産業の漁獲高のように、樹木別の収穫データを残している資料はないか?と質問してみました。

          自然と環境と琵琶

          SDGsという言葉が世の中に出回って久しい。 3年ほど前に、初めて耳にした時はなんだろう?と思っていましたが、いつの間にか一般用語として浸透していました。 私は渡航経験がないため、外国の文化に直接触れたことはないのですが、持続可能性について日本は他国より優れたアイデアを持っていると思います。 日本の文化は、豊かな自然を持つ風土から生まれたと言っても過言ではありません。 島国ということもあり、自然と共に古い伝統が今に残っていると思います。 薩摩琵琶もその恩恵に預かって、40

          自然と環境と琵琶

          薩摩琵琶の分断

          世の中では「分断」という言葉が一つのキーワードになっているようです。 伝統と革新、光と闇、私の世代では"勝ち組負け組"という言葉も流行りました。 物理の世界ではエントロピーの法則とかで、『秩序が生まれると同じ数だけ無秩序が排泄される』、コスモスとカオスの関係性があると言われるそうです。 私が長年取り組んでいる薩摩琵琶にも同じような事象が発生しているのではないかと考え、薩摩琵琶で発生した分断とは何かの所見を地域と時代、流派別に話したいと思います。 出身地による分断 -鹿

          薩摩琵琶の分断

          右手と左手の役割

          薩摩琵琶のような弦楽器を演奏するにあたり、弦を弾く右手と弦を抑える左手をいかにコントロールするかは常に考えさせられる問題です。 ヴァイオリンやギターなどもそうだと思いますが、薩摩琵琶にも当然右手左手、それぞれの役割があります。 右手の役割薩摩琵琶は柘植や椿などで作られた扇形の撥を使用します。 短いもので七寸(約21cm)、長いもので一尺(約30cm)と他の撥弦楽器と比較すると大きな道具を使用します。 これは"薩摩琵琶を創始した島津忠良公が工夫した"、"侍が陣中で武器とし

          右手と左手の役割

          薩摩琵琶は50/50(フィフティ・フィフティ)

          琵琶と同様のルーツを持つ他国の楽器の多くは、器楽的に発展し、ギターやシタールのようになりました。 一方、日本の琵琶は物語を引き出すための、伴奏楽器として進化を繰り返してきました。 薩摩琵琶の歌と伴奏がどのように共存しているのか、私の経験を基にお話しします。 伴奏の役割薩摩琵琶は、語りの間に合いの手を入れます。 講談師が張り扇で間を取るように、語りと琵琶を交互に繰り返して物語を進めます。 また、琵琶の曲はイントロにあたる『謡い出し』(『弾き出し』とも言う)以外は、決められ

          薩摩琵琶は50/50(フィフティ・フィフティ)

          自由な表現をするには

          一般的に薩摩琵琶は古典、伝統芸能と呼ばれるジャンルに属すると思います。 実際、薩摩琵琶には沢山の琵琶歌が存在しますが、題材はそれぞれでも日本語の基本となる七五調で作られています。 また、歌う方も弦を弾く方もある程度旋律が決まっており、型ができています。 そして琵琶歌の文句に型を当てはめていくと、自ずと琵琶らしい表現となります。 このような特性を考えると薩摩琵琶の表現は、現代の我々にとっては少々堅苦しい印象をもつかもしれませんが、そんなことはありません。 なぜなら型をどこに当

          自由な表現をするには

          【京都】琵琶ゆかりの場所めぐり「月照」や鴨長明

          奈良と併せて、3月は京都にも行ってきました。 京都は長い歴史から、様々な文化が残っていますが、薩摩琵琶の演奏者として琵琶に関連する場所をいくつか巡って参りました。 訪ねました下鴨神社(河合神社)、清水寺、仁和寺について記します。 下鴨神社、河合神社と鴨長明下鴨神社、河合神社へ参拝いたしました。 この場所に関連する人物として、鴨長明がいます。 日本三大随筆の一つ「方丈記」を書いた鴨長明は、下鴨神社の禰宜を務める父の次男として生まれました。 鴨長明は歌人として一定の評価

          【京都】琵琶ゆかりの場所めぐり「月照」や鴨長明

          「桶狭間」MVの見どころ、補足など

          Youtubeに「桶狭間」の演奏動画をアップしました。4月に公開した桜狩と同じ方法を使って、背景に風景やエフェクトを入れた動画を流し、歌詞のイメージを視覚で補完しています。 前回と違って桶狭間は「夜」や「雷雨」のイメージが多かったため、全体的に暗い画になりましたが、カメラの設定やライティングの課題が見つかっていい勉強になりました。次回はもう少し機材面で準備をしておきたいと思います。 せっかくなので、今回の動画の見どころやお気に入りポイント、補足について、皆さんにお伝えした

          「桶狭間」MVの見どころ、補足など

          薩摩琵琶「桶狭間」/映像×薩摩琵琶シリーズ 第二弾

          イメージ映像をバックに薩摩琵琶を弾くシリーズの第二弾「桶狭間」をYoutubeにアップいたしました。 はじめて撮影&動画編集をした「桜狩」と比べて、音ズレなどもだいぶ減って見やすくなったかと思います。 雷鳴轟くイメージと薩摩琵琶の音が合わさる事でより迫力のある映像に仕上がりました。ぜひ、ご視聴ください。 (編集担当)

          薩摩琵琶「桶狭間」/映像×薩摩琵琶シリーズ 第二弾

          【奈良】「春日野」の風景を見る

          今年の3月に奈良へ行ってきました。 薩摩琵琶に縁の場所がいくつかありましたので、思い出と共に記述いたします。 奈良公園~東大寺はじめに、奈良駅から歩いてすぐの奈良公園を通って、東大寺へ向かいました。 奈良公園には鹿がたくさんいます。どの鹿も愛嬌があって可愛いかったです。 そして、日本一の大仏で有名な東大寺へ。 大仏を拝み、心が洗われる大変落ち着く場所でした。 若草山と「春日野」東大寺の近くに、若草山という緑に覆われた丘のような山があります。 ここへ来てふと薩摩琵琶歌

          【奈良】「春日野」の風景を見る

          【予告】薩摩琵琶「桶狭間」

          琵琶唄を知らなくても歌詞が分かる「イメージ映像×薩摩琵琶」シリーズ第二弾のダイジェストを作成しました。 ダイジェスト版は古い映画をイメージして「白黒&がさがさ画質」にしてみました。 完全版は近日公開予定ですので、ぜひご期待ください。 (撮影・編集担当)

          【予告】薩摩琵琶「桶狭間」

          薩摩琵琶「桜狩」/映像×薩摩琵琶シリーズ 第一弾

          琵琶唄を知らなくても歌詞が分かる「イメージ映像×薩摩琵琶」シリーズ第一弾です。 (撮影・編集担当)

          薩摩琵琶「桜狩」/映像×薩摩琵琶シリーズ 第一弾