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100年前のパンデミック「スペイン風邪」について、無料で読める漫画を作りました。

2020年5月にスペイン風邪の漫画をkindleで無料公開しました。コロナによってせっかく当選していた2020年の夏コミがなくなり、その鬱憤をぶつけた作品です。あれから半年が経過し、予想以上に多くの反響をいただき、作者冥利に尽きます。(DL、コメントをくださった方には感謝)

スペイン風邪漫画の評価

しかし、2020年11月15日現在では、この漫画の中で最も伝えたかったメッセージである「パンデミックには波がある」が現実のものとなりつつあり、恐ろしい感じもあります。

この記事は、「漫画のあとがき」として、原作のプロットを書いていた時を振り返りながら、スペイン風邪の波や、同時代の小説菊池寛の『マスク』などを参考に、スペイン風邪から学べるコロナへの取るべきスタンスについて思うところを書いていきます。

■スペイン風邪とはそもそも何だ?

スペイン風邪漫画画像1

そもそもスペイン風邪とは、↑で漫画の登場人物「CDC職員」が吹き出しで言っているように、1918年から1920年にかけて、世界で蔓延したインフルエンザで、当時の世界の全人口の4分の1に当たる5億人が感染したといわれるパンデミックです。

スペイン風邪は日本にも上陸し「流行性感冒」と呼ばれていた

スペイン風邪は日本にも上陸し、流行性感冒(りゅうこうせいかんぼう)と呼ばれていました。

この漫画を描く際にも参考にした、そのまんまのタイトル「流行性感冒」という本に日本にスペイン風邪が流行したときの詳細な様子が書かれているので、研究したい方はこちらを読みましょう。↓

流行性感冒(平凡社)


■スペイン風邪には3つの波があった

スペイン風邪には3つの波があった

もし、「結論として、この漫画で何を伝えたかったの?」と問われることがあれば、「スペイン風邪には3つの波がありました。新型コロナも同じように複数回の波があると予想されるので、長期戦に備えましょう」というのがアンサーです。

とくに、5月の頃は波状的にパンデミックが訪れるであうことがあまり伝えられておらず、なおかつ、ハンコ注射などをしているから日本人は致命傷になりにくいみたいな世論がありました。

BCG注射とコロナ感染は相関があるようですが、そもそもウイルスというのは感染を繰り返すうちに突然変異して進化していくので、それもいつまでもつかわからないわけです。

ウイルスは感染するたびに強くなる

「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」ではありませんが、実際に事実として過去にあった似たようなケース(=スペイン風邪)から今後のコロナ感染の傾向を予測して対策を練る方が、個人的には良いだろうと感じ、そういった警鐘を直球で入れ込んでいます。

・スペイン風邪の第1波は軽微な被害だった

とくに、日本ではなぜかスペイン風邪が流行り始めた当初は、そんなに被害者(死者)が出なかった。というのが5月のコロナ事情に似ていて、漫画のコマを見ながら不気味に感じ、苦笑いしていたのを覚えています。↓

スペイン風邪も最初はたいして被害が出なかった

・スペイン風邪の第2波(前流行)

しかし、数か月後の10月から、スペイン風邪の第2波(=前流行)が訪れ、26万人が死亡します。関東大震災の死者が10万人なので、このインパクトは推して知るべしでしょう。

スペイン風邪の後流行

日本のコロナ感染者

現状、日本のコロナ感染者は死者は少ないですが、新しい波が襲来しつつあるのは明らかです。

・菊池寛のマスク

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文芸春秋を作った菊池寛は、スペイン風邪が日本に訪れたときの様子を『マスク』という短編で描いていますが、その中でもスペイン風邪に波があったことが描写されています。

四月となり、五月となつた。さすがの自分も、もうマ
スクを付けなかつた。ところが、四月から五月に移る
頃であつた。また、流行性感冒が、ぶり返したと云ふ
記事が二三の新聞に現はれた。自分は、イヤになつた。
四月も五月もになつて、まだ充分に感冒の脅威から、
脱け切れないと云ふことが、堪らなく不愉快だつた。

この短編で描かれているマスクをつける、つけないの議論など、まさに現在の「ホリエモン餃子事件」などを彷彿とさせ、面白いので興味がある人は以下のリンクから読んでみてください。5分くらいで読めます。

➡『マスク』のPDF

■コロナは長期戦、結構な人数が死ぬことを想定すべき

コロナは長期戦

結局、スペイン風邪で日本では40~50万人が亡くなったのですが、今回のコロナもどこかのタイミングで死者が急増すると想定して生活するべきだと私は考えます。期間もスペイン風邪は少なくても収束まで2~3年かかっているので、最低でも同じ期間は続くと考えるべきでしょう。

とはいえ、経済が回らず破滅しては元も子もないので、go to eat や go to travel を政府はやってるわけですから、もうこれは行政や自治体に期待せず、自分の身は自分で守るしかないでしょう。

ニュートンはペストで大学が休校になって暇している時に万有引力を発見し、ペストで大量に人が死んだあと、ヨーロッパではルネサンスが訪れ豊かな時代になりました。歴史を見ると、基本的に多くの人が死ぬときに頑張って生き残っていると、ボーナスステージのような役得があるので、生き残りゲームだと思って生き残るのが賢明でしょう。

スペイン風邪とコロナには波がある

➡拙著『100年前の新型コロナ「スペイン風邪」の歴史を学ぶ漫画』はこちら(無料) 

(※子供向け、というか子供でもスペイン風邪がわかる、を近コンセプトに設計しています)

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