読書メモ #2(『ファンタジア』)

本日ご紹介する本はブルーノ・ムナーリ『ファンタジア』。著者はファンタジアを以下のように定義し、創造性を育むためのものの見方や視点についてのヒントを与えてくれる。

ファンタジア:これまでに存在しないものすべて。実現不可能でもいい。
(出典:ブルーノ・ムナーリ『ファンタジア』)

ここでは本で紹介されているファンタジアの要素を列挙したい。ものごとに変化や動きを加えたり、表現したりする時のヒントになると思われる。

1.ある状況を逆転させたり、相反するもの、正反対のもの、補足的なものを利用する
2.ある対象の一部を増殖させる
3.視覚的類似の関係、他の性質との関係からの類推
4.色彩を交換する
5.素材を交換する
6.場所を交換する
7.機能を交換する
8.動きを交換する
9.ディメンションを交換する
10.ひとつの対象に異なる要素を融合する
11.対象の重さを変える
(出典:ブルーノ・ムナーリ『ファンタジア』)

引用が多くなってしまったが、これらの事例は原本を参照されたい。

また著者はこうした視点をある対象に組み合わせることの背景に遊びの重要性を説いている。ある枠にとらわれず、遊ぶことで新しいことを発見すると強調している。一方で、無知なき自由はありえないとも説く。自律した遊びには知識も必要であり、その知識が自己表現の手段を操る力を与えてくれるとは趣深い示唆である。この点は、子供の遊びに知識は不要、といった前提や思い込みを持っていた点で個人的に新鮮だった。

ある対象に対するものの見方、意味付けのアプローチは無限であり、常に自分の主体的かつ能動的な見方をしていきたいものである。


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