久々にひとり旅したらタイのタクシーのおじさんを思い出した
もともとは泊まってくるつもりはなかった、大阪ひとり1泊旅。
参加しているオンラインサロンの3年ぶりのオフ会が東京と大阪で開催されることになって、私は大阪の会場にお昼の開催に合わせて出かけることにした。
夫に「出かけるね」とあらかじめ伝えたら、なぜか夫の脳内変換で私は1泊してくることになっていて『ゆっくりしてきなよ』という全く悪気のない気遣いがあり、オフ会以外に特に行きたいところも無いけどなぜか1泊することになった。
オフ会自体はもちろん楽しかったし、緊張しながら初めて参加してよかった。
転勤とコロナで近くに友だちがいなくなってからずっと家にいて夫しか話し相手のいなくなった私にとって、50音の発生の仕方も忘れそうだった私にとってはリハビリにもなるしとても楽しかった。
だけど他になんの予定もない1泊なんて、オフ会が終われば一人で何しようって途方に暮れるわけで。
夜はホテルでビールと大好きなおつまみグリーン豆をつまんでYouTubeさえ見てればいくらでも時間は潰せる。
だけど次の日の朝10時のチェックアウトと同時に帰宅するのももったいない気がしてる。
独身時代はひとりで海外旅行もするくらい色んなところに行っていたのに、外出規制か年のせいかしばらく出かけてないと好奇心が薄れたようで寂しい。
難波や梅田を街ブラ?USJ?どれも今日の私はぴんときてない。
オフ会で神戸から参加の女性の方が勧めてくれた吉本新喜劇がホテルから30分もあれば余裕で行けるのがわかった。
決まった。
明日は吉本新喜劇を見る。
翌日開演ギリギリに劇場に入って、約2時間の漫才や新喜劇を見てひとりで手をたたいて笑った。
笑って満足したら朝まで『何しようか』とモヤモヤしてたのご全部晴れたから我ながら単純に出来てて助かったぜと感心した。
帰りに新大阪で何か食べてビール飲んで帰ろうと決めていた。新大阪駅のホームページで見てたら串揚げのお店があるのを発見して途端に口の中が串揚げを食べる準備万端になった。
ただ実際行ってみたらちょっと躊躇してしまった。ほとんどがカウンターの立ち食いだったからだ。
海外によくひとりで行っていたと言ったけど、基本的にはビビリだから旅行前は入念に調べてから行くのだ。治安はどんなか、ひとりでもご飯が食べられる入りやすい場所はあるのか、どんな場所に近づいてはいけないのか。
ひとり旅をしている女性のブログや口コミを読みまくっていると段々とひとりで旅行する心構えができてきて、それからいざ出発!としていたわけなのだ。
たかだか日本の、大阪の、駅の中の食事、それだけのこと。だけど、知らない人の間に割って入ってひとりで食べることに少しだけ人見知りが出てしまった。
2秒くらいお店の前で立ち止まってしまっただろうか。
その間にも頭の中ではこんなことを考えていた。
・あ、女性ひとりの人が2人もいる
・しかもハイボールしっかり飲んでる
・テーブル席あるけど、そっちはダメなのかな
・あぁ〜テーブルは子供連れの親子が座ってるか
・女性ひとりでもジロジロ変な目で見られないかな
・お店のおじさん2人見えるけどどっちもすごい威勢がいいな
・威勢が良くて逆に変に絡まれないかな
数秒立ち尽くして考えながら、お店のおじさんが変な人じゃないか勘繰っていたら目が合ってしまった。
「どうぞ〜!いらっしゃいませ〜、こちらどうぞぉ〜ぃ!!!」
と女性2人の間の立ち位置を案内される仕草までされてしまった。
え〜い、もう行っちゃえ!周りのことなんか気にせず食べたいもの全部食べよ!
おじさん「飲み物何にしましょう!?」
私「生ビール1つお願いしますっ!」
牛串、しいたけ、もちベーコン、黒豚、紅しょうが、おじさんに言ったら熱々に揚げなおしてほくほくの串揚げが出てきた。
気を良くしてビールと串揚げを食べ進める。
おじさんが「揚げたての玉ねぎどうですか〜!玉ねぎ揚げたて美味しいよ〜!」とお客さんの前を回ってくる。
食べたい。揚げたての玉ねぎ絶対美味しそう、しかも甘くなってそう。
おじさんが玉ねぎを勧めながら私の方に近づいてきた。
おじさん「玉ねぎどうですかぁ〜ぃ」
私「玉ねぎくださ〜い」
おじさん「はいよ〜ぅ!」
言えた!
玉ねぎ甘くて旨い。
次におじさんは隣のお姉さんが注文してたレンコン串持って「おまちどうさま」って他のお客さんの所に行ってしまった。
他のお客さんも違うよの仕草をして、おじさんはアレっと言いながら私の近くで彷徨い始めた。
注文してた隣のお姉さんはスマホに夢中になってて気付いてないや。
私「こちらのお姉さんが」と手ぶりでおじさんに伝える。
おじさん「おっとっと、そうだった!」
それを見てたもう一人の店のおじさんが笑いながらその様子を見てる。私も笑い返す。
ふ〜っ。
食べ終わった串をまとめながら最後のビールを飲み干して、「ごちそうさまでした」とお会計をして立ち飲み串揚げ屋さんを出た。
旅の楽しみってこういう人との触れ合いが楽しかったんだよなと思い出した。
ひとりでタイのバンコクに旅行に行ったとき、ホテルの場所がどうしても見つけられなかった。
時間帯は朝で人も少なく、何度も何度も同じ道を行ったり来たりしているとタクシーのおじさんが声を掛けてきた。
バンコクに行く前に入念に下調べをしているとき、『タクシーはピンクのタクシーに乗るべし』というのを見ていた。ピンクのタクシーは法人だからちゃんとしていて、黄色と緑のタクシーはぼったくられるという情報だ。
話しかけてきたタクシーの色は、、、
黄色と緑!!
今だったら私の中の粗品が叫ぶくらいそのときは警戒した。
だけど運転席から声を掛けてくれたおじさんはどうやらさっきから右往左往している私の様子を見て心配してくれて声を掛けてくれたらしい。たぶん。
ホテルがわからないと私は地図を差し出したがおじさんも知らない場所らしかった。言葉もあまり通じなくて困っていたら、目の前の他のホテルのフロントにインターネットが使えるパソコンがあるからここで調べたらどうかと連れて行ってくれた。優しい!
結局インターネットの操作もタイ語でログインやら検索エンジンの立ち上げからわからずそこでは解決できなかったけど、困った私を見かねて助けてくれようとした黄色と緑のタクシーのおじさんの優しさからタイの人って優しいなという印象になった。
バンコク旅行中は他にも、るるぶか何かで見つけたラグジュアリーエステに行くときに道がわからなくなってしまい、近くにいた高層マンションの1階にいた警備のタイ人のおじさんに道を訪ねたこともある。
タクシーのおじさんより英語も通じなかったが、身振り手振りで方向やら交差点やらを親切に教えてくれた。
京都にひとり旅に行ったときは、道に迷ってもGoogleマップさえあれば大抵どこでも行けるし言葉も読めるから、私も誰の手も借りずに誰とも喋らずに旅行を終えた経験がある。
同じ日本より知らない海外の方が人と話してるなと気づいたら何だか面白いなと感じたことを、新大阪駅の立ち食い串揚げ屋さんの数十分のうちに思い出した。
私の旅行は歴史的な建物や有名な観光名所をめぐるのも大事だけど、現地の人と触れ合うこともとても印象深い思い出になっていくのだ。
オフ会で久しぶりに人と盛り上がって話したこと、新喜劇で手をたたいて大笑いしたこと、新大阪駅で知らないおじさんとちょっとだけ面白さを共有して笑い合ってしまったこと。
大阪に1泊してよかった、本当に。
また旅行に行きたい欲が出てきた。
今度は夫とふたり。
夫が仕事で行けなくても、いつかひとりで行くかもしれない。
観光と同じくらい、人と触れ合うためにまた旅行に行きたい。
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