キスの時に目を開けるか閉じるか問題が相互理解に発展した。

 キスをする時ついつい目を閉じてしまうのだが、彼氏にいつも「open!」と言われる、という話に以前ちょっと触れた。日本では普通目を閉じるものとされていないか、と思っていたのだが、あまりにも開けるよう促されるので、キスの本場での常識は目を開けるものなのだろうか、と、自分の常識の方を危ぶまないでもなかった。ちなみに元夫に目を閉じることを咎められたことはないが、こっちの男は、口を開けると咎めるのだった。口開けないでどうやってキスすんだよ!っていうか、口を開けるの目を閉じるの、うるせえんだよ!どっちでもいいじゃねえか!と思わないでもないのだが、多分、男にとって性愛の常識は岩よりも固いのであろう。ローカルルールだか俺ルールだかは知らないが、郷に従う方針でやってきた。

 さて昨夜、ラインで会話していた時に彼氏の大好きなスタンプを送ると(ネコがいちゃいちゃしている甘々なスタンプなのだが)、彼氏が「これダイスキー♡目を閉じてる時のトーコちゃんみたい♡」と言うのである。そこでわたしは「あなたは、オープン!って言うのよね、キスする時(^_-)。でしょ?」と言ってみた。すると彼氏は「Yes, キスする時、君の目の中を覗き込むのがスキ。すごくセクシーだから」と言う。なるほどな、そういう感性な訳だ、と納得したので、「わかった♡」と答えた後、「わたし、夢の中にいるような気持ちがするので、だから目を閉じるのよ(^_-)♡」と言ってみた。なんていうか、日本語ではこんなこと言わないよ、勿論、でも、なんていうんですか、キスする時の心持ちを分かりやすく伝わりやすいように英語で表現しようとしたら、こういう言い方になるじゃないですか。

 すると、彼氏からどでかい「oh」というスタンプが来た。「オモシロイ」「理解した。君の気持ち」。すごくビビッドな反応だった。多分、ヘレン・ケラーの「water!」っていうやつと同じ衝撃だったのではないですか。

 そういうフィーリングは彼氏にも覚えがあるものだったようで、「僕も時々そう」と言った後で、「僕たちあんまりしょっちゅう会えないから、深くそれを味わってるんじゃないかと思う」という結論になり、「アリガトーーーーーーー♡♡♡」という感謝にまで至った。キスを巡る態度の違いから、国際異文化理解につながり、さらに愛情が深まった瞬間であった。「日本では目を閉じるのがフツーなんだよ!」とかキレなくてよかった。

 AV男優の森林原人さんは、キスの時目を開けることを奨励しておられるが、それは「ふたりのコミュニケーションとしてのセックス」という観点かららしい。目を閉じると、ひとりのドリームというかファンタジーの世界に入ってしまうから。とはいえ、日本ではまだまだキスの時に目を開けることへのハードルは高いような気がする。女の子もそうだと思うが、男子もまた、キスの時に彼女の顔をガン見するタイプは少なそうだ。

 しかし、キスの話は一例であるとしても、お付き合いしてみると、ふたりの好みやら常識やらがなんか違う、と気づくタイミングはあると思う。それこそ、キスの時に目を開けるやら口を開けるやら、腕枕が好きやら若干疲れるやら(腕枕はされる方も意外と疲れたりする)、終わった後に賢者タイムが来るのかヘヴンに昇天するのかやら、シャワーに行きたいのかそのまま眠っちゃいたいのかやら、いろいろ(きれいな話にまとめることもできるけど、あえてベッド周辺の話のままにしておく)。その時、「普通常識的にこうだろ!?」と憤らないで、なぜそれが好きなのか、その何がいいのか、事後のピロートークにでもしてみたら理解と愛が深まるのではないかと、そう思った次第でした。

 彼氏が「女がセックスの好みとか語るのは、ちょっとありえない」というタイプだったら?うーん……そんな男は、「お引き取り願う」でよくないですか?女子も、「言わなくてもわたしのツボを悟ってくれ」はハラスメントだと思いますよ。今日もちょっと助平な話でした。


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