ネコの名前に見る異文化。ヒトの名前より、異文化。多分。

 彼氏があれしてくれない、これしてくれない、とうじうじ考えていた頃、「わたしは彼氏のネコとも仲良くしてるのに、彼氏はわたしのネコの名前すら覚えてくれない」とかいうことまでいじけていた。なんていうか、ほんとどうでもいいよね!勿論わたしは、彼氏のネコの名前から毛色から大きさから、誰から貰ったネコだとか煮干しとカニカマが好物だとかネズミとモグラと鳥を獲るのが上手だとか、ノミはいないけどお腹にムシがいるとか、そんな果てまで知っているんだけれども、そんなところまで、彼氏と自分の不均衡を恨まなくてもいいのだ。彼氏は彼氏でいつも、「君のネコたち、ゲンキ?」と気にかけてくれているんだし。

 彼氏にはお付き合いする前からわたしのネコの名前を教えたのだが、もう知り合って3年目に入るというのに、全く覚えないのだ。最初は(え、何で?興味がないのかなあ)と心がもやもやしたのだが、そのうちなんとなく理由に見当がついた。多分、日本風のネコの名前が、覚えづらいのだ。

 うちには3匹ネコがいるのだが、先輩格の2匹のネコの名前は、ミケだとかタマだとかいう、スタンダードな日本のネコ名だとはいいづらい。友人と一緒に、キャッチーで面白いやつ、みたいな方向性でつけてしまったので。昨年加わったコネコについても、これまた父親が安易に名付けたのだが、ちょっと風変わりではある。でもやっぱり日本だ、と思うのは、名前がヒトっぽくないのだ。多分日本のネコは、圧倒的に、モノに由来する名前のような気がする。毛色だとか、食べ物だとか、植物だとか、自然物だとか。

 彼氏のネコも、ディズニーのキャラクターの名前に由来するので、純粋にヒトっぽいとも言えないかもれない。でも、やっぱり日本とは名付け方が違う、と感じたのは、その、うちの新入りのコネコ(雌)の名前について話していた時だった。彼氏が、もう名前は決めた?と訊いてくるので、まだよ、と答えたところ、mickey か monica は?♡と提案してきたのだ。

 え、ミッキーかモニカ!?なにその、バタ臭くてヒトっぽい名前!?とてもうちの親に提案できない、と思ったので、曖昧に流してうやむやにしてしまった。なんか、モニカって、おっぱいの大きいブルネットの白人のおねえさんみたいなイメージがありませんか。ついでに、ミッキーって男の子の名前じゃないの?と思ったので、彼氏に訊いてみた。彼氏は、どっちにも使うと思う、待って、と言うので、しばらく待ったところ、ラインに、アメリカの mickey における性別の割合のグラフが送られてきた。確かに半々くらいでした。ていうか、そういう疑問にグラフで答えるんだ、と不意をつかれたし、そんなデータがグラフ化されてネット上にあるのにも、若干驚かされた。

 まあ、アメリカなりどこか諸外国のネコの名前が、みんなバタ臭くてヒト臭いかどうかは知らないんだけれども、やはり彼と我の文化の間には、ミッキーやモニカの類とミケやタマの類の違い、くらいの違いが、横たわっているような気がするのである。

 意外と、ネコにつける名前を選ぶ感覚、というのは、文化変容しづらい保守的な感覚なのではないだろうか。ネコの名前がヒト化すらしていないのに、日本人の若い子の名前は、どんどんバタ臭くなってきているし。セーラ、という名前のネコは見たことないけど、以前の職場の新入社員には、聖羅ちゃんという子がいましたよ。とはいえやはり個人の知見には限界があるので、うちのネコの名前はジェーンである、とかいう方は、是非情報をお寄せください。

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