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まえがき

 ひとつ前の個人誌『離婚した時、もうセックスは終わりだなと思っていた。』を書き上げた頃、その頃わたしは、元夫のことや元彼氏のことがすっかり片付き、(よっしゃ次行くぞ!)と心晴れ晴れ先に進もうとしていたところだったのですが、突然がっくりと体調が悪くなりました。この本は、わたしが体調の悪さに見ないふりをしてるわけにはいかなくなり、あらためて自分の中の問題と向き合った、約2年間の記録です。

 noteで記録を始めた当初は、もっとまとまった整合性のある物語を想定しており、そのため何度か仕切り直して再スタートも試みているのですが、結局のところ、とりとめもない日々の日記の集合のようなものが出来上がりました。振り返って思うに、回復の歩みというものは、「あれがあってこれがあったから、結果として今こうなりました!」というようなすっきりとしたわかりやすいものなのではなくて、右往左往で進んだり戻ったり、思いも寄らぬことが突発的に起きたり、まるで関係ないようなところに考えが飛躍したり、全然繋がりがないようでいて底の方では全部繋がっているような、ああ、人間って本来そういうものなんだろうな、というような、そうやって丸ごと進んでくるしかないものだったんだろうな、と実感します。

 タイトルの『あれは、赤い花。』は、YAPOOSの歌『赤い花の満開の下』から取りました。傷つきながら歩んできた誰かの記録を見るとき―それは文章かもしれないし歌かもしれないしフィクションかもノンフィクションかもしれないのですが―、わたしは、ああ、同じ地球の闘う仲間(パイセン!)がここにもいる、と心強いような泣きたいような気持ちになります。同じようにこの本が、今格闘中のあなたの何かしらの力になればいいな、と思います。わたしもまだまだ道の途中です。わたしたちの未来に、つつましやかだけれども鮮やかな、赤い花がありますように。

2021年6月

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個人誌『離婚した時、もうセックスは終わりだなと思っていた。』に続く、傷つきと回復の約2年間の記録。わたしたちの未来に、つつましやかだけれど…

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