見出し画像

被服

出来ればいつも、澄ましていたい。

私の内側にある愚鈍で浅ましい部分が私の外側に染み出していかないように、綺麗で整った被服をいつも誂えていられればと、心の底から思っている。

でも実際はそんなに上手くいかなくて。外界から向けられる針でブスブス刺されて、誂えた被服は簡単に破けて、いたる穴から愚かさが流れ出ていくような、そんな感覚を抱えながら日々を生きている気がする。

もしかしたら、刺されてる針なんて周りからしたら大したものではなくて、私の用意した被服があまりに脆いだけなのかもしれない。

でも、外からの刺激に耐えられる分厚い上着を用意できるだけの器用さも持ち合わせていないみたいで。幾重にもなるその稚拙さと聞き分けの無さに、いてもたってもいられなくなる。

どうかいつか、私が外界に存在している唯一の証明であるこの身体と、対外のために拵える自分の被服を、脆さも含めて愛せますように。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?