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感覚統合ってなんだろう?

トッケンの遊具づくりで、改めて大切にしていこうと考えているのが「感覚統合」の考え方です。

この記事では、なぜ感覚統合に着目したのか、感覚統合について調べる上ではじめに知った「感覚統合」や「感覚」の意味などを紹介します。

きっかけ

吊りブランコ

商品のヒアリングや遊具設置の現場に行った先で、以下のような話をよく耳にしました。

「多動の特性をもつ子が、トランポリンで跳ねて気持ちを落ち着ける」

「吊りブランコの導入で園児の転倒が減った」

現場の先生からは、こどもたちが「好きな感覚」で情緒を安定させたり、身体を動かすための前段階として「感覚」を刺激したりするのだと伺いました。

どちらの話も初めて聞いたときは、体感としてわかるような気持ちが半分、不思議なことが起きているような驚きが半分といった印象でした。しかし、自分の力で気持ちをコントロールすることや、身体をうまく使えるようになることは確実にこどもの生きる力につながることです。

このようなエピソードを、トランポリンや吊りブランコの単純な効果として見る前に、もう一歩奥へ踏み込んで「感覚を使うこと」がどういうことなのかを理解することで、「生きる力」に寄与できる遊具づくりができるのではないかと考えました。

大きなテーマではありますが、私たちが感覚統合について学んだことを共有していきたいと思います。

感覚統合とは

感覚統合のはたらき

そもそも「感覚」とは、自分の身体がどのような刺激を受けているのかを感じる器官です。周りの状況や自分の身体の状態をインプットするものなんですね。

このインプットである感覚を、整理したりまとめたりする働きを「感覚統合」といいます。生活の中で絶え間なく入ってくる膨大な感覚の中で、注目するものを選定したり、刺激を受け入れる量を調節したりすることで、その場に応じた動作や注意の向け方ができるのです。

人間の脳は、このようにして得た感覚の情報に合わせて、アウトプットである身体の動きや思考をコントロールしていきます。

3つの基礎感覚

3つの基礎感覚

人間の感覚というと「五感(触覚、視覚、聴覚、嗅覚、味覚)」という言葉が有名ですが、それに加えて「二覚(固有覚、前庭覚)」といった感覚もあります。

固有覚は固有受容覚とも言われ、筋肉や関節で身体の位置や動きや力の入れ具合を感じる感覚です。前庭覚は耳の奥にある三半規管などで身体の傾きやスピード、回転を感じる感覚です。

五感が身体の外側にある環境の刺激を受けるものであるのに対し、二覚は自分の身体の状態を受けるものというイメージです。五"感”と二"覚”で感覚なのですね。

「固有覚」「前庭覚」に「触覚」を加えた3つの感覚は、基礎感覚と呼ばれ、7つの感覚の中でも特に基本的なものです。まだ目が見えない・音が聞こえない、生まれたばかりの赤ちゃんにも備わっています。基礎感覚を下支えに、さまざまな姿勢や動作ができるようになっていくのです。

感覚統合では、この「基礎感覚」を重視してトレーニングを行います。

感覚と発達

感覚統合はそれぞれの感覚を感じ取るところからスタートします。さまざまな刺激を受けて、それぞれの感覚で分類や調節がうまくできるようになります。そして複数の感覚を組み合わせることができるようになるのです。

「姿勢を保つ」「目で追う」などの簡単に思える動作も、適切に調整して感じ取った感覚を組み合わせることで初めて出来るようになります。

姿勢を保つ動作

どんな複雑な動作でも、分解していけば36の基本的な動きの組み合わせであるように、環境や自分の状況を感じることも、7つの感覚(五感+二覚)で感じた刺激を上手に組み合わせて取り入れている結果なのです。

さまざまな刺激を何回も経験することが、感覚統合の発達につながります。そのため、さまざまなことに興味を起こさせる「ワクワクする気持ち」や「できた!」という達成感や失敗の少なさがとても重要です。

特別支援に関わる先生だけでなく、運動遊びを専門とする先生からも「達成感は大事」と、ことあるごとにお話いただいています。


参考URL:

"「感覚統合」とは? 発達障害との関係、家庭や学校でできる手助けまとめ". LITALICO発達ナビ. https://h-navi.jp/column/article/35025964, (参照 2020-02-18)

"「1人ひとりの「感覚の特性」を考えよう!よく聞く感覚統合ってなに?". LITALICO発達ナビ. https://h-navi.jp/teaching/professional_articles/100004, (参照 2020-02-18)


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