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【競争社会の乗り切り方】闘争領域の拡大/ウエルベック③
前回の記事に引き続き、『闘争領域の拡大』について書きます。
情報が氾濫している現代においては、自分の本当の望みに気づくことは簡単ではありません。どうすれば良いでしょうか。
合理的な思考を武器に如才なく出世を重ねた本作の主人公。しかしいつの間にかメンタルを病んでしまった。
しかし、一つだけ、人生の喜びが残っていました。
喫煙は、僕の生活において真に自由といえる唯一の部分となってしまった。僕という存在をあげて完全に賛同している唯一の行動だ。僕の唯一の投企だ。
一般論を言えば、喫煙にはデメリットしかありません。健康への悪影響、税金による財布へのダメージ、喫煙の度にオフィスの片隅に押し込められる肩身の狭さ。
しかし、それを上回る満足が喫煙者本人にはあるのでしょう。私は煙草を吸いませんが、お酒は飲むので置き換えてみるとなんとなくわかります。
僕はこの世界が好きじゃない。やっぱり好きじゃない。僕は自分の生きている社会にうんざりしている。広告には反吐が出る。コンピュータには吐き気がする。コンピュータ技術者という僕の仕事は要するに、照合すべきもの、合致させるべきもの、合理的判断の基準を増やすことだ。なんの意味もない。はっきりいって、ネガティブなものでさえある。ニューロンにとっては、無用なかさばりだ。この世界で、余計な情報ほど要らないものはない。
合理的判断、客観的基準はあなたの幸せとは必ずしも一致しません。というか、自分が恵まれていないと感じているなら両者は相反しているのです。
では、冒頭の問いに戻って、具体的にどうすれば自分の本当の望みに気付けるか?
それは「一人の時間を作ること」です。
コンピュータや広告から離れて、ゆっくりと思索する時間を持ちましょう。仕事が忙しくてそれどころではないかもしれませんが、意識するだけでだいぶ違いますよ。
追記
少し話は飛びますが、作品の舞台は1990年代です。レストランで煙草を吸う描写があります。
比べて今は大分喫煙者への風当たりが強くなりましたね。そこまでしなくていいのに、、、と思います。
闘争領域 = 「合理的判断の押し付け」領域 の拡大は順調に進んでいますね。
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