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「これも何かの縁」を重ねていくと、ひとはやがてフィリピンパブにたどり着く

出張の多いフリーランスです。
出張先でいい感じのお店にふらっと立ち寄る。そんな楽しみを覚えてしまったフリーランスです。

一人でふらっと飲みに出かけると、不思議と「何かの縁」というものの存在を感じさせる出来事がよく起きます。先日も貴重な体験をしたのでnoteに記録しておこうと思います。


一日目。

その日も出張先で仕事を終えて、いい感じのお店を探していたら一軒の昭和な感じの小さな海鮮居酒屋を発見。

カウンターに座敷席。まだ早めの時間にもかかわらず、座敷では仕事の打ち上げなのか会社員風の人たちが宴会をしています。

刺し盛りに、焼き蛤、海老の塩焼きなんかを熱燗で楽しんでるとおじいちゃんが来店。カウンター、ときざきさんの2つ隣に着席。

「あれ?この曜日に来るなんて珍しいじゃないですか。」
「〇〇に用事あって。終わったらこんな時間だからさ。とりあえずシメサバちょうだい。」

常連ですね。
noteでは2枚目以降の画像が掲載できないみたいで残念ですけど、このお店すごく美味しくてお酒も進んじゃいます。日本酒も5合超えたあたりでお腹いっぱいになってしまって

「お母さん。お会計お願いします。あと、ごめんなさい頼み過ぎちゃったみたいでエシャレット余っちゃいました。」
「じゃあ、包んであげるから持って帰りなさいよ。味噌はいらない?家のやつ使えばいいもんね?」

こういう優しさが嬉しいですよね。

「味噌つけてあげて。ついてたほうが楽だもんね。」

そこに突然おじいちゃんが会話に乱入です。さすが常連さん。でも、そういうの嫌いじゃないです。

「シメサバ食べた?ここのシメサバ最高だよ?」
「気になってたんですけど、お腹いっぱいになっちゃって食べそびれちゃいました。」
「シメサバ食べなかったら後悔するよ。大将、このお兄さんにシメサバ出してあげて。お金は俺のに付けといていいから。」

常連さんていうのは、だいたいどこの常連さんでもお節介なものですよね。
でも、そういうの嫌いじゃないので(これも何かの縁かな?)と、エシャレットが包まれるのを待つ間、お言葉に甘えてシメサバをご馳走になりました。

「ここ以上に美味しいものだすお店なんて、この辺にはないよ。ここ以外のお店行ったら後悔するよ。」

そうして、「あれも、あれも美味しかったなぁ。帰りに寄りたいラーメン屋さんあったけど、もう食べられないなぁ。」なんて考えながらホテルに帰って行きました。

二日目。

この日も昨日と同じ店に行くことに。
気に入ったお店はリピートする派です。

「いらっしゃいま...あら、昨日のお兄さんじゃない。」
「美味しかったからまた来ちゃいました。」

「あれ?昨日のお兄さんじゃん。そうだよ。ここ以上に美味しいものだすお店なんてこの辺にないよ。他のお店に行ったら絶対後悔するよ。」

あら、昨日のおじいちゃんじゃないですか。さすが常連。今日も来てるのか...(まぁ、これも何かの縁だな)と、カウンター、おじいちゃんの隣に座ることに。

「今日は刺し盛りなんてやめておきな。一品づつ頼んだ方がいいよ。シメサバとアジ刺しだね。それにしておきな。」
って、勝手に俺のオーダーも決めちゃうし。でも、そういうところも何かの縁かなと。

「日本酒は昨日飲み過ぎちゃったから、今日はチューハイで。あとシメサバとアジ刺しもください。」

「お兄さん年いくつなの?」
「38歳です。」
「じゃあ、俺の子供と一緒だ。俺68歳だから。」
「じゃあ、うちの父親と同い年ですね。」

そこからは、フリーランスとして働き始めた頃の話し、フリーランスとして結婚した話し、結婚して子供が生まれてそうして気が付いた責任とか、働きかたへの気持ちの変化とか...色々な話をしました。居酒屋で知り合った、父親と同じ年齢のおじいちゃんとこんな会話するのも、まさしく「何かの縁だな」と。

「泣いちゃうヨォ。そんな話聞いたらおじさん泣いちゃうよぉ〜。」
「なんかおじさん歌いたくなって来たよ。カラオケ行こう。カラオケ。」
「カラオケですか...?」


でも...「まぁ、これも何かの縁か」と68歳のおじいちゃんとカラオケをすることに。

「こっちだから」
(こんな住宅街にカラオケボックスなんてあるのかなぁ?)とぼんやり考えながら、おじいちゃんに導かれてたどり着いたのは一軒のフィリピンパブ。

(そうか。おじいちゃんくらいの年齢の人たちにとって、カラオケとはボックスではなくてスナックとかパブなんだぁ)と新しい気づきをしつつ「まぁこれも何かの縁か」と入店。

68歳のおじいちゃん、50歳のフィリピン人、38歳のときざきさんという奇妙な組み合わせのカラオケは、その後2時間続き、そして

「じゃあ、また出張で来た時にはあのお店で会いましょう!」
「他の店に行ったらダメだよ。あのお店より美味しいものだすお店なんてこの辺にはないんだから。」

と、最後までおじいちゃんの名前を知らないまま、最後までおじいちゃんはときざきさんの名前を知らないまま、連絡先を交換することもなく別れたのでした。


まとめ

翌日、コートのポケットに入った飴玉3つ(記憶にないけど多分フィリピンパブでもらった)と、鏡月の飲み過ぎで冴えない体をお土産に出張最終日を過ごしたのでした。

そう言えばカラオケを歌う時に、おじいちゃんがやたら「前出て歌いなよ。前出て。」って言ってきたのですが、どうやら、前に出る(お店の中央で歌う)と、お店の女性が寄り添ってくれて、その時に多少のお触りが許されるシステムみたいです。

またひとつ、無駄な知識が増えちゃいましたね。


結論。「これも何かの縁」を重ねていくと、ひとはやがてフィリピンパブにたどり着く。

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