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クリスマスの贈りもの

今年のクリスマスは、友人たちとクリスマス会をする予定だった。
大勢でクリスマス会をするなんて学生時代ぶりで、とても楽しみにしていた。
そして、密かに余興でギター二重奏をやろうと思っていて、休日のたびに少しずつ練習していた。
間に合うかな…と不安になりながらも、久しぶりに人前で演奏することにとてもワクワクしていた。

ところが、その2日前に息子が体調を崩してしまった。
風邪気味だったところに脚の痛みも加わり、動くのもつらそうで、ずっと家にこもっていた。
クリスマス会も、翌日に行くつもりだったコンサートも、すべてキャンセルした。

予定がなくなったクリスマスの週末。
とりあえず朝が来て、息子へのクリスマスプレゼントを開けた。
息子は新しいLEGOにとても喜んで、サンタさん来てくれてよかったね〜!と言いながら、夢中になって遊んでいた。

あとはどんな風に過ごそう…
その他のクリスマスらしいことはすべてクリスマス会でするつもりだったので、なにも用意がなかった。
とりあえずチキンだけは買ってきたけど、だんだん雪もひどくなり、その後は外に出るのも億劫になった。
息子は食欲もないようだし、ケーキはまた今度でいいか…
去年まではちょっとしたご馳走とケーキくらいは食べていたのだけど、今年は特別なこともなく時間が流れていった。

3時頃、そろそろおやつでも食べようかなと思っていたら、玄関のベルが鳴った。
クリスマス会に夫婦で参加していた友人が、雪の降る中、手にケーキを抱えて立っていた。
夫婦でひとつしか食べなかったから、残りのひとつを私たちのところに持ってきてくれたのだと言う。
その心遣いが嬉しくて、心が温かいもので満たされていった。

さっそく紅茶を淹れて、一切れのケーキを家族3人で食べた。
あっという間になくなってしまったけど、とても美味しくて、満たされた気持ちになった。
これがもし自分で買ってきたケーキだったら、こんな気持ちにはならなかったと思う。

これからも、毎年クリスマスが来るたびに、美味しいご馳走やケーキを食べて過ごすのかもしれない。
でも私は、3人で一切れのケーキを食べて温かい気持ちになった今年のクリスマスを忘れないだろう、と思った。

友人夫妻にはもうすぐ赤ちゃんが生まれる。
赤ちゃんを心待ちにして幸せそうにしている2人の姿を見て、私もとても嬉しくなった。
我が家に素敵な贈りものと温かい時間を届けてくれた友人夫妻にも、これからたくさんの幸せがやってきますように。

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