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エッセイ『デタラメだもの』

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デタラメに生きる。デタラメに暮らす。薄暗い世の中をデタラメに生きるための処世術、バイブル。妄想まみれで日常を綴るエッセイです。
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#おもしろ

料理が苦手だと主張する人は、なぜに料理が苦手なのかを深堀りした結果、レシピ解説に潜む落とし穴に気づいた。『デタラメだもの』

今日中に物語の発想を創出せねば締切に間に合わないやん、どうするのん、と思考をグルグルと巡らせていると、「そういえばなぜ、世の中には料理ができないと主張する人がいるのかしらん?」という疑問が芽生えてしまった。疑問が生じたからには、これを考え、煮詰めない手はない。 皆さん、インターネットというものをご存知だろうか。インターネットと呼ばれる世界にはたくさんの情報があるとされているが、言い換えてみればそれは、たくさんの先生が存在することを意味する。 試しに、「かぶと 折り方」と検

人の人生には、他人じゃ知り得ないドラマがある。自らの生き様に誇りを持ってみようじゃないか。『デタラメだもの』

数ヶ月前、事務所を移転し、オフィス街のど真ん中から、比較的住宅街に近い町へと移ったわけで。以前は、どこを見渡してもエナジーを滾らせているビジネスパーソンで溢れかえっていた景色が一変、今では散歩中のおじいちゃんや買い物に向かう奥様方、ワイワイと賑やかな声をあげながら下校する小学生たちが、アットホームな様子で心を癒やしてくれる。 そして何より特筆すべきなのが、移転先の事務所が、社会人として最初に勤めた会社から徒歩2分程度の場所に位置しているということ。それなりに長くお世話になっ

物語を書くには脳みそを解放してやらねば。雁字搦めの日常の中で脳みそを自由にするには、なかなかの苦労が必要だ。『デタラメだもの』

物語を書くときの脳みそというのは、かなり解放を求めてくるわけで、日常雑多なことをやりながら、なかなかどうして脳みそが切り替わってくれなかったりもする。 何を思ったのか、140文字の文字数ピッタリで超短編小説を書く。それも毎日新作を公開するなんてことを打ち立てたもんだから、恐ろしいことに、自分に課した締切は毎日やってくる。雨の日も風の日も、もちろん風邪の日も酔っ払っている日も、容赦なく締切は迫ってくる。なんとか物語が書けるように脳みそを解放してやらんといかん。 その昔は、旅

年齢を重ねるごとに最近の曲の歌詞が覚えられなくなる現象。その謎をひも解いていると、生命の危機に遭遇したじゃないの。『デタラメだもの』

最近の歌がまったく覚えられない。好んで何度も何度も聴いているのに、歌詞は覚えられないし、メロディも難しい。鼻歌を口ずさんでいるときですら、何度も立ち止まってしまう。軽妙に歌って気持ちを愉快にさせる鼻歌でさえ、これほどまでに苦労してしまうのか。 それに比べると、若かりし頃に覚えた楽曲は、いつまで経っても忘れない。忘れようとしても思い出してしまう。歌詞の一字一句まで鮮明に記憶している。きっと、アーティストが急病でステージに立てなくなり、代役に抜擢されたとしても、完全に歌い上げる

日々の生活にオプションを加えることで、ルーティーン化した毎日が劇的に豊かになる。『デタラメだもの』

自然の中で食事をする。例えば、バーベキュー。そういった際に人はたいてい、「やっぱり外で食べるご飯は美味しいわぁ」と言ってのける。やっていることはと言えば、ご飯を食べているに過ぎないが、外で食べるご飯は美味しいわけだ。 いやいや。バーベキューは、火を起こしたりみんなで協力したりしながら食事を拵える醍醐味があるからこそ、「やっぱり外で食べるご飯は格別だわぁ」と言いたくなるんだよ。と主張したくもなるが、仮に自宅でお弁当を拵え、それを持参した上で自然に赴き、レジャシートで寛ぎながら

最近の若者は――というセリフを徹底的に分析してみた結果、辿りついたある答えとは。『デタラメだもの』

最近の若者は――というのはよく聞くフレーズで、年齢を重ねた人たちが、自分よりも年の若い人たちに言うセリフ。最近の若者は――。 思い返せば社会人になりたての頃、さんざんっぱら言われた記憶がある。「ワシらの若い頃はもっとしっかりしてたのに」「最近の若者は根性が足りない」「近頃の若い奴は何を考えてるのかサッパリ分からん」とか何とか。 このセリフが持つ意味の解像度を上げてみよう。言わんとしていることは、時代が進むにつれ、若者が弱体化しているということだ。年配の方々は、きっとそうい

飲み会の場に遅れて参加するのは、とにかく気が引ける。迷惑かけたり悪口言われたりが気になって、足が前に進まない。『デタラメだもの』

よほどの権力者でもない限り、自分の時間というものは、ある程度、誰かしらに主導権を握られているわけで。特にお客さんを相手しながら仕事をしていると、そういうことは日常茶飯事。 さあて、仕事も終わったことだし、一杯やりに行こうかしらんと腰を上げた刹那、急な連絡が入り、「夜中までにデザインの修正やっちゃってぇ」などと依頼が舞い込んだりする。詳細内容を確認するために電話をかけてみると、先方は既に飲み屋。ガヤガヤと音がやかましく、内容が聞き取れないなんてこともある。人並みに殺意は覚える

卵かけ御飯について書こうとしていたのに、気づけばエッセイについてのエッセイを書いていた。『デタラメだもの』

外出を自粛したりすることで、物書きとして何に困るかというと、ネタに困ってしまう。あちこち出歩くわけにも行かず、街を行き交う一風変わった人たちを眺めることもできず、新鮮なネタに出会う機会がめっきり減ってしまうというわけだ。 もちろん、何らかの物事に対してそれを改めて見つめ直し、深堀りすることで、もはや当たり前になってしまった事柄に再び光を当ててあげることはできる。人が意識すらしなくなったものに対し、わざわざ言及したりすると、「変わった切り口だね」などと頭を撫でてもらうこともあ

数字を使って説明したり説得したりする行為は、ときに詭弁を弄している場合がある。騙されるな、数字のトリックに。『デタラメだもの』

人に何かを説明したり説得したりするとき、数字を用いると分かりやすいよ、伝わりやすいよといった定説がある。とどのつまり、「この道を真っ直ぐピャーッと走ったら、あっちゅう間に着きますねん!」という感覚に頼った説明よりも、「この道を真っ直ぐ3分ほど進むと到着しますよ」と、クレバーに数字を交えて説明したほうが伝わりやすいよね、という話だ。 とは言え、数字を駆使して説明したり説得したりする行為は、ときに詭弁を弄しているように思えて仕方がない。例えば多数決なんかが分かりやすい例だろう。

カラオケとは戦いの場。気を使わねばならないことが多すぎて、歌唱に集中なんてできるわけがない。『デタラメだもの』

それにしてもカラオケというものは、戦わなければならないことが多すぎて落ち着かない。歌唱を楽しみに行くというのが本来の目的のはずなのに、意識せねばならんことが多すぎるため、のんびりなんて唄っていられない。 人間という生き物は、大きくふたつに分けられる。それは、自らの歌唱中に、店員さんがドリンクを持って室内に入ってきた際に、歌唱を止めるタイプの人と歌い続ける人。このふたつのタイプしか存在しない。じゃあ、自分はどっちのタイプなのかというと、圧倒的に前者のタイプだ。 過去にカラオ

嫌なことを最後の最後まで取っておき、渋々取り組むことは、すなわち心の筋トレである。ということを全力で主張してみた結果がこれ。『デタラメだもの』

嫌なことは先に済ませておこうと考えるタイプの人と、嫌なことは嫌なことなんだから最後の最後まで取っておいて、渋々取り組もうと考えるタイプの人。超大まかに見ると、人間はこの2つのタイプに分かれる。 どちらがいいのか捉え方には個人差があるが、チャッチャと片付けてしまい、残された時間を快適で優雅に、晴れ晴れした気持ちで過ごす。嫌なことを先に済ませるほうが、きっと優秀でスマートなやり方なんだろう。そして後者はというと、どうにも怠惰で怠慢な印象があるのは否定できない。 しかしだ、嫌な

なんでも後回しにしたくなる、人間の怠慢さを矯正するアプリケーションを思いついたのだが……。『デタラメだもの』

人間という生き物は、やたらめったら、やらなければならないことを後回しにしてしまう。やらねばならないと分かっていても、それを後回しにして、愉快なことや簡単なこと、単純なことや欲望を満たすことを優先してしまう生き物だ。 例えば仕事の場面では、「このミスを報告したら、めっちゃ怒られるんだよなぁ」というシチュエーションがある。自分にとってのマイナスが決定していることに関しては、殊更後回しにしてしまいがちだ。トラブルはできるだけ早く対処したほうが、火は炎と化さないし、鎮火できる可能性

コマーシャル中に女優の菊池(仮名)の隣で踊る彼女も彼も、実は成功者であることを忘れてはいけない。『デタラメだもの』

嗚呼、何かで一発当てて有名なりたいわあ。何かで一発当てて金持ちなりたいわあ。パソコンやらスマートフォンをピコピコと触っていると、仰々しい意見や物々しい主張を世間に発信できたりもする時代。ふとしたきっかけで世の中に出られるんちゃうの。一発当てられるんちゃうの。と、現実逃避しながらニュース番組などを見ていると、ふと気づいてしまったことがある。それはコマーシャルを見ていたときに気づいてしまった。 著名なタレントさんがあるメーカーの商品を手に、歌って踊ったりするコマーシャル。タレン

笑いを取りに行ってスベったり、誰かをイジッたりしている様子が、もしも盗聴されていたとしたら?『デタラメだもの』

それにしても、実に生きづらい世の中になったものだ。世知辛い世の中になったものだ。こんな人間にまで、盗聴の魔の手が忍び寄ってくるんだもの。盗聴といっても、まぁ、アレなんだけどね。まぁ、そんな、アレなんだけどね。 仕事上、客先に訪問して、事業のことについてあれやこれやと偉そうにアドバイスしたり、「やれ、どのように改善すればどんな風に数字が上向きまっせ」などと、尊大ぶった態度でベラベラとおしゃべりする機会が多く、長い時には2時間近く喋りっぱなし、なんてこともある。 まあね、大阪