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銀一郎先生に献杯!

最初に:これはまあ、思い出記事です。なので、無料で全部読めます。気に入ったら、応援してください。その上で、「モンスターメーカー」のメモリアル版が出るそうなので、それを遊んで、いや、それだけでなく、色々なゲームを遊んで酒のんで、人生を楽しみましょう。献杯!


 11月24日は今年1月に亡くなられた日本ボードゲーム界の重鎮、鈴木銀一郎先生の誕生日であったそうだ。あんまりしんみりするのは銀一郎先生も喜ばないでしょうから、今もゲームを遊んで、酒のんで人生楽しんでますよ!というのがいいでしょう。まあ、そういう訳で銀一郎先生に献杯!

 一杯目は、霧島瑪瑙で。

 朱鷺田は色々なところで、お世話になったので、その関わりを語っておきたいのだが、ちょうど最近、先生を思い出す話が二つばかりあったので、そちらを先にしよう。

 先日、「惨劇RoopeR」のBakaFireさんと飲む機会があり、彼のゲーム的なルーツの話になったのだが、実は彼の親御さんが鈴木銀一郎先生率いる翔企画の大ファンで、物心つくころには、翔企画の製品が家にあったそうだ。いきなり難しいシミュレーション・ウォーゲームは出来なかったが、『モンスターメーカー』に影響されたと思しきカードゲームを幼稚園の頃に自作していたり、ゲームボーイやスーパーファミコンでのモンスターメーカー関連の作品を遊んでいたりした。銀一郎先生は憧れの人であり、BakaFireさんが「惨劇RoopeR」でブレイクした後、いずれ、銀一郎先生と語り合えることを夢見ていたが、道は交錯することなく、そこは残念だったそうです。熱のこもった思い出話に、私は銀一郎先生のゲーム語りが重なり、銀一郎先生のデザインが受け継がれているように感じました。ここにも孫弟子がいますよ、先生!

 2杯目は、フラスコに少し残った1965の一口を。

 ゲームマーケット2021秋には、銀一郎先生のメモリアルブースがあったのである。そのブースに行く前に、3Dプリンターでゲームフィギュアを作っている石膏粉末Pさんと話していたら、小さなフィギュアを見せてくれた(ヘッダー参照。写真提供:石膏粉末P)。鈴木銀一郎先生をモデルにした魔法使いのフィギュアで、ファイアボールの呪文を放ったところで、杖の先から飛び出したファイアボールが飛んでいく先からの照り返しまで再現されたものだった。これをぜひ、銀一郎先生に見ていただきたかったが、コロナ禍でその機会を得られなかったという。

「自分は、鈴木銀一郎先生とは接点がなかったが、2019年のTRPGフェスティバルの企画で鈴木先生のお顔をスキャンして3Dプリンターで胸像を作ることになり、ご自宅に伺って作業をした。その際、スキャン後にビールをいただいたのが最後の思い出になってしまいました」

 TRPGフェスティバルの企画は無事成功し、石膏粉末Pさんが是非とも銀一郎先生に御礼をしたくて作ったのがそのフィギュアだった。これは新しいフルカラー光造形3Dプリンタや新しい3DCGソフトを駆使したもので、頭部の形状データを流用し、首から下の形状と全体の色データを新しく作ったのが2020年5月。あとは実際に出力するだけだったが、コロナによるロックダウンが始まり、銀一郎先生を訪れることは出来なかった。これに、当時利用していた出力サービスの終了やコロナ禍の影響も重なり、作業は約1年半停滞、2021年11月になってようやく完成した。
 その魔法使いのフィギュアは、往時の銀一郎先生がJGCでスターウォーズのコスプレをしていた頃を思い起こさせてくれた。

 懐かしい話だ。これでは酒が足りない。

 3杯目は少し強くしよう。六ジンをオンザロックで。

 朱鷺田が鈴木銀一郎先生と出会ったのはいつの事だろうか?

 私がボードゲームを意識した大学生の頃、今から40年前になるが、その頃すでに、先生はお髭の鈴木大佐として、シミュレーションゲーム業界の中心におられ、ホビージャパン主催のTAC-CONで壇上におられるのを眺めていました。その後、「モンスターメーカー」がブレイクし、鈴木先生はカードゲームのデザイナーとしても大活躍することになりました。

 朱鷺田が鈴木先生とちゃんと接触できたのはたぶん、ログアウト誌の「おこんないでね」(田中としひささん)の企画で『ディプロマシー』を遊んだ時のことでした。見事に負けました。いや、これが達人の技ですねえ。

 その後、色々お世話になりました。ことに、スザク・ゲームズを作った際には色々相談に乗ってもらいました。挨拶に伺った私は、そのまま、神保町のウォッカ・バーに連れていかれ、沈没する羽目になりました。

 その後も、ゲームで何度かお相手いただきましたが、勝てた記憶がとんとございません。先生はお酒が大好きで、お会いするたびに飲んでいたような気がしますが、私自身が全然弱くて、最後までお付き合いすることが出来ず、すいませんでした。

 そう言えば、TRPG文華祭のオープニングで早速、飲みだしたのはよい思い出です。開会式の始まる前から、「いや、歯が痛くてね」と言い訳しつつ、ブラックニッカの小瓶を出す先生の横で、それならお付き合いしましょうと、私も、当時、凝っていた謎の混成酒の小瓶を出します。いいちこをベースに、はちみつと唐辛子をぶっこみ、さらに、ウィスキーやらシェリーや、ハーブリキュールを混ぜた「謎の酒」である。度数もそれなりにあるが、味は、ちょっと、今どきのエナジードリンクみたいなものだ。これを常時、携帯しているあたり、私もいい加減、ヤバいのだが、早速、自分の酒を飲みきった先生が、「それ、美味いのかね?」と物欲しげに言う。さっそく、一口飲んで「ひどい酒だな」と言いつつ、二人でその瓶は開会式の最中に空になった。

 ああ、思い出すと、楽しいものだ。なんだかんだで、銀一郎先生とはもう少し飲みたかった。最後の最後まで、ゲームが好きで、勝負事が好きで、色々なイベントで、ファンとゲームをするのが好きな方でした。負けず嫌いで、まあ、そこがいいんですが。

 まあ、私も来年、還暦です。そのうち、もう少しましな酒を持っていきますよ。それまでは、ゲームして酒のんで、そうするのがいいですよね、先生。では、献杯!


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