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網走1日目:ご当地限定ソフトクリームは絶対に食べる

近頃仕事が忙しかったせいでよく調べて来ませんでした。というのは言い訳で、美味しそうな物だとか泊まる宿の設備だとかについては通勤電車の中で調べて無邪気にニヤついていた。

ガイドブックを買おうにも北海道は広い。とても広い。北海道はでっかいどーだとか洒落を言っている場合ではない程の広大さで、網走を含む情報を得るにはその周辺地域の知床や阿寒湖エリアを中心にして買う必要があった。実際観光資源は一冊にまとめるほど多彩ではなく「網走 観光」を画像検索してみると流氷と網走監獄の写真が交互に出てくる程度だった。そして救いようがないことに「調べないで行くのがちょっと楽しい」という感情を私は捨てきれないでいる。

女満別空港では到着便に合わせて市街地行きのバスが待っている。そこまでは順調だった。数十分移動して市街地の中心部にある網走バスターミナルに降り立ったところで、
(これはちょっと大変な旅になりそう)
と思った。言葉を選ばずにいうと網走は「結構な田舎っぷり」で(※個人の感想です)、中心地であるはずのバスターミナルで降りたのも自分の他には2人程度。道ゆく人もまばらだった。田舎であること自体は想定内だ。豊かな自然が特徴で監獄が有名で現役刑務所が徒歩圏内の場所が都心部な筈もない。むしろ自分としては喧騒から逃れて来たので歓迎したいのだけれど、こと車なしの旅行者にとって、田舎エリアは主に二つの点において注意が必要であることを私はよく身に染みて知っていた。知っているのに同じ轍を何度でも踏んでしまう。

ひとつめ、そして最大の難関として、田舎は交通の便が悪い。
バスがすぐ来ない。電車も来ない。二時間に一度の頻度で来ても、人がほとんど乗っていなかったりしているのでその本数の少なさは当然なのだけれども、車社会だから主要施設間の距離が徒歩圏内ではない。限られた時間の中に可能な限りのイベントを差し込んでいきたい旅行者にとっては神経を使うところだ。

ふたつめ、施設の営業時間が短い。
主に飲食店。ランチタイムの14時ラストオーダーは当たり前で、15時台に脚を休めるため店に入っておやつとコーヒーなんていう考えは簡単に通用しない。ディナータイムも油断していると20時ラストオーダーで終わってしまう。以前、旅先の宿で昼寝しすぎて寝過ごし食いっぱぐれた夜に唯一開いていた酒屋の売店でカップ麺を買ったところ箸がついていなくて歯ブラシを使って食べたこともある。歯ブラシは口に入れるものなんだから私は何ひとつ間違えていないと強く念じた。

それに比べれば中心部にコンビニが点在しているだけ良い状態とも言えるが、13時過ぎ到着の便だったので、時刻は既に14時を回ろうとしていた。お腹が減っていた。
初めて来た街で空腹故にぽつんと立ち尽くす気分はちょっとした孤独のグルメではあったものの、私は井之頭五郎氏ではないのですぐさまスマホを取り出しGoogleMapで検索した。私は彼と違って特に食事に対して一期一会を求めていない。ただただ準備不足な旅行者だ。GoogleMapなら現在時刻で営業中の店を絞ることができる。すぐ近くにラーメン屋があった。北海道でラーメンはあまりにも最高。到着直後の昼食として申し分ない。

Google先生が指し示すピンの位置まで来ると、そこには綺麗なシティホテルが建っていた。珍しくもホテルのラウンジに併設されたラーメン屋さんだった。

外に人が歩いていないしラストオーダー直前だったので当然店の中も安定のノーゲスト。落ち着いたホテルの雰囲気の中で浮いているラーメンの券売機。


塩醤油ラーメン

トッピングのゆずピールが爽やで、スープも透明感があってすっきりとしているけど、出汁がしっかり濃くて美味しかった。お上品なラーメンでございました。


初日は早めに風呂に浸かってゆっくり休みたかったので、徒歩圏内で廻れるモヨロ貝塚と、2日目以降の移動手段として目論むレンタサイクルの情報収集とあわよくば予約が出来ればと「道の駅流氷街道網走」へ行くことにした。
地図上では近く見えるけど徒歩では地味にしっかり距離がある。それぞれ徒歩15分ずつくらい。手荷物以外はバスセンター近くの宿に預けてから向かった。

モヨロ貝塚
資料館があるっぽいけど発掘跡しか見当たらない・・・・・・と疑心暗鬼になって掘られた穴の中を覗き込んでいたら、林の奥にちゃんと博物館があって安心した。

発掘された土地が保存され残されている

モヨロ貝塚に特化した展示物なのでこじんまりとしているものの、丁寧で分かりやすい解説と設備で満足度が高かった。最終日に行った北方民族博物館の展示でも「モヨロで見たやつ!」の発見があったので来られてよかった。


道の駅 流氷街道網走

地産品や土産物が売っている他、レンタサイクルの受付をやっている。ちなみに二階にあるフードコートキネマ館のラストオーダーは終わっていた。
自転車移動は今回の旅程に組み込めるかしばらくヤキモキしていたのだが、数日前公式ホームページで旅2日目以降貸し出されることが判明し、心の両腕を左右に振って空気を切り「セーフ!!!!」をやった。滑り込みのレンタサイクルだった(早すぎてタイミングが危うかった時も滑り込みという表現でいいのだろうか)。
道の駅に到着すると、壁のレンタサイクル金額表を覆った紙を、ちょうどスタッフさんがベリベリと剥がしているところだった。どれだけ自転車借りたい観光客が来たんだと思われそうだけど旅の恥は掻き捨てと言う。
天気予報では2日目の天気が良いということだった。本当は一番時間の余裕がある2日目に網走監獄と北方民族博物館を狙っていたけれど、網走監獄エリアは数少ないバスが通っている観光地だ。2日連続で自転車レンタルしても良かったが、最終日は用事が終わり次第で空港に向かう方が動線的に良い(バスターミナルに対して網走監獄などの方が空港寄りの立地だし、バスの本数も少ない)ので、返却の手間を考えて3日目はバス移動だと決めた。
案内カウンターで「明日のレンタル予約できますか?」と尋ねたところ、即時「出来ますよ」との返事。
当日レンタルする気満々で行って全部貸し出されていたりしたら全ての予定が狂うかも、という不安があったので大変有り難かった。自転車の種類はママチャリタイプとクロスバイクタイプが選べて、お値段は少し高めだけれど電動アシスト付きも選べた。エクササイズをしたい訳ではなく移動手段として必要なのでアシスト付き一択だった。平日デスクワークでぐだぐだフィジカルとなっている私を全力でアシストして欲しい。アシスト付きクロスバイクも選べたが、長時間乗れる気がしないので安全にアシスト付きママチャリをお借りした。

無事に翌日の脚確約に成功しほくほくとした気持ちで土産物コーナーを物色しようとしたところポケふた地図が入り口間近にあった。鹿児島県指宿市がイーブイとその進化系を独占してズルいぞとして私の中で有名なあのポケふただ。

さすが広大なる北海道

ポケふた数がすごい。ロコンかわいい。
北海道、ずるいんだよ。私の中の都民様感情が「通勤楽しくなるから山手線全駅にポケふた設置してくれよ」と傲慢なことをのたまって嫉妬した。実際そんなに多くアクセスしやすいところに設置されてしまったら観光資源としての魅力を減らし迷惑をかけてしまうから実現することは無いだろう。でもいいなァポケふた。
網走のポケふたはマニューラらしい。設置場所とした館内マップに矢印が書かれていて、まさかと思ったらそのまさかだった。


流氷の時期ならさぞかし絵になるだろうなと思ったけど北海道の冬季ポケふたは漏れなく雪で埋もれるのでは?

かわい〜〜〜〜〜い
網走→網走といえば刑務所→網走刑務所といえば寒くて悪い人がいる→あく&こおりタイプ→マニューラ?
最高。地元の特性に合わせてキャラクターを選定しているところが最高。

道の駅には他にも網走が舞台となった映画「北の桜守」のセットが展示されていたり、オホーツクの海を見渡せる2階展望デッキがあったりと観光地の道の駅として申し分なかった。思わずソフトクリームを買って食べた。

はい最高

ミントのスッとする香りが遠くでしながらもベースのミルクが濃厚で、そこに塩気も加わりとても美味しい。上機嫌でソフトクリームを舐めながら宿に戻った。

宿では、空腹を覚えなかったので夕飯を食べることなくNetflixで北の桜守を見始めた。

が、内容があまりにも重厚で幸薄く物悲しい。2018年の映画であることは何度も確認したし、助演の堺雅人も最近の堺雅人の姿なのでそれは間違いないはずなのだけど、明らかに昭和中期の「キネマ」だった。舞台は間違いなく網走でありオホーツク海であるのだけれど、浮かれたご当地限定ソフトクリームを食べた日に見る映画ではない。
まだ夜は長く余裕もあったけれど「帰宅してから拝見します」と主演の吉永小百合様に誓った。


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