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問題の背景にいる人、いない人

先日、ETV特集「ルポ 死亡退院 」を見た。



患者への暴力行為が明るみに出た精神科病院・滝山病院を追ったもの。
今回の事件が発覚する前から取材を続けていたという。渾身の、という言葉が相応しいような番組だった。

現場の状態についてなんとなく予想はしていたけど現実はそれよりだいぶ酷く、また、番組では構造的な問題もあぶり出されていて、見たあとかなり嫌な気持ちになった。

当該の病院では、透析が必要な患者さんや高齢の方、生活保護を受けている方などが多く入院している。入院とはいえ、そういった方がほぼ“姥捨山”のようにそこに収容されている…というのが実態なようだ。
内部告発により発覚した音声で、病院のスタッフは「うちみたいな存在は社会にとって必要悪なんだよ」というようなことを言っていた。酷い、と思う。しかし事実なんだろうとも思う。それが悔しい。

ブワーッと思い出されたのは、入院してた時に他の患者さんから聞いた「私達のことは、普通の人はわからない」と言う言葉や、自助グループで「ここでなら生きてられる」と笑ってた友達の顔だ。

「普通の人」と自分達を分ける理由、どこでも生きてていいはずなのに「ここでなら」と言ってしまう理由。その背景には誰がいたのか,あるいはいなかったのか?考えただけで怒りに震えてしまう。

これは単純に滝山病院だけの問題でも精神科医療だけの問題でもないだろう。社会的弱者についての問題を、包摂ではなく、排除と隔離で対応し、また、それを「仕方ない」としてきてしまった社会全体の問題なのだと思う。
そこにはもちろん、私自身も含まれる。

個人の責任を、社会全体の責任と直接結びつけるのはちょっと違うかもしれないし、当該の病院はしかるべき制裁を受けるべきだ。
しかし、どこかを悪だと決めつけて糾弾し、潰したとしても、同じような「悪」が出てくるだけだろう。社会は個人の延長にある。自分で出来ることはたかが知れているけど、せめてその排除には加担しないという意識と態度を持って生活していきたい。

現在、NHK+にて配信中。明日、3月1日の24時には再放送があるそうです。しかし結構、削られるのでメンタルに自信がないとしんどいかも…。でも知った方がいいとは思います。



今日の絵

それを受け止められたら

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