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鋭利な美学(楠本まきの話)

ぽちぽちと漫画作業。
やっと漫画を作るスイッチが入ってきた…。

というわけで漫画の話。

「赤白つるばみ」楠本まき

現在、弥生美術館で開催中の「線と言葉・楠本まきの仕事展」で購入。
楠本まき、個人的には暗喩的な表現と耽美と退廃…という印象だったんですが、この作品ではあまり暗喩じゃない形で、個人が持つアイデンティティの多様さと、それを肯定する姿勢を描いていて、すごく好きだった。
説教的でも押し付けでもなく、そういったことを(楠本作品としての空気を保ちつつ)サラッと描くバランスが絶妙。

また「震災前に描いた作品なので、震災後の現実とは違う」というのをあとがきではっきり書いていたのも良かった。そこで「とはいえ、普遍的な話なので…」などとお茶を濁さないスタンスというか…。
これは上下巻ですが、続編もあるのでそっちも読もうと思います。


先述の展示は、スタイリッシュなビジュアルと言葉にクローズアップした、実に緻密な「THE 楠本ワールド」。90年代までのゴシックな作品とは少し趣を変え、2000年以降の作品は社会との関わりを強く描いています。ファッションパンクじゃなくて、反骨精神という意味で、この方は本当にパンクスなんだなと感じた…。素敵です。
また、会場の装飾、展示方法の攻めっぷりにも驚かされました。こんなふうになった弥生美術館を見るのは初めて!
この大胆な展示方法を、あのレトロな弥生美術館でやるという試みに、美術館、制作サイド双方の強い意志が感じられて、心の中で大拍手をしていました。

ずっと変わらないのも良さもあるけど、こうして今に向かってきちんとバージョンアップしているのって、すごく良いよね。
私は、時代関係なく「これがいい」というお気に入りに固執しがちなので気をつけよう…。


今日の絵

「CH-11」という短編に出てくる双子の青年です


私が描くと、どうもゆるくなってしまうな…
本物はもっとシャープですよ…。

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