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写真が先か、言葉が先か

一枚の写真から何を語ることができるだろうか。

また、ひとつの言葉から、どのような写真を撮ることができるだろうか。

昨年はずっと写真日記を書いてきて、そんなことをよく考えていたように思う。いつも連想するのは「打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?」(岩井俊二, 1993)全く関係が無いのだけど、思考の中にそれがあったせいか、今回は夏っぽい写真を無意識に選んでしまったのかもしれない。

撮影者であるならば、写真から言葉をつなぐほうが簡単だという人は多いかもしれない。詩人ならば、その逆もあるだろう。

ここでは、まず写っている内容そのものに語ることができる。夏祭り。それがどこでいつ開催されていて、どのような状況であったか、どういうことが起こったか、なぜこのシーンを撮ったのか。

それから、技術的なことについても語ることができる。画面の何がどのような構図を構成してバランスを撮っているか。どのような絞りとシャッタースピードを選んだか。それを選んだ意図は。

全体をつぶさに観察すると、他にも色々な語るべきことがあるように感じる。夕暮れを過ぎた時間に木のシャドウと電球のハイライトのバランスをいかに取るか。画面周辺の電球の滲み。ホワイトバランスと感度、画角、レンズの特性。

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