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マルチロールカメラとしてのSL2-Sの実力

およそ1年半、SL2-Sを仕事でも日常でもガシガシ使ってきて、写真と動画のマルチロール機としてのポテンシャルがようやくわかってきました。

スチルの仕事の割合が多いため、最初はこのカメラでどう写真を撮るか、写真においてどのような可能性があるのかを探るので精一杯でした。

Mレンズとの組み合わせ、またSLレンズとのマッチングはこれまでこのマガジンで書いてきた通りです。

今年の夏頃から、過去の動画作品の整理も兼ねて、再びYouTubeに動画をアップし始めました。それと同時に、このハイブリッドカメラで、写真と動画をどのように行き来できるかを模索してきました。

それからプラットフォームに引っ張られるように、写真と動画をSLで同時に撮るということが、日常的になったと思います。

写真においては、とりあえずスナップを撮っておいて、その中からセレクトを行い作品としてまとめるという手法があります。動画ではその方法は成立しづらい。まずどのような動画作品を作るかが最初にあって、それに沿って撮影するということが通常だからです。これは監督(または脚本家)とカメラマンという役割が別れていることに起因します。本来別の仕事というわけです。

一方で写真はどちらかといえば、撮影者主体で全てが進むことが多い。しかし、ここ最近の写真も動画も撮れるマルチロールカメラは、動画という形態に対して写真的な制作概念を持ち込めるという新たな視座を与えてくれたように思います。

ライカという企業はM型モデルにより発展してきました。写真のためのカメラです。

他のメーカーが動画機能を絶対的に付けてくる中、M型では動画機能を途中から切り捨てました。

その分、SLシリーズでは動画撮影機能を動画専用機並みに高めることにより、ラインナップの差別化を図っています。

最初はこれまで使っていた、リコーやキャノンなどのように、写真がメインで、動画はおまけくらいに思っていましたが、使えば使うほど、SLでは写真と動画の平等性が見えてきました。どちらにも優越はなく、その立ち位置を対等にすることにより、写真と動画の作品制作の可能性を外に大きく開いている。そんなカメラだと思います。

あらゆるマルチロールカメラが4Kの10bit基本になって、ポストプロダクションや視聴環境を含めた状況はある程度完成の域に入ったと考えられます。これは写真で言うところの5Dmr2が出たあたりに似ていて、2000万画素、フルサイズという一つの写真の完成形ができたタイミングです。つまり、PCやスマホモニタで鑑賞する際、人間の目には2000万画素も4000万画素もほとんど区別がつかない。もちろん大きくプリントできるという利点はありますが、写真プリントの一般的な鑑賞形態がL判サイズであることを考えると高画素化にそれほど意味はありません。(プリントを前提としない表現の多様化という点では意味がありますが)

ブラックマジックやソニーのように、シネマ専用機の進歩がますます進む中で、マルチロールカメラの立ち位置が、ある程度定まってきた時期なのだと思います。

これから解像度は6K, 12Kとますます大きくなってきますが、モニタやプラットフォームの状況を考えると4K、フルサイズというベーシックに、多くの”カメラ”が到達してしまった。

そしてSL2-Sはそのようなマルチロールのラインナップの中でも、他に負けない優位性を持っています。

仕事でもプライベートでも使えるカメラを1台だけ選べと言われると、現在市場に出ている中ではSL2-Sになるのかもしれません。もちろんこれはライカファンであるバイアスが大きくかかっていますが、下記の理由により説明できると思っています。

1、C4K, 10bit撮影とL-Log
2、平等なインターフェース
3、サイズバランス
4、コストパフォーマンス
5、カフェテーブル上の道具として

1、C4K, 10bit撮影とL-Log

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