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Instagramの本質と現方法論

Instagramが写真の歴史に介入したことは写真を少しでもかじっている人であればなんとなくわかると思う。

文献としては、データサイエンス分野のレフマノヴィッチが書いた「インスタグラムと現代視覚文化論」などがあるが、そういうアカデミックな方向でなくとも、例えば僕らの身の回りでも単純にInstagramで収益を得ているインフルエンサーがいたり、有名になったモデルやフォトグラファーがいたりする。

ファッション分野で言えば、Instagramによって現在のファッションに関わる周辺のビジネスが進化してきたと言っても過言ではない。それはスクウェアフォーマットに合うように、ファッションデザイナーたちが服のデザインを変え、フォトグラファーたちもその服を良く見せるために、写真撮影のアプローチを変えたからだ。デザイナーズブランドやコレクションルックだけでなく、私たちが日常的に着る服にも実はその影響がある。

その兆候は上記したレフマノヴィッチが日本語訳の論文を発表した2018年にはすでに現れていて、今はさらに次の段階に入っていると個人的には思う。

変遷

FacebookがInstagramを買収したのは2012年で、もう10年も前になる。初期のM&Aにおいては資金提供が中心となっており、運営や方針はInstagram主導で行っていた。社名がメタに代わり、ショート動画に力を入れるようになって、メタからInstagramに対する介入は強くなった。

おそらくFacebookにストーリー機能が追加された、あのあたりから、Instagramは若者のアプリではなくなり、おじさんおばさん、企業のビジネス風味が一層強まって、フレッシュな感じを失ってしまった。それで若年層はTikTokに流れるわけだが、ビジネスライクになってしまったそれが、今また少しづつ変わろうとしている雰囲気がある。

今回は、フォトグラファーが今後Instagramに対して取りうるアプローチについて少し考えてみたい。

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