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再会して再開する、RICOH GR3

始めてGRを手にとった日のことは今でもはっきりと覚えている。

2011年、東日本大震災の年。4月のある晴れた土曜日の朝だった。

マップカメラから届いた小さな箱を開けながら、コンパクトカメラのくせに5万もして高ぇな、と思っていたのを思い出す。

3月に地震が起きて、吉祥寺の半地下の変な家で一人暮らしをしていた僕は、ひとりで暮らすことが怖くなった。タイミングよく友人の住む新宿のシェアハウス(こちらも十分変な家だった)が空いたので、遊びに行くよう格好で、すぐさま転がり込んだ。

震災で日本の雰囲気も変わり始めていたし、なによりシェアハウスという不思議な4人の生活を”撮らなければならない”と思った。

ライアン・マッギンレーのユース時代に友人をドキュメントした写真に感化され過ぎていたというのもある。とにかく、常にカメラを持ち歩いて、全てを撮りたいと思った。震災で変わりゆく街や、生活や、人間を残しておきたいと思った。

そうして選んだのがリコーのGRだった。(当時はGR digital 3という機種)

こちらの記事でも触れているのでご参照ください。

あれから、10年。

2021年、コロナの年。またまた4月のある晴れた土曜の朝だった。

こんな偶然があるだろうか?GRとは、何か重大な事件が起こった時に持つカメラなのだろうか?カメラのめぐり合わせというのは不思議なもので、僕にとってGRはそのようなカメラになってしまったようだ。

とにかく、またマップカメラから届いた小さな箱を開けながら、小さいくせに高ぇなと考えていた。価格は10万になっている。物価インフレのせいか、デフレのせいか、それともAPSCセンサーが載ったせいか。

開封しつつ、10年前のシェアハウスの狭い部屋を思い出していた。同時に、またGRを使えるのかとワクワクしている自分がいた。

黒く小さな個体を手にとって、ああこれこれ。

10年前のGRと何ひとつ変わっていないように見える。

いや、フラッシュが無い。バッテリーが小さい。

僕がこの10年で何か確かに変わったように、GRも何か変わっているようだ。

それらをひとつずつ確かめながら、GR3の連載を始めます。

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RICOH GR Ⅲ, iso200 18.3mm f/5.6 s1/1600

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