近頃のカメラについて思うこと
大きなカメラはエルゴノミクスデザインで持ちやすくグリップが良いとか、耐久性があるとか、高感度耐性があるとか、数々のフルサイズ話が持ち出されるが、APSCとの比較においてはもう自己満足に過ぎない。誰もがスマホで鑑賞する世界線においては、中判〜大判以上で無い限り区別をつけるのは難しい。
センサーサイズよりも、ポータブルであること。フジやリコーのカメラがこの点で成功しているように。また、ポータブルであることがフィルム時代の写真史に、パラダイムシフトと言えるくらい大きな影響を与えたように。今ではそれくらいにセンサーサイズよりも携帯性のほうが、写真にとっては大事だと思う。
iPhoneが市民権を獲得して写真の可能性を広げたのはそれが電話であり、まずポータブルであったから。いつでもポケットにあって、さっと撮れるということは素晴らしい。この原点に立ち戻れば日本のメーカーは技術競争、フルサイズ競争をするように大型化とオタク化しか進めなかったのが今の敗退の原因だ。あの時点でライカよりもポータブルなカメラを目指すべきだった。
過去のことを悔やんでもしょうがないし、開発者ではないので私は詳しいことは言えない。だがメーカーにも様々な小型化の努力があることは、これまで様々なカメラを触って実際に使ってきて感じる。むしろ、まずフルサイズセンサーの基盤となる開発があって、それがようやく終了したという見方もできるかもしれない。センサーが一通りフィルムの35判に近づいたので、ようやくその周辺の小型化やデザインに本腰を入れられる、ということがあるのではないか。
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