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インターネットのない生活に戻れる?

今回のテーマ: 情報収集法
by  萩原久代

今日はどこのレストランに行こうか。
あの映画、どこか近くの映画館で上映してるだろうか。
曇ってきたけど雨降るかな。

答えを探して、スマホかコンピューターでググるのが日常だ。
あなたもインターネット検索やSNS情報にかなり頼って生きてませんか。


新聞購読をやめてテレビニュースもあまりみないという友人が多くなった。新聞好きの私でさえ、最近はデジタル版の購読だけになった。インターネットですぐに情報が入手できるから、わざわざ新聞デジタル版を購読しなくても、出来事をさっと知るだけなら無料ニュースサイトで済む。ニュースをどこでどう見るか、選択肢は広がった。

15年くらい前まではマンハッタン街角のグロッサリーに日曜日朝に行くと、8センチくらいもある分厚いニューヨークタイムズ紙日曜版がドーンと山積みされていた。でも今は、日曜版の厚さは2センチにも満たず、もう新聞を扱ってない店もある。タイムズ紙によると2023年末時点で、デジタル版購読者数(グローバル)は970万、新聞印刷版販売部数(米国内)は2022年末に73万、2023年末には66万まで減少した。デジタル購読がまだなかった2010年、同紙印刷版(日曜版)の販売部数は130万を超えていた。

紙離れは止まらない。ニュースはデジタルで見るのが主流となったようだ。そこで現状を少し調べてみた。

Pew Research Center調査(2023年11月発表)によると、アメリカ人の56%がスマホ、コンピュータやタブレット(総称してデジタル機器)でニュースをよく見ると答え、時々見るという人を含めると86%にのぼる。

デジタル機器でニュースを見る人は具体的にどこでニュースを見るか。これに関しては、29%がニュースサイトやアプリでよく見ると答え、さらに38%の人は時々は見ると答えた。一方、自分でインターネット検索してよく見ると言う人は27%(44%は時々)、ソーシャルメディアでよく見る人は19%(31%は時々)、ポッドキャストは9%(21%は時々)という回答だった。

デジタル機器を使ってどこでニュースを見るか。左からニュースサイトやアプリ)、サーチ、ソーシャルメディア、ポッドキャスト(それぞれ2020〜2023年の推移が棒グラフで並ぶ)
出典元:Pew Research Center調査

また、ニュースを見る・聞くためのツールとして何を好んで使うかを尋ねると、58%の回答者がデジタル機器を好むと答えた。続いてテレビで見るのを好む人が27%、そしてラジオが6%、印刷メディアは5%だった。テレビを好む人は減ってはいるものの、まだ影響力がありそうだが、回答者の年齢が高くなるほど好む人の比率が高かった。

好んで使うツールはデジタル機器が上昇、テレビは3割を切り、ラジオと印刷メディアは一桁台。 (2020〜2023年の推移)
出典元:Pew Research Center調査

この調査の原文は英語だけだが、回答者の年齢、性別、人種などによる調査結果の分析もされていて興味深い。
https://www.pewresearch.org/journalism/fact-sheet/news-platform-fact-sheet/

ニューヨークでもみんな、スマホを片手に歩いている。私は歩きながら絶対にスマホは見ない。それにスマホから離れている時間も長く、常に「オンライン状況」ではない。 代替的事実(alternative fact)やフェイクニュース(fake news)が目に入ってくるのが不愉快で、怪しげなニュースサイトやソーシャルメディアもあまり見ない。それに、物理的にデジタル機器から離れて、本を読むとか、のんびりテレビで録画番組を見るとか、前世紀的な時間も大切にしたいからだ。

ただ最近、友人とお茶をしていてハッとすることがあった。会話は映画のことになり、私は主演俳優の名前を思い出そうとした。すぐに思い出せず、「ほらほら、あの人、なんていう名前だったかなあ。」と頭を抱えて考えた。その若き友人は、「私のママみたい。スマホでググればいいのに。」と笑われた。彼女はいつも片手にスマホの人なので、ささっとググった。名前はすぐに判明した。

そうか、ボケ老人のように「ほらほら、あれ、あれ、なんだっけ」なんていう言葉を発する前に、しらっとググって会話を続ければいいのだ、と教えられた。スマホをさっと出せるところに置いておこうっと。


萩原久代
ニューヨーク市で1990年から2年間大学院に通い、1995年からマンハッタンに住む。長いサラリーマン生活を経て、調査や翻訳分野の仕事を中心にのんびりと自由業を続けている。2010年からニューヨークを本拠にしながらも、冬は暖かい香港、夏は涼しい欧州で過ごす渡り鳥の生活をしている。

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