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やっぱり子供のお祭りでしょう

今回のテーマ:ハロウィーン

by 萩原久代

 10月、マンハッタンの街を歩くとハロウィーンの飾り付けが目立つようになり、「ああ、もう年末が近くなったなあ」とつぶやく時期になる。スーパーなどの入り口はカボチャが山積みだ。30年もこの街にいたのだから、面白いハロウィーンの過ごし方を経験したはず、と振り返る。が、私は大人になってアメリカに来たから、ハロウィーンの経験は限定的だ。

  私がやったことといえば、仮装して友人らとパーティーに行く、またはハロウィーンパレードを見に行ってその前後に仲間と飲む、といった具合だ。確かにビレッジのハロウィーンパレードは見応えあった。フロートに積まれた大型スピーカーからはテクノとロックがガンガン鳴り響いて盛り上がり、参加者の仮装も凝ったものが多くて目を引いた。それなりに楽しい経験だったが数年やれば飽きる。それに中年になったら飲み仲間も家族持ちとなり、ハロウィーンの集まりは自然消滅していった。

  やはりハロウィーンは子供が楽しむお祭りだと思う。私も子供の頃にアメリカにいたら楽しんだことだろう。例えばハロウィーンの飾り付け。子供たちは家族や友達と一緒に「カボチャのお化け(Jack-o'-Lantern)」を作り、部屋や家の周りに骸骨人形や蜘蛛の巣などを飾り付ける。マンハッタンだとアパート内の飾りは外から見えないが、郊外の一軒家の装飾にはそれぞれ個性が光る。それを見て歩くのも楽しい。

郊外の家の装飾

 ところで、「カボチャのお化け」作りとは、カボチャの中身をくり抜いて表面に怖い顔を彫るのだが、これが簡単なようでけっこうむずかしい。余談だが、大学時代にアメリカ人のルームメートが直径50センチほどのカボチャを2個買ってきて、一緒に作ることになった。初めてのことで苦労する私を尻目に、子供の頃から作ってきた経験のある彼女は手早く、顔の彫り方もうまかった。私のカボチャの顔は怖いどころか、みんなの笑いを誘うものとなった。

 さて、ハロウィーンといえばトリック・オア・トリート(Trick or Treat)が大イベントだ。映画のヒーローやヒロイン、漫画のキャラクターなどに仮装した子供らが「トリック・オア・トリート!」と叫びながら近所の家を回って、お菓子をもらうお馴染みの風景だ。子供の行事なので私は参加したことがない。だから余計に楽しそうに見えるのかもしれない。

  マンハッタンのトリック・オア・トリートだと同じビルの隣人のアパートを回るケースもあるが、地域によっては地元のお店を回るルートがある。トライベッカ地域では、有名なレストランやベーカリーがそうしたルートに入っていたのを見たことがある。どんなお菓子をくれるのかなあ。普通ならトリック・オア・トリートでもらうのは駄菓子だ。が、レストランやベーカリーなら自家製キャンディーやチョコ菓子かなあ。こうゆうのはアメリカでも稀な例だろうな、なんて思って子供の行列を眺めたことがある。

  ニューヨークはコロナ以前の通常の雰囲気にほぼ戻っており、ハロウィーン前日や当日は子供も大人も街にどっと繰り出しそうだ。

 

 
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萩原久代/ニューヨーク市で1990年から2年間大学院に通い、1995年からマンハッタンに住む。長いサラリーマン生活を経て、調査や翻訳分野の仕事を中心にのんびりと自由業を続けている。2010年からニューヨークを本拠にしながらも、冬は暖かい香港、夏は涼しい欧州で過ごす渡り鳥の生活をしている。コロナでそのリズムが狂ってなかなか飛べない渡り鳥となっている。

 

 

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