見出し画像

10年一区切り

今回のテーマ:2022年の抱負

by  河野 洋

一昨年、昨年と年子の二人娘が20歳になった。初めて立ち上げた映画祭は昨年で10周年、そして、今年の7月は米国在住30周年、12月にはライター業10周年を迎える。10年ひと昔と言うが、振り返ってみると10年なんてあっという間だ。

それにしてもアメリカに来たのがもう30年前とは信じがたい。今でさえ、日常会話なら十分話せるようになった英語も、米国に住み始めた当初は苦手だった。それでも、野望に燃えていたので、ニューヨークに到着するや否や直ぐにアメリカ人の中に飛び込んでバンド活動を始めた。ギターは流暢に音符を弾くのに、会話となると言葉数がくんと減る。

こんなエピソードがある。20年くらい前、僕のバンドがローカル・ラジオ番組に出演することになりスタジオに一緒に入った。メンバーとDJが談笑する中、僕は会話についていけず無言のロッカーを気取る。今、思い出すと笑ってしまうが、DJに「えらく静かじゃないか?」と突っ込まれた時、僕は間抜けにも「だって日本人だから」と言う返答をしてしまったことがある。なんとも情けない、今ではほろ苦い思い出だ。

画像2

そんな感じで始まった米国も苦節10年、いや30年になる。そして、今年の抱負は何かと問われれば、即座に「限界を押し広げること」と答えたい。その1つは10年続けた映画祭のノウハウとキャリアを活かし、映画制作に着手すること。中でも興味を持っているのはプロデュースと脚本。プロデュースはこれまでイベント、音楽、映像プラダクションを手がけてきたし、脚本は、記事、エッセー、詩の執筆活動を続けてきたので、全くの素人ではない。もちろん大変なことは重々承知の上だが、すでに2本の短編映画の話がスタートしていて、年内に完成できたら最高な年になる。

2つ目は本を書くこと。これまで結構な数の友人知人が書籍を出版しており、その内容は十人十色ではあるけれど、自分の意見や考えを文章にして書籍に残す作業はやはり一生かけても一度は全うしたいプロジェクトの1つである。「やればできる」「願いは叶う」「信じる者は救われる」をスローガンにコツコツと原稿を書いていくつもりだ。実際のところ、いま書いているこの「ニューヨーク、ときどきDIARY」は3人で執筆しているので、1回エッセーを書くと自動的に3倍の量になる。考えようによっては、これが夢に一番近いような気がしなくもない。ねぇ、らうすさん、福島さん!?

30周年と言うことで、3つ目の抱負も書いてしまおう。それは、昨年夏から始めたアートユニット「AYA-MARC.」(絵と詩のアートコラボ)で個展を開催すること。すでに日本で会場も日程も決まっていて、展示作品も半数以上、完成しているので、あとはスケジュールに合わせて作品を増やしていけば、十中八九は大丈夫だろう。  

画像1

2022年1月14日
文:河野洋

[プロフィール]
河野洋、名古屋市出身、'92年にNYへ移住、'03年「Mar Creation」設立、'12年「New York Japan CineFest」'21年に「Chicago Japan Film Collective」という日本映画祭を設立。米国日系新聞などでエッセー、音楽、映画記事を執筆。現在はアートコラボで詩も手がける。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?