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サマーウォーズという前例が、人生の面舵を握っていることを振り返る

サマーウォーズ。たまたま我が家のテレビに映っていた小学生の夏こそ、この映画との出会いである。

その瞬間から10年以上が経過している。初めて劇場でこの映画を見ることができた。4回目の視聴になる。

2度目のサマーウォーズは、小学6年生。またもや、金曜ロードショーである。この頃は毎年夏にサマーウォーズを放送することが恒例になっていた時期のように思う。

数日前に情報を得てから、事前に番組を予約していたのだろう。その日を待ち侘び、楽しみにしていたことを思い出す。

それから、中学生になってからが3度目のサマーウォーズ。改めて見ようと思いたくなるほどまでに、サマーウォーズはわたしを惹きつけた。

サマーウォーズの第一印象は、「大人も見るアニメ」であった。高校2年生の健二と、歳上である夏希の、恋心と大家族。そして大きな問題解決が見せるサマーこそ、当時まだ幼かった私を魅了するには十分だった。

それからサマーウォーズを語るに必要不可欠であるのは、「カズマ」の存在である。1度目のサマーウォーズも、2度目のサマーウォーズも、3度目のサマーウォーズも、カズマのことばかり見ていたように思う。

魅了されてしまいしかたがなく、私の中で何かが弾け、わっと汗が吹き出し、眉間に皺を寄たり口角をあげたりしながら数日間あつい気持ちを引きずったことを思い出す。

今となれば、「推し」と形容するにふさわしい。ただそのとき言う「俺の嫁」であったことは確かである。

ニコニコ動画を通っている人間は目にしたことがあるのではないだろうか。「恋愛サーキュレーションをカズマで描いてみた」みたいな動画である。ニコニコ動画が復旧次第、引用したい。

私はサマーウォーズを見る前からこの動画を1度目にしたことがあり、その時からカズマのビジュアルが素敵でしかたなく、忘れられなかったように思う。

いや、今思い出せば、だからこそサマーウォーズを見たのかもしれない。1度目の金曜ロードショー自体はたまたまであれど、2度目は偶然ではなかったのではなかろうか。

私の家族に、積極的にアニメ映画を見る人はいない。話題になっている作品であっても劇場に見にいく事はほぼほぼ無く、あったとしても他のかかわりある家族に誘われる事態が発生したときのみだ。

そう考えると、2度目のサマーウォーズは私が意識的に金曜ロードショーへチャンネルを回したのではなかろうか。

当時はスマートフォンを所持していたわけではないため、誰もテレビを見ていなければ一通りチャンネルを変えてみるのは無難である。

そして、やっているな。見るかな。と思ったのではなかろうか。思い出してきている。当時、少年のキャラクターを見かける度に過度な動悸がして調子を狂わせられていたように思う。

カズマと出会って変わってしまったと考えるよりも、カズマと出会って気づいてしまったのであろう。

度が過ぎた動悸は、体調不良である。自律神経失調症の予兆はここから既に始まっていたのではないだろうか。特に誰かにはなしをした記憶がないため、1人で抱え込んでいた当時の自分がなんだか可哀想に感じる。

この様子では人と恋愛することは難しいように思う。当時は好きな人と出会った際に、「もしかすると、好きなのではないか?」と自問自答をした以降、まともに会話ができなくなる自体が頻発していた。

この調子では、存在しないものを尊重するようになるのは自然な流れであるように感じる。誰でも、体調が悪い状態は不快である。

実在しないキャラクターを好きになった際の動悸は、節度を保つことができる。近所のショッピングモールなどで唐突に出くわすことがないため、ジャンプスケアを恐れなくて良いからだ。

4度目のサマーウォーズ。まさしく今日である。昨年度も映画館で放送されたことは知っていたものの、細田守監督好きの友達と予定が合わず、私だけ視聴するのもなんだか申し訳なく思ってやめた。

改めてサマーウォーズを見ると、話の流れが大きく分かるようになっている。全体を通してテンポがよく絵もきれいで今劇場で見てもなんの遜色もなく感じた。

また、近頃見た映画のなかでは1番多く涙を流すこととなった。これは想定外である。

今見てもカズマはやはり凄く好きなキャラクターであることに驚いた。歳を重ねることで好みが変化したものと思っていたため、衝撃的だ。たしかに、細田守監督の描く少年は何度観ても良い。

また、侘助への理解度も格段に上がっており、かなり好きなキャラクターとなった。自由でわがままで、それでいても親に認められたい小さな子供であった事実が、今ならば分かる。

OZの世界を描く時、「赤」が使われる点がかなり好きである。インターネットやケータイなど、どうしてもスタイリッシュさをイメージとして「青」や「水色」を使いたくなるように思う。

一貫して「赤」を線の色で用いているところが、真新しさを感じさせた。

NintendoSwitchもYouTubeも、メインのカラーは赤である。現代的なのは水色だと思う時点で、わたしは既にTwitterだった時代に取り残されているのかもしれない。

テレビを見る回数が減った今だからこそ金曜ロードショーの予告をチェックすることで、また新たな面白い映画と出会えるのではないだろうか。

今の時代、パーソナライズされていないおすすめこそ、積極的に触れていきたいものだ。ニコニコ動画が復旧し、当時の動画がまた見られるようになれば、2024年の夏は万々歳である。




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