見出し画像

詩|残香

秋の入り口
暮れ始める頃 

夏の最後の陽気が作り出す
植物たちの濃い香りに包まれる

一瞬の偶然

美味しい空気のなかに
子供の昔から知っている
1番健康な情が、遊び始める

言葉で表そうと
向きあった瞬間に

味の大半が
居場所を失くす
だから言葉は選ばない

丸ごと味わえば、言葉も溢れる

選ばれた言葉ではなく
全体の上に貼られた
ラベルのように

記号の本質は
いつでも、その後ろの
表も内も豊かに調和している
まきれもない、一つの印象なんだ

少し弱くなった日差しが
今日の終わりに運んでくる昼の知恵

植物の呼吸が、
古い思い出を呼び覚ます

何億年も正しかった記憶が
体の中で響いている

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?