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詩|祇園祭

溢れるばかりの豊かさが
どの声の一片にものっている

川の水源のように
命の最初の方にある
命を前へと進める水と
汚れに遠く無縁のものが
心に運び入れる静寂の暈が

発する声音と
緩やかな抑揚と
背後にあるものに
毎瞬蓄えられている

幼いものの
何でもない声に
僕らはいつも
その幸先を尊ぶ

小さな者たちは
正邪いずれにも傾きうるものを
まだ、定めて選び得ない

それでも、好きなひとの喜ぶことを
胸の羅針盤とする彼の年には
たいてい、多くの場合

正邪いずれの種をも抱えつつ
正しいものに染まる

優しく美しい心の人が
小さなものの隣で
時間を過ごすといい

その1番美しい命が
その向きを誤らず

生来備えられた設計図の通り
その色彩を鮮やかに広げ

いつか、えにしある人と
無形の贈物を贈り合うように

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