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月に400時間働いていた頃の話

若い頃、月に400時間も働いていたことが年に数回ありました。

私は長年、製造業の設備メーカーで制御設計の仕事をしてきましたが、今考えると「よくあんなことやってたな」と思います。
ただ当時、似たような業界では、月に400時間働くことはないにしても、長時間労働は当たり前の時代でした。

今から書く内容は、400時間も働いていたという自慢話ではありません。400時間労働なんて決して賞賛されるべきことでもなく、異常な状態でしたからね。

ですが、この頃に身に付けた制御設計者のスキルは、確実に今も生きています。そのことについて書いていきたいと思います。


400時間労働の内訳のほとんどは、開発・設計・設備の組立・現地納入・トラブル対応でした。受注が多過ぎて、案件をこなしてもこなしても次から次へと仕事が舞い込んできていました。完全な人手不足ですね…

当時、私が手掛けていた装置の制御コントローラは、完全に内作の自社製コントローラでした。現地納入作業やトラブル対応は辛かったですが、開発や設計、設備の組み立ての仕事はまだ楽しかったですね。

特に自社製コントローラの開発・設計では、
・組み込みOSの制作
・オリジナル制御ボードの開発、自社製センサの開発
・デバドラの開発
と、今考えると非常に貴重な経験をさせてもらいました。

制御ソフトもC++で作っていましたし、ネットワーク系の通信ソフトも、TCP/IP通信チックなプロトコルを自前で実装していました。(よくもまぁあんなことやってたな(笑))

今の制御コントローラはPLCがメインであり、とある機能を実装するにしても、既に低レベル層の技術はラップ化されていたりパッケージ化されていたりと、いわゆる『出来合いの物』を追加し、それらを組み合わせてやりたいことを実現していくことが多いと思います。
実装したい機能の1番最下層の技術要素に触れることはまずありませんよね。

私が月に400時間働いていた頃、技術の1番根っこにまで潜り込んでやっていたので、これだけの時間を要していたとも言えますね。

今の設備メーカーの制御屋さんは、なかなかそこまで潜り込むことは無いと思いますし、また潜り込む必要も無いと思います。既存のパッケージ化された技術を使うことが正解だと思います。

ですが当時、技術の根っこにまで潜り込み、自前で作ってきた経験は、20年経った今でも活きていると実感しています。

今はなかなかこういう機会は無いと思います。会社で勉強しようにも、残業規制などで「早く家に帰れ」と言われますよね。でも早く家に帰った後、まずは趣味としてこういう機会に触れてみるのも良いかもしれませんね。

技術の根っこにまで触れることは、技術者としての根っこの知識を培い、そして長年に渡って役立つ基盤技術になりますから。


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