ハノーファー・メッセ 2023で感じたこと
4月17日~23日にハノーファー・メッセに行ってきました。実際に会場に足を運び、この目で見たこと、肌で感じたことを率直に書いていきます。
ハノーファー・メッセとは
まずはじめに、ハノーファー・メッセのことをよく知らない人の為に、簡単に説明したいと思います。
ハノーファー・メッセとは、ドイツのハノーファーという街で毎年4月に開催される世界最大の産業展示会です。街自体は大都会というわけではなく、人口50万人ちょっとの中規模程度の都市です。日本では、特に観光都市として知られているわけではない為、知名度も低いです。
しかし製造業界隈では超有名です。毎年4月に、このハノーファーという中堅都市に産業界の世界最先端テクノロジーが集結するからです。
そう、それがハノーファー・メッセ!
世界最大ということですが、日本の国内最大級の製造業展である「日本ものづくりワールド」と比較しても、そのスケールの大きさがよく分かります。
東京ビッグサイトで開催される「ものづくりワールド」の出展社数が約350社に対し、ハノーファー・メッセは4,000社以上なので、会場自体も相当な広さです。全てのブースをじっくりと見て回るとなると、3~5日間は欲しいです。
この地、この会場に毎年世界100カ国の企業が出展するわけですから、必然的にここハノーファーが各企業の「とっておき技術」のお披露目の場になります! 正直、日本で「国際○○展」というものを開催しても、これだけの国と企業と人を呼ぶことはできません。
ということで、世界の産業技術が集結するハノーファー・メッセで感じたことを書いていきます。
今年のリードテーマは
「Industrial Transformation - Making the Difference」
今年のリードテーマはズバリ
これが大コンセプトです。このコンセプトを基にして「将来の工場の姿」や「エネルギーシステムの為のテクノロジーとアイデア」が展示されていました。もう少し具体的に書くと、「世界が抱える産業課題を、ハイテク技術や革新的ソリューションで克服しよう」というものです。
まだ抽象的ですね。更にもっと具体化すると、
「産業課題」とは、「CO2削減、エネルギー不足、気候変動、サプライチェーンリスク」などを表し、これらを「デジタル化されたプラットフォームでインテリジェントに解決していくぜ!」ということです。
少し的を絞ります。
ハノーファー・メッセは扱うテーマの守備範囲が広いので、私が携わっている製造業のFA技術に範囲を絞ったうえで、私が感じ取ったキーワードをあげていきます。
製造業でのキーワードは
「AI&機械学習」「DigitalTwin」「IoT」
人によって感じ方、捉え方は違うかもしれませんが、私の場合は真っ先にこの3つをあげます。これらは「よりインテリジェントに、より効率良く自動化を推し進めていく技術」であり、実際にこれら3つを目玉としているブースは多数有りました。
これらに共通して言えるのは「繋がる」ことが大前提です。当たり前と言えば当たり前なのですが、でも日本ではまだまだ「繋がる」ことを意識して設備や製造ラインの設計を行うことができていません。仮に繋がったとしても、クローズドで狭い範囲での連携がほとんどです。
しかし、欧州ではオープンなネットワークと環境でもって、OT層からIT・クラウド層までを繋ぎ、デジタルデータを有効活用しています。工場全体や拠点間どうしでの「IoT」を考え、その先に「AI&機械学習」であったり「DigitalTwin」が存在し、「繋がる」というキーワードで全て結びついています。
「欧州ではクラウド層までを視野に入れているのに対し、日本はまだOT層の低いレイヤーのままでいる」
このことは以前から感じていましたが、ハノーファー・メッセに来て、より明確に感じました。
Industry 4.0 はしっかりと根付き、バージョンアップを繰り返している
そして欧州、特にドイツの産業界の背景にはきっちりと「Industry 4.0」が根付いています。これは何も一過性のバズワードではく、ドイツでは「Industry 4.0」という揺るぎないコンセプトで地盤を固め、そのうえに新たなテクノロジーをどんどん積み上げていってる、そんなイメージです。
さいごに
日本の製造業の皆さんも、機会があれば是非行ってみてください。特に普段、国内だけで仕事が完結しているような方々こそ、世界のトレンドを知る良い機会だと思います。
旅費交通費は決して安くはありませんが、高い費用を払ってでも行く価値は十分あります!
では。