「変わる組織」はどこが違うのか? 30
答えの出る会議は半分の時間で実現できる
前回、会議が長くなるのは参加者が事前準備をしてこないからだ、という話をしました。資料を読んでこないから資料説明の時間が必要で会議が長くなる。十分に意見交換できないので会議の数が増える、という悪循環に陥ると。
では、正循環はどんなものかというと下図のような感じです。
まず関係者の同意を得て、会議での資料説明をやめるところからスタートです。参加者は、事前に資料を読み込んで議題について考えをまとめて参加します。
会議は「第1議案について賛否をお聞かせください」と、いきなり意見交換から、あるいは質疑からスタートします。事前に考えてきていますから、良い意見が増え議論は活発になります。資料説明がない分、会議の時間は短くなります。会議時間が短くなると、事前に資料を読み込んで準備をする時間的余裕が生まれます。
この正循環を実現するためには、準備してこない人がいたら、その人は不参加とするか、会議を延期する。それぐらいの「規律」を持つ必要があります。
これ、説明するのは簡単ですが、実は夜型の人が朝型に生活スタイルを替えるような難しさがあります。1、2回はできてもなかなか継続できない難問です。
エライ人から資料説明を求められても毅然として断る。そこで、じゃあ説明します、とやってしまうとこの正循環は崩れますからね。エライ人には、この「規律」を維持する動きをしてほしいのですが、一番このルールを守れそうにないのがエライ人たちでもあります。会議の数が多くて忙しいですからね。「悪いけど説明して」と言いそうです。
では、どうするか?
エライ人に頼れないときに役に立つのが、4回目にお話したプロセス・コンサルテーションの発想です。第三者の協力を仰ぐのです。第三者といっても社外の人である必要はありません。会議に参加しない人にお願いして、参加者がちゃんとルールを守って資料を読み込み、自分の意見を整理して会議に臨むように促す。たとえば会議は従来の半分の時間にして時間がきたら終える。事前準備していなければ会議は中止する。準備なしでやると、それがクセになりますからね。こういったことを仕切る役割をしてもらうのです。
その会議のプロセスに限っては、エライ人より偉いのが「プロセス・コンサルタント」です。そういう第三者が入るとエライ人も甘えやムリを通せなくなり、「規律」が生まれます。
でも、第三者に入られるのって嫌ですよね。でも、その嫌なことをしないと、夜型を朝型に変えるような生活習慣の変化は実現しません。
私、この3年ほどパーソナルトレーナーについて筋トレをやっているのですが、その効果は抜群です。長年一人でやっていたのですが、それではとてもできないような追い込みができるし、自分では気づかない微妙な姿勢のずれも指摘してもらえます。疲れているからとサボることもなくなりました。
同じような効果がプロセス・コンサルテーションには期待できるのです。しかし、残念ながら、組織の生活習慣病の治療にはプロセス・コンサルテーションが必須という理解が、まだまだ日本では薄いのが現状です。トホホ。
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