TOKI 森時彦 

TOKI 森時彦 

マガジン

  • 「変わる組織」はどこが違うのか?

    組織変革を実現するにはどうすればいいのか。それを実務家&コンサルタントの視点から掘り下げて解説しています。 と同時に、これは「自分を変える」方法論であると理解されるとうれしい。ということで、対象読者は、どうすれば組織を動かすことができるか悩んでいる人です。基本的には毎週更新していきます。

  • 40代から変わる人生 「記憶の道具」

    歳とともに人の名前が出てこなくなり、新しい情報も頭に残りにくくなってきた。60代になって一念発起し、この問題を解決するためのiPhone アプリを自作し、ムダにしていた1, 2分のスキマ時間に使い始めたところ、人の名前や情報が頭に残るようになった。 しかし、それだけではない。半年ほど続けていると、脳力がアップしてきた。記憶力が増し、連想力や閃きが豊かになった。脳も筋肉と同じで使えば伸びる! まだまだ新しい分野にチャレンジして習得できるという自信が湧いてきた。 このブログでは、その私の体験を紹介します。 追伸: アプリは、もともと自分用に作ったものなのでApp Store でダウンロードして無料でお使いいただけます。「キオクの達人」と検索してください。

  • 記号接地問題

    人間にできてAIにはできない古くて新しい問題。それが記号接地問題だ。AIがますます多くの問題解決を担ってくれるこれからの時代に、人がもっと意識して取り組まないといけないのは、記号接地した(身体性のある)思考力だろう。このブログは、そういう問題意識を基にスタートします。

最近の記事

「変わる組織」はどこが違うのか? 34

ビジョンが抱える「マクロ≠ミクロ問題」  リーダーにとって、どこに行こうとしているのかを明確に示すビジョンはフォロアーを惹きつける重要な要素です。なので、このブログ(15回目)でも紹介したでんでん太鼓モデルでは、ビジョンを「創造」と「徹底」の2つに分けて強調しました。   しかしこのビジョン、組織やタスクが小さいときには効果的なのですが、組織が大きくなるほど効力が薄れていきます。  その理由を考えてみましょう。  まず小さい企業、たとえばベンチャー企業を考えてみてください。

    • 40代から変わる人生「記憶の道具」34

      「世間師」とロナルド・バート  先月、NHKの100分de名著で、民俗学者の宮本常一「忘れられた日本人」が取り上げられていました。常一が見出した日本の村々にある共同体の姿は、私が持っていた固定的で閉鎖的なイメージとは違って、外部の知をダイナミックに取り込み、変貌していく動的なものでした。これ、かなりの驚きです。  その外部の知をもたらす人を彼は「世間師」と呼びました。旅をして世間を渡り歩いてきた人たち。地域によっては、他の地域に行って生活してくることを成人儀礼として取り入れ

      • 40代から変わる人生「記憶の道具」33

        雑学は身を助ける  かなり前のことですが、ニューヨークを訪れたときに、ある経済アナリストと話をする機会がありました。ウォール・ストリートジャーナルなどに寄稿する著名アナリストで、こういう人に会えるのはとても貴重です。  忙しい人で面会予定時間は15分しかありません。そこで単刀直入に今後の経済見通しを問うと、彼は、ゆったりとギリシャの哲学者ヘラクレイトスを引用して「万物は流転する(Everything is in flux)。同じ水のようだが、二度と同じ水に漬かることはない」

        • 「変わる組織」はどこが違うのか? 33

          自分のリーダーシップ育成法  前回は、リーダーシップ育成に熱心な企業とそうでない企業があるという話をしました。今回は、そんな会社に頼っていられないよ、という人のために個人に焦点を当ててみることにします。自分のリーダーシップ育成法です。  これについては、ずいぶん前に学術研究に裏付けられた、優れて実践的な新書が出ています。神戸大学名誉教授の金井壽宏先生の「リーダーシップ入門」(日経文庫)です。20年ほど前に初版が出ていますが、その内容はまったく色あせていません。  詳しくは本

        「変わる組織」はどこが違うのか? 34

        マガジン

        • 「変わる組織」はどこが違うのか?
          33本
        • 40代から変わる人生 「記憶の道具」
          34本
        • 記号接地問題
          0本

        記事

          40代から変わる人生「記憶の道具」32

          JASTJ 30周年記念パーティー  理事をしているJASTJ(日本科学技術ジャーナリスト会議)が、創立30年となり、先週、都内で記念パーティを開催しました。この団体、元々は科学技術ジャーナリストの集まりで、組織を超えた共同取材で出版をしたり、毎年、科学技術に関する優れた報道などを顕彰する科学ジャーナリスト賞(略称J賞)を発表したりしています。この選考委員には、ノーベル化学賞を受賞された白川英樹先生や、元東工大の学長で、今は科学技術交流センターの会長を務めておられる相澤益男

          40代から変わる人生「記憶の道具」32

          「変わる組織」はどこが違うのか? 32

          リーダーを輩出する企業、育つのを待つ企業  リーダーシップは天性のもので育成できない。日本では、そう考えている人がまだまだ多いようです。しかし、リーダーシップは学習可能なものというのが、世界の常識です。   優れたリーダーへのインタビューから、彼(女)らがリーダーシップを誰から学んだと語ることができるということが、その根拠となっています。  リーダーシップは「教える」ことはできないが、「学ぶ」ことはできる。ということで、欧米の企業では半世紀も前からリーダーシップ育成の研修

          「変わる組織」はどこが違うのか? 32

          40代から変わる人生「記憶の道具」31

          ヴェストファーレン条約が抜けている!?  NHKの「3か月でマスターする世界史」が今月終わりました。楽しく、新しい発見がいろいろあったのですが、あれ? と思うことも何度かありました。その一つが、ヴェストファーレン条約(Westfalen、英語読みから日本ではウエストファーリアと記されることが多いですね)が出てこなかったこと。  この条約、勢力均衡(Balance of Power)という、今にいる重要な国際秩序の考え方を生みだした超重要な条約だと思うのですが、まったく触れら

          40代から変わる人生「記憶の道具」31

          「変わる組織」はどこが違うのか? 31

          リーダーシップ問題  私の生活実感ですが、90年代になって、アメリカではリーダーとマネージャーという言葉を明確に使い分けるようになったと思います。それ以前は、たとえばドラッカーの本などを読むとわかりますが、リーダーシップとマネジメントはあまり区別されていません。  この変化は、おそらくコッターの影響なのでしょう。このブログの14回目に紹介した、ハーバード・ビジネス・スクール名誉教授のジョン・P・コッターです。彼は、マネジメントは物事がうまく進むように管理する役割、リーダーシ

          「変わる組織」はどこが違うのか? 31

          「変わる組織」はどこが違うのか? 30

          答えの出る会議は半分の時間で実現できる  前回、会議が長くなるのは参加者が事前準備をしてこないからだ、という話をしました。資料を読んでこないから資料説明の時間が必要で会議が長くなる。十分に意見交換できないので会議の数が増える、という悪循環に陥ると。  では、正循環はどんなものかというと下図のような感じです。  まず関係者の同意を得て、会議での資料説明をやめるところからスタートです。参加者は、事前に資料を読み込んで議題について考えをまとめて参加します。  会議は「第1議案に

          「変わる組織」はどこが違うのか? 30

          40代から変わる人生「記憶の道具」30

          南鳥島が熱い! 別のテーマを考えていたのですが、先週金曜日の夜にNHKで報じられたニュースを見て、これは外せないなと思いテーマを変更します。前回、前々回と取りあげてきた東大の加藤・中村・安川研究室が、南鳥島沖でマンガンノジュールという鉱物が密集する海域を特定したというニュースです(表題写真参照)。  この鉱物、資源価値が高いニッケルやコバルトなどを大量に含んでいるのですが、採取しやすく十分に濃度が高いので、採算の取れる採掘・精錬が可能だといいます。早ければ来年から日量2

          40代から変わる人生「記憶の道具」30

          「変わる組織」はどこが違うのか? 29

          あなたの「やさしい心」が会議を長くしている  読者のみなさんは会議にどの程度時間を使っているのでしょうか? 私のサラリーマン時代を振り返ってみると、エラクなるほど会議が増え、最終的には日に10回ほどもあり、会議=仕事となっていきました。正直言って、これで仕事になっているとはとても思えませんでした。  現場に足を運び、顧客やサプライヤーの話を聴き、資料を自らの手で分析し、調べ、考える。そういう時間なしに会議から会議へと渡り歩き、スタッフが作った資料を見て話を聞いているだけでは

          「変わる組織」はどこが違うのか? 29

          40代から変わる人生「記憶の道具」29

          視点を変えれば二酸化炭素は簡単に減らせる?  前回は、最近の地質学が、南鳥島沖の日本のEEZ内にある深海に大量の良質なレアアースが眠っていることを発見したというワクワクする話をしました。そこで今回は、その地質学という地味な学問が、地球温暖化の元凶と目されている二酸化炭素(CO2)を減らす方法も見出しつつあるという話をしたいと思います。これ発想法にも通じる話です。  太古の昔、地球の大気は二酸化炭素だらけだったといわれています。それが徐々に減っていって、いまは窒素と酸素が中

          40代から変わる人生「記憶の道具」29

          40代から変わる人生「記憶の道具」28

          レアアース泥が日本の未来を拓く?  今回はちょっと科学的なお話です。  スマホや家電、電気自動車などに使われているレアアース。磁気特性や光学特性に優れているので、小型で強力な磁石や高性能電池、発光素材に欠かせません。次世代エネルギー、ハイテク素子、航空宇宙産業など、今後さらに幅広い応用が期待され、経済安全保障上も重要な材料です。  この素材、中国が圧倒的なシェアを持っています。鉱山は他国にもあるのですが、精製工場がほぼ中国にしかないためです。精製にはトリウムやウランなどの放

          40代から変わる人生「記憶の道具」28

          「変わる組織」はどこが違うのか? 28

          実験に積極的な組織には「規律」が必要  今回は、フラグシップ・パイオニアリングという、「実験に積極的」とピサノ教授が評するユニークなベンチャー投資会社が、どのような「規律」をもって実験的カルチャーを維持しているのかというお話です。  まずは発散です。この会社、投資会社なのですが、事業プランは社内で創ります。少数の科学者チームが、社会や経済に大きなインパクトがあるテーマについてリサーチし、社外の多くの科学者も巻き込んで新しいアイデアを考えだします。この段階では、どんなに突飛な

          「変わる組織」はどこが違うのか? 28

          40代から変わる人生「記憶の道具」27

          ゾンビ・パラサイト  はじめて新型コロナを発症し、1週間ほど自己隔離していました。かなり流行遅れの発病だったので、その間にいろいろ治療法が開発されています。おかげで重症化せずに治りました。  ということで、このブログも2週間お休みしていました。久しぶりにiPhoneの「キオクの達人」を開くと、今日復習すべき項目が200件以上も溜まっています。普段は30~40件ぐらいなので5日ほどサボっているとこんな感じになります。  こういう時は、スキマ時間だけでは復習しきれないので、30

          40代から変わる人生「記憶の道具」27

          「変わる組織」はどこが違うのか? 27

          創造的な組織は逆説に満ちている  今回は、私の印象に残っている組織文化についての名論文を一つ紹介したいと思います。著者は、ゲイリー・P・ピサノ。 ハーバード・ビジネス・スクールの教授です。タイトルは「創造的な組織は逆説に満ちている(The Hard Truth About Innovation Cultures)」。  何が印象深いのか。2つ理由があるのですが、今回はその1つを取り上げます。それは誰もが働きたいと思う革新的な企業文化の現実(Hard Truth)を明らかにし

          「変わる組織」はどこが違うのか? 27