「変わる組織」はどこが違うのか? 56
「変わる組織」はフラット化を目指す
世界中で、組織を変えようとする動きが盛んになっています。そして、その方向性はほぼ一致しています。フラット化です。
以前は、カリスマリーダーのいうことを一心不乱にやる縦型の強い組織が目指すべきモデルでした。モノカルチャーで統率の取れた組織。24時間働ける組織です。しかし、先が見通せない、変化の激しい時代にはそれでは生き残れない。そういう認識から、剛直な縦型から、柔軟なネットワーク型のフラットな組織に向かっています。
では、どうやってフラット化するのか。組織の階層を減らすというのが多くの企業の取り組みですが、それだけではうまくいきません。階層を減らすと昇進の機会が減りますからモチベーションに影響します。数少ないマネージャーはより多くの部下を管理しないといけなくなり目が行き届かなくなります。ということで、やっぱり階層がいる、とリバウンドも起こります。
ではどうするのか? フラット化を進める手始めは、組織階層というハード面の施策と合わせて、ソフト面の施策が必要です。具体的には、ワークショップを取り入れることです。ワークショップは、気楽にマジメな話をする場です。
たとえば、仕事と生活のクオリティを両方同時に高めるにはどうすればいいかといったテーマでワークショップを始めてみる。これで、もし1回目からいいアイデアが出たら、みなさんの組織はすでにかなりフラットです。しかし、そんなことはまずありません。普段からそういうことを考え、身の回りのことに関心を向けていなければアイデアは出てきませんからね。1回目から成果を期待するとそこで終わってしまいます。
しかし、ワークショップで気楽に人と意見交換した後には関心の変化が訪れます。どうすれば、もっと楽しく生産的に仕事ができるか、仕事と生活のクオリティを上げるために何をすればいいか、日ごろの生活を見直し始めます。そうしてまた気楽にマジメに話し合う。すると会話の中にヒントが見つかることが多くなります。それを試してみる。はじめは期待通りにはいかないものですが、次第に手ごたえのある活動が出てきます。これが気軽に話し合う習慣とフラットな関係性を強化してくれます。
日本では、気楽にマジメな話をする場は、アフターファイブの居酒屋ぐらいでした。しかしお酒が入るので愚痴で終わってしまいがちです。愚痴で終わらさずに、アクションに結び付けて風通しの良いフラットな組織をつくるには、居酒屋会話をオフィシャルにやることです。オフィシャルにやって実行につないでいく。
こうして、気楽にマジメな話をすることに慣れてくると、年齢や経験の差を超えて話し合う気持ちが生まれます。組織の壁を越えて気軽に話し合うことができるようになっていきます。
人は体験からしか学びませんからね。小さくても成功体験を積み重ねていくことが大切です。