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帰国速報:フィリピン短期留学「人生で一番鮮やかな、色のある3週間」

梅香り、花粉もにぎわう二月末。本学部、国際コミュニケーション学科の一年生20名がフィリピン・エンデランカレッジ(Enderun Colleges)での3週間の語学研修を終え、引率教員(光岡、松永)含む全員が無事に帰国しました。(もう一人の担当教員、南教授は日本でお留守番)

カレッジの中庭で修了証書を掲げる参加学生たち。
国際コミュニケーション学科の一期生でもある。

パンデミックゆえ、過去2年間オンラインで実施していた本研修。今年は3年ぶりに現地に飛ぶことが叶い、学生は寮生活と英語学習、週末のアクティビティを満喫。担当教員としても感無量でした。

だって、今まで見たことも聞いたこともなかったsisig(フィリピン料理)に舌鼓を打ったり、ランドリー店のマッチョなお兄さんに首っ丈になったり、原色の世界に目を眩ませたり、排気ガスと埃と熱気の混じり合った空気に咳き込んだり、バクテリアに悪さされたり、高層ビルとスラムの落差に衝撃を受けたり、バスケに熱中して汗だくになったりできたのですから。トイレが詰まって泣いた夜も、歌って踊り大喝采を浴びた宴も、別れを惜しんだ廊下の西日も、全部まるごと、クタクタの体に溶け込む五感の記憶となるのですから。コロナ禍で抑圧されていた、"偶然"に一喜一憂する自由の奪還、とでもいうのでしょうか。「フィリピンで暮らした」事実こそが、学生にとって、何よりの収穫だったように思います。ある学生は、研修を振り返ってこう表現しました。「人生で一番鮮やかな、色のある3週間」だったと。

最終週に現地入りして、帰国までを共にした教員の印象としては、「男子(若者)、三日会わざれば刮目して見よ」。渡航前と全く異なる顔つきに目を見張りました。英語力のみならず、人としてひと回りも二回りも成長した学生たちの溌剌とした表情たるや…もう…松永は(おそらく光岡先生も)涙腺が緩みっぱなしでした。成長、いや純粋に、学生たちの全身から放たれる「いい経験ができた」オーラに、胸を打たれたのでした。

Libraryの看板猫、Tom君。図書館員さんの飼い猫として一緒に通勤しているそうだ。いろんな場面に立ち現れる「え、それ許されるの?!」と思わず突っ込んでしまうフィリピンの「リラックス文化」に触れ、学生たちは解放感を味わったそう。「良い悪いは別として、みんな自分らしく、伸び伸び生きているように見える」。「誰が作ったかわからないルールに縛られてない」。

小学生ではないけれど、「先生、あのね」と話してくれたエピソードを、一つ二つ。
学校から徒歩圏内の寮で生活した学生たち。初日、四人部屋に備え付けのシャワー室の床は、日本の感覚からすれば清潔ではないと感じたそう。「今日からここで3週間過ごせるのか?」「帰りたい」「家のお風呂が恋しい」。いきなり不安とホームシックに苛まれた学生たちは、「部屋メン」で協議。近所のモール内にあるホームセンターに走り、バスマットとスリッパを購入することで、QOLを「爆上げした」んだとか。その手の情報は他の部屋にも共有し、少しずつ生活環境を整え、トラブルがあれば皆で協力して乗り越えてきたというのです。
また、ぼちぼちモール内のレストラン・ファストフード店での夕食に飽きてきた(朝食と昼食は学食で提供される)ある日、スーパーで購入した生の鶏肉を、屋台のお姉さん(しかも焼鳥屋)に頼んでジューシーに焼いてもらった「日本ではきっとあり得ない」話。寮のキッチンで火を使えないゆえの知恵ですが、火を分けてあげるフィリピンの人の寛容さ、楽天的な気質に感激したといいます。

モールに住んでいるようなキャンパスライフ。ふしぎな日常。

こうしてしなやかに、主体的に困難を乗り越えていった経験の一つ一つが、学生の糧となるでしょう。これはきっと、快適な部屋で過ごすオンライン講義のみでは得難い経験。新学科開設の広報動画において、私は「多種多様な生物の生きる雑木林のような世界で、たくましく生きる人になって欲しい」と語りました。今まさに目の前で、たくましく生きんとする若人たち!!一年生の春休みという早い時期に海外に出る意義を改めて実感したものです。

涙、涙の修了式。三人の代表スピーチも素晴らしく、みんなとっても晴れやかなお顔。

そして、フィリピン留学最大の魅力だと私が感じたのは、人情です。人が優しい。心が、密。研修のコーディネートはもちろん、現地での困りごとにきめ細かく対応くださった日本人スタッフのMiyauchiさん、Hamauraさんはじめ、マンツーマン/グループレッスンの先生方の情の厚さは、修了式で溢れる大粒の涙と、「日本から持っていくべきだったと後悔しているのは色紙です。お世話になった先生たちに渡したかった」と語る学生の言葉に表れていました。東経大生がダンスを披露した"Mixer Night"では、まるで子どもの発表会を見守る親のような目線で声援を送り、その姿をカメラに収めていた先生方。「おかあさんみたいだった」と振り返る学生もいました。「どんなにできなくても、どうにかして必ずいいところを見つけて褒めてくれる」。前向きな笑顔の源はここだったといいます。帰国間際、「エンデラン、ありがとう(Salamat!)」と繰り返す学生たち。ほんの数日の視察に過ぎませんが、私の目から見ても、情熱的な先生方は、教育サービスというより人間としての感情をもとに学生と向き合ってくださっていると感じました。だからこそ、響くんですよね。「Keep studying」、「Don't be shy」。先生たちから頂いた言葉をお守りに、これから学生たちがどう飛躍していくのか。楽しみに見守りたいと思います。

以上、帰国の余韻のままに。プログラムとしては、まだレポートの回収と事後指導のWSが残っています。更なる報告は別の機会に。ありがとうエンデラン、また会う日まで。

(松永智子)

追記:過去二年間のオンライン研修@Enderun Collegesの記録はこちら。




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